うちの診療所は自由診療。
保険が効きません。
保険診療に比べると治療費が高いです。
だから色々な肛門科を回って「最後の砦」だと思って、深刻な状況で受診される患者さんも少なくありません。
遠方からもたくさん来られていますが、遠方の患者さんほど悩みは深刻です。
ところが・・・
悩みは深刻でも、肛門は深刻な状況では無いケースが結構あるのです。
痔ではないのに
痔だと思い込んで
悩んでおられたり
痔は治っているのに
まだ治っていないと
困っておられたり
痔の手術を受けて
傷は治っているのに
まだ治っていないと
思い込んでおられたり
患者さんの「思い込み」と肛門の状態が乖離していることが結構あります。
問診票にもビッシリと経過や悩みが書いてあり、一体どれだけ重症なんだろう・・・と思って診察すると
痔なんて何もない
むっちゃキレイな肛門
という患者さんがいるのですよ。
「肛門は何も悪くないですよ。正常です。痔はありません。」
と言うと
きょとんとする人
泣き崩れる人
大喜びする人
反応は様々ですが、皆さん、意外な結果にビックリされます。
たとえ痔ではなくでも、正常肛門でも、今まで何年も痔だと思い込んで、手術が失敗だったと後悔して生きてこられているので傷は深いです。
なんて無駄な時間を過ごしてきたんだろう・・・
と言われる人も多いです。
でも、痔ではなくても、肛門に異常を感じておられたのは事実。
違和感だったり
痛みだったり
気持ち悪さだったり
かゆみだったり
人によって症状は異なるのですが、何かしら困った症状は存在する。
その症状の多くが便通や間違った排便習慣によってもたらされています。
私の外来に来られるほとんどの人に出口の便秘が認められます。
毎日排便があっても・・・です。
毎日排便があっても、スッキリ出ずに中に残っていれば便秘です。
私たちは患者さんに分かりやすく説明するために「出残り便秘」と呼んでいます。
解説記事はコチラ
そもそもそんな便通だから痔になったわけで、手術で痔を治しても便秘は治りませんから、痔の原因となった便通を正さなければ、また痔になってしまいます。
痔は何度でも繰り返します。
だから痔の根本治療は手術や注射療法や薬ではなく、痔の原因となった便通を治すこと。
受診された患者さんに便通を治してもらい、間違ったお尻の手入れも改めて頂くと2週間で不快な症状が消失することが多いです。
つまり今までの症状は、肛門に原因があったわけではなく、便通や間違ったお尻の手入れにあったというわけですね。
目から鱗だったと言われる患者さんが多いですが、間違った肛門の使い方を改めなければ何度でも故障します。
痔じゃないから
もう肛門の事で悩まないでね
何も異常のない肛門だから
自信を持って
と患者さんを励ますのですが、今まで色々な施設を受診して「小さな内痔核がある」とか「細かい傷がある」とか言われている患者さんも多いです。
中には手術や注射療法(ALTA療法、ジオン注射)を勧められているケースもあります。
まじめな医師ほど肛門に原因を見つけようとするのですが、それがかえって患者さんを病気にしてしまうこともあるため気を付けなければなりません。
女性だと羞恥心から誰にも相談できず一人で悩んでいるケースも多いです。
えっ・・・
本当に私、痔じゃないんですか・・・
と何度も何度も確認される女性患者さんに、いつも次のように答えています。
「あなたが痔だとすれば
そこら歩いている人つかまえて
肛門の診察をしたら
ほぼ全員、痔という診断になりますよ。」
正常なクッション部分のふくらみを
内痔核と診断することは
過剰診断だと思います。
医者が病気にしない。
病気を作らない。
患者を作らない
当たり前ですが
とても大切なこと。
だから1軒の肛門科で決めない。
いくつかの施設を回って他の先生の意見も聞いてみる。
同じお尻なのに診る人が違ったら、こんなにも診立てが違うものなのかと驚くはず。
肛門科を選ぶときは専門にしている先生を探してみて下さい。
このサイトに探し方を書いています
何も無いよ
正常ですよ
と言ってあげることは、ある意味、医者にとっても勇気が必要なことでもあるんですけどね。
1日1花
今日の花は
診療所のセラピードッグ「ラブ」
1か月以上、お休みだったので
トレーニングもしっかり
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患者さんのリクエストで復活させた
化粧品と発酵素するりの記事は
コチラ