うちの診療所は自由診療です。
保険が効きません。
診察代も高いです。
だから保険の効く肛門科をあちこち回ってから最後の砦だと思って受診される患者さんが多いです。
ココに来たらブログに書いてあるように翌日から痛みも出血も無くなる・・・と期待されて受診される人もおられるのですが、残念ながら全員が皆、そうなるわけではありません。
治療の経過は人それぞれです。
切れ痔の場合、翌日に、あるいは数日で痛みが消失することが多いのですが、1週間たっても全く変化がない患者さんもおられます。
何が違うのか
それは肛門が狭いかどうかなのです。
肛門が狭いと切れ痔(裂肛)はなかなか治りません。
肛門が拡がらない限り傷は治りにくいですし、治ってもまた裂けてしまいます。
だから肛門狭窄を伴う切れ痔(裂肛)は、傷の治療と肛門を拡げる治療と2本立てとなります。
痛くても拡げていかないといけないのです。
今日ご紹介する患者さんは遠方から来られた40代女性。
切れ痔(裂肛)だけでなく肛門狭窄症を伴っており、切れ痔(裂肛)が慢性化していた患者さんです。
まずは書いて下さったアンケートをお読み下さい。
肛門狭窄を伴わない通常の切れ痔(裂肛)であれば2週間以内に完治して治療が終了になります。
でも肛門狭窄がある場合は、肛門を拡げていかないと、傷が治ってもまた裂けてしまうので、根本的に治すために肛門ブジー治療と肛門マッサージが必要となります。
そしてここまで切れ痔を悪化させた背景には出残り便秘があるので、排便管理は欠かせません。
この患者さんの素晴らしいところは私のブログに出会う前「もしかしたら昨日の便が残っていて、それがかたくなって切れているのかも」にと気付いたことです。
スゴイですね
でも以前かかっていた肛門科の先生に話しても認めてもらえなかったとのこと
出残り便秘の概念を肛門科でも広めたいと頑張って来ましたが、抵抗が大きくてなかなか・・・
だからこうして患者さんに向けて情報を発信しているのですが、私の影響力が小さすぎて困っている人に届いていないようです。
出版によって少しは広まったとは思いますが、まだまだです。
これからも頑張ります。
この患者さんのように、肛門が狭いと痛みや出血はすぐには無くなりません。
そして坐薬を入れるのも、肛門マッサージをするのも痛いです
でもそれを頑張って乗り越えると状況は少しずつ好転していきます。
もうダメ
頑張れない
という場合は手術をオススメすることになるのですが、ほとんどの患者さんが手術ではなく頑張ることを選択されます。
最近は肛門を拡げるのにブジー治療を行っています。
私の指で拡げるよりも効果的に拡がるからです。
ブジー治療についてはこちらの記事を是非お読み下さい↓
また治療は右肩上がりではなく、ジグザグに上がっていくことが多く、良くなったと思ったらまた悪くなって・・・という上がり下がりをくり返しながら、振り返ったら最初よりも随分良くなっているという感じで進んでいきます。
すぐに結果が出ないからと、すぐに症状が無くならないからと焦る必要はありませんし、他の患者さんと比べても誰も幸せになりません。
一人一人、顔が違うのと同じようにオシリだって違うし、病状も異なります。
同じ病名だからって同じ経過を辿るわけじゃない。
だから毎日の症状に一喜一憂しないこと。
おかしなことになっていたら診察で必ずお伝えしますから安心して治療を続けて下さいね
診療所のセラピードッグ「ラブ」
右側がラブです
ガールフレンドのぱーるちゃんと
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化粧品と発酵素するりの記事は
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便通・腸を整えて美肌を目指す 元皮膚科・現役肛門科の女医が教えるキレイ術
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