先日初診で来られた患者さんが
「肛門の診察はしてもらえるのでしょうか?」
と言われました。
「ここは肛門科なので、肛門の診察をせずに、お顔だけ見て、お話だけお聞きして、お帰り頂くことはないですけど・・・」
と答えました。
なぜそのようなことを尋ねられるのか事情を伺うと・・・
「地元の肛門科に長年ずっと通って薬をもらっていたのですが、『新型コロナのことがあるから肛門の診察は出来ない。』と言われて診察はしてもらえず、薬だけもらってたんです。でも切れ痔は全然良くならないし、毎日排便の度に痛くて出血するのが辛くて我慢出来ず・・・診察しているところを探してここに来ました。」
と。
そして
「今日って、肛門の診察はしてもらえるのでしょうか」と。
どこの医療機関も新型コロナ感染防止のため、診察をしていない、断られる・・・と思っておられたようです。
実際、地元のいくつかのクリニックに問い合わせをしたけれど、どこのクリニックも「今はコロナのことがあるので新患の患者さんは受けてません。」と電話口で断られたそうです
「ここは緊急事態宣言が出たあとも、普通に診察されてたんですか」
と尋ねられ
「医療機関は自粛の対象になっていませんので普通に診療をやっていましたよ。それにロックダウンしている諸外国でも、医療機関への通院は認められています。普通に、いつも通り受診出来ましたよ。」
と答えると患者さんがビックリされていました
いやいや
ビックリしたのはこっちですよ。
コロナ禍だからと、受診したいという患者さんを断るなんて・・・。
しかも肛門科なのに・・・。
糞便感染もあるから怖れたのでしょうか・・・。
発熱や風邪症状、下痢などの症状がない患者さんだったのに、受診を断られるとはビックリでした
結局、この患者さんは慢性の切れ痔(裂肛)で、何年も下剤と注入軟膏をもらいに2週間に1回通院されていました。
便通を治さずに薬だけ使っても痔は治りません。
緩下剤で毎日排便があるのに、診察をすると肛門の中が便まみれでした
当然、傷にも便が付きます。
傷が便で汚染されます。
そんな便まみれの肛門に注入軟膏を入れても効果半減です
緩下剤も注入軟膏もやめてもらい、出口の便秘の治療とSザルベを処方し、2週間後に来られた時には数年来治らなかった切れ痔(裂肛)がキレイに治っていました
2回目の通院で治療が終わったので患者さんがあっけにとられていました
「えっもう今日で終わり
通わなくてもいいんですか
本当に
今まで何年も2週間に1回通ってきたのに
」
と信じられない様子。
でも治ってるのに来てもらう必要もありません。
「こんなにすぐに治るなら、最初からココに来れば良かった・・・」とぽつりと言われました。
そして次に
「でもコロナで受診を断られて良かった。でないとココに来てないから。コロナのおかげ」
と。
そうです。
人生、無駄なことは何一つ無くて、一見無駄に思えるような出来事でも、後から振り返ったら「あれがあったから」と思えたりする。
でもね、よく考えて欲しいんです。
切れ痔(裂肛)は治りましたけど、出口の便秘は治っていません。
だから便秘の治療は続ける必要があります。
患者さんの生活の中で、ちゃんと排便の管理をしていかなければならない。
それがうまくいくのであれば受診の必要はなし。
「もし希望されるのであれば年に1回のお尻健診に来て下さい」と言ってお別れしました。
切れ痔(裂肛)についてのまとめ記事はコチラ
出口の便秘についてはコチラ
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