本日も閉鎖した診療所のオフィシャルブログからのリライトです。
2018年5月24日に掲載されていた記事です。
後日書くブログで必要なためアメブロに移すことにしました。
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カバンが趣味の佐々木みのりです。
昨年秋に内科の学会で満員御礼だった教育講演。
その時の様子は昨日のブログで書きました。
学会から論文執筆依頼があり、頑張って書き上げました
いつも締め切りギリギリの私
今回もギリギリになりましたが間に合いました
この雑誌に「出残り便秘」と「鈍感便秘」について書きました。
それだけでなく、専門外の先生が脱肛と間違って手術してしまっている痔、血栓性外痔核と見張りイボについても内科の先生のところで食い止めて欲しいと願い解説しました。
「出残り便秘」も「鈍感便秘」も私たちが考えた言葉
出残り便秘も鈍感便秘も私たちが脳ミソに汗をかいて、患者さんに説明するために考え出した言葉です。
医学用語ではありませんし当然、医学書にも載っていません。
以前はブログで「直腸性便秘」と説明していました。
直腸性便秘は医学用語で、教科書にも載っています。
以前は私たちも出口の便秘という意味で直腸性便秘と言う言葉を用い患者さんに説明し、ブログでも直腸性便秘と書いていたのですが、直腸性便秘の治療をしているドクターから医学的にニュアンスが違うのでは?という指摘を頂いてから、何とかこの用語を使わずに、患者さんに分かりやすく伝える言葉はないものか・・・?と必死で考え、今の「出残り便秘」と「鈍感便秘」という言葉が生まれました。
直腸性便秘の診断は大きな病院に行くと排便造影検査や肛門内圧検査などを行って診断します。
治療は教科書にはレシカルボン坐剤や浣腸と記載されていますが、近年はバイオフィードバック療法をやっている施設が多いですね。
実際、専門施設でこれらの検査を全て受け直腸性便秘と診断されたり、直腸瘤(レクトシール)と診断され手術を受け、バイオフィードバック療法も受けているという人も多いです。
でも。。。
排便に関する悩みが良くならない・・・
自分の症状が出残り便秘の症状と似ている もしかして何か解決法があるかも・・・
と、ほのかな期待を抱いて大阪肛門科診療所に来られる患者さんがいます。
このような患者さんを通して私たちがやっている治療が一般的に行われているものと違うことは感じていました。
だから 直腸性便秘という表現を用いるのはやめよう、 別の言葉で説明しなければ患者さんも混乱する、 そう思って患者さんが訴えている症状から言葉を考えました。
排泄したのに便が残っている不完全な排便の「出残り便秘」、肛門に便がたくさん溜まってるのに全く便に気付いてない「鈍感便秘」。
定義も明確にし、間違ったニュアンスで使われたくなかったので商標登録しました。 だからⓇマークが付いてるんです😓
便通の治療なら内科でも出来る
痔は肛門科で治療するもの そう思っている人が多いと思いますし、当然、私たち肛門科医もそう思ってます。
でなきゃ私たちの仕事が無くなってしまう😓
でも現実は・・・痔の相談をかかりつけの内科の先生にしている患者さんも多いようです💦
当然、そこで下着を脱いでお尻を見せる勇気はありませんから、肛門の診察は受けておられません。
患者さんの自己申告で痔ということになっていて、注入軟膏や坐薬をもらっているケースが多いです。
本当に痔かどうかは本人も内科の先生も知りません、分かりません😓
そうして数年様子をみるうちに症状が悪化すると、患者さんも内科の先生も途方に暮れてしまうわけです。
「外科や肛門科に紹介したらスグに切るやろ?だから紹介できへんねん。患者さんも嫌がるし。」
という内科の先生の言葉が講演を引き受けるきっかけとなりました。
そんなことない。
手術が必要な痔なんてほとんどない。
多くの痔は切らずに治る。
そのことを知って欲しかった。
そして 痔の原因となった便通・排泄を直せば、こんなにも痔が治ることを伝えたかった。
外科や肛門科(を掲げている施設)に紹介して必要の無い手術を受けて大切な肛門を傷付けられるくらいなら、内科で保存治療をしてもらったほうがマシかもしれない。
本気でそう考えました。
だから内科の先生に「内科における痔保存治療」をすすめました。
ただし肛門と大腸に癌がないことを確認することが大前提です。
大腸内視鏡検査をすれば分かります。
最近は「痔を放置すると癌になる」と患者さんに説明している先生もおられるようですから注意が必要ですが・・・
内科で痔を治療することは出来ないかもしれませんが、痔の原因となった便通を治すことは出来ます。
肛門科に紹介するまでもなく、内科で痔の患者さんをちゃんとフォローできれば、患者さんにとっても内科の先生にとっても福音となるのではないか、そう考えました。
私が出会うことのない痔の患者さんを、内科の先生を通して治療出来る、直接診療は出来ないけれど間接的に役に立てるかもしれない。
そんな風に考え、内科の先生に排便管理を通して痔の治療をお願いしていこうと思いました。
内科での痔保存治療が実現したら私たちの仕事は無くなるかもしれない
でも本当に「内科での痔治療」が実現したら、痔は肛門科ではなく内科で保存治療をする時代が来るかもしれない。
そうなると肛門科を掲げている施設の収入が減って、困る施設も出てくる可能性だってあるでしょう。
それは何を隠そう、大阪肛門科診療所だって同じこと。
だから私のやっていることは「同業者潰し」とも言えるかもしれず、自分たちの領域の仕事を他の人に譲る行為であり、最終的には自分の首を絞めることにつながる。
でもね、本当にそうなるなら、そうなってもいいと思うんです。
仕事にしがみついて自分が稼ぐことを考えるよりも、自分にしか出来ない事を提供して人に喜んでもらいたい。
誰でも出来ること、誰がやっても変わらないことであれば、少しでも価格が安い方が患者さんにとってメリットがあります。
何もお金のかかる自由診療の大阪肛門科診療所に来る必要もないと思うんです。
だから内科の先生に出残り便秘の概念と治療を包み隠さず講演で話してきました。
それで救われる患者さんがいるのであれば私も嬉しいです。
そして私たちの仕事を必要とする人が居なくなったら、潔く今の仕事を辞めようと思います。
あるいは自分たちにしか提供出来ないことを新たに模索します。
自分たちにしか出来ないことをやる
私の中での仕事とは相手の役に立つこと(貢献)。
その対価としてお金を頂いています。
だから頂いたお金に見合った仕事(価値)を提供したいし、それをやるのがプロだと思います。
私にとって仕事の相手は患者さん。
提供する仕事(価値)は医療(治療)です。
どんな仕事でも当てはまると思うのです。
あなたの仕事の相手は誰ですか?
何を提供していますか?
お金に見合ったものを提供出来ていますか?
そんな風に考えたら誰でも仕事に対する責任とプロ意識が芽生えるでしょう。
今、私たちがやっている出残り便秘の治療が、日本全国どこに行っても受けられるようになれば、私たちの存在価値は無くなります。
自分の利益を犠牲にしてでも患者さんの役に立つことをしよう
大げさですが自分たちの医師生命と診療所の存続をかけて論文を執筆し、徳島の内科医会で講演をして治療をフルオープンにしてきました。
次に何が出来るか、考え始めています。
何も無ければ私たちの役割は終わりです。
自分たちが生き残るために
ではなく
どうすれば人の役に立てるか
を考えて、これからを考えたいと思います。
創立108年を迎えた大阪肛門科診療所。
先代の院長は何を思い、どう生きてきたのか。
思いをはせながら日々の診療にいそしんでいます。
私たちの代で終わるのか、まだ続くのか、それは私たちにはどうすることも出来ないし、私たちが決めることではありません。
すべては「縁」だと思うので自然な流れに任せようと思います。
診療所のセラピードッグ「ラブ」🐾
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