今日は診療所の問い合わせフォームにいただいた相談メールにブログで回答したいと思います。
このご相談を頂いたのは11月初旬。
もう既に受診されたでしょうか・・・。
現在、診察や手術の全てを私一人で担当しており、多忙を極めております。
また出版のため、さらに忙しさが増しており、メールでの相談にはなかなか答えることができません。
本当にお悩みなら受診をご検討頂ければと思います。
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海外在住でコロナの為 日本へ帰国して半年になります。
切れ痔で通院10年程になり、 海外でも、ほぼ毎日薬を使用しておりました。
帰国後 半年前に痛みと違和感が常にあり、横浜の肛門専門病院で診ていただいた所、長年の切れ痔で、硬い便をしてるので、切れ痔を繰り返すとの事で、強力ポステリザンとボラザ軟膏と酸化マグネシウムを1ヶ月分程だされました。
それ以降も、そんなに硬くない便でも、排便後の痛みがあり、その痛みが薬を使用してもほぼ毎日痛みがありまして、もう一度 同じ病院へ行きました所、また同じ薬を出して頂きました。
なかなか治らず、夜も眠れず、外出時も肛門の違和感が酷く、仕事も辞めました。
鏡で肛門を見てみましたら、イボ?と言うより ナメクジ?ミミズ?の様なモノがずっと出ておりまして、引っ込まずです。
中に入れれる様な作りになっておらず、ビラビラが肛門から常に出てる状態です。
そこが腫れると寝れない程の痛みがあります。
東京にいる自費の個人クリニックに行って来ましたが、皮膚の炎症との事でカンジタ?の薬を出されましたが、10日経ちまして、全く治らず ヒリヒリしてきました。
ブログで痔の友達ができ、その方にみのり先生のブログを教えて頂きまして、質問してみたらいかがかと言って頂き、問い合わせさせて頂きました。
様子を見て、来月辺りに大阪へ診察に行こうかと考えておりました。
この場合ですと手術はした方がいいでしょうか?
宜しくお願い致します。
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まず結論から申し上げると、手術をしたほうがいいかどうかは診察して見ないと分かりません。
ただ一つ確実に言えることは、切れ痔の原因となった排便を治した方がいいということです。
横浜の肛門専門病院で診察を受けられたということですから、おそらく診断は切れ痔で間違いないでしょう。
切れ痔であると仮定して私の考えを述べたいと思います。
切れ痔の背景には必ずと言っていいほど「出残り便秘」があります。
出残り便秘については、こちらの解説記事をお読み頂きたいのですが
端的に言うと、排便してもスッキリ出ずに肛門の中に便が残っている状態です。
残った便は切れ痔の傷を汚染します。
傷が便まみれの状態だと、いつまでも傷は治りません。
また排便のあとに痛みが続くという症状も典型的な出残り便秘の症状です。
便で汚染された傷は炎症を起こし、傷の周りが腫れ上がります。
「イボというよりナメクジ、ミミズのようなもの、中に入れるような作りになっておらず、ビラビラが常に出ている状態」と表現されている物体は、おそらく「見張りイボ」でしょう。
そのビラビラの奥に切れ痔がある、あるいは切れ痔があったというサイン。
そこが腫れるのは、今まさに傷が便で汚染されて炎症を起こしているから。
腫れたときは痛いです。
触ったり当たったりすると痛い場合も多いです。
「薬を使用してもほぼ毎日痛みがある」のは便が残っている可能性が高いです。
なぜなら便まみれの肛門に注入軟膏を入れても、ちゃんと効かないからです。
また酸化マグネシウムをはじめ、口から飲む薬は出口の便には効きません。
これから作られる便には効きますが、既に出来上がって出口まで下りてきている便や、出し残した出残り便には効かないのです。
だから薬を飲んでも、痔の薬を肛門に注入しても、切れ痔が良くならなかったのでは?と考えます。
当院では痔の薬や下剤ではなく、痔の原因となった便通を治す治療をしています。
手術が必要な患者さんにも、必ず便通を治してもらっています。
なぜなら、そんな便通で手術をしても、また痔になってしまうからです。
痔は排泄の結果です。
その間違った排泄を治さなければ何度でも痔を繰り返します。
だから痔の根本治療は便通を治すこと。
そんな風に考えて治療をしているちょっと変わった肛門科です。
一般的な肛門科で行われている標準治療とは違うアプローチをしています。
だから手術は少ないです。
なぜなら便通を治したら痔が良くなってしまうからです。
ビラビラとした物体はなくならないですが、痛みが無くなったら手術を望む患者さんはほとんどいません。
痛みから解放されたいのであれば、もしかして当院でも排便治療が役に立つかもしれません。
治療の参考になれば幸いです。
切れ痔(裂肛)についてのまとめ記事はコチラにもたくさん書いていますのでお読み下さい
ちなみに切れ痔で治療10年ということですが、一般的な切れ痔で肛門狭窄がない場合は、2週間後の2回目の通院で治療が終了することがほとんどです。
早く治して通院を終わらせて下さいね
診療所のセラピードッグ「ラブ」
ぱーるちゃんとよーいドンなんですが
ハンデを付けて
ラブは後からスタート
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