昨日に続き栄養素の話が続きます。
診察室で全部説明しきれないのでブログで補足説明しますね。
私が冬の間だけインフル予防にビタミンDを多めに摂取しているのは何故か?
ビタミンDが風邪やインフルエンザの予防になるという根拠について今日はお話ししたいと思います。
慈恵医大・分子疫学研究室(浦島教授)の研究結果が2010年にアメリカの栄養学の雑誌に掲載されました。
6〜15歳の小中学生334人を二つのグループに分け、一つのグループ167人にはビタミンD3を1日1,200IU投与し、別のグループ167人にはプラセボを与えました。
プラセボって分かりますよね?
全員に同じ錠剤を与えるのですが、ビタミンD3が入っているものと何も入っていないものを作り、飲む人にはどっちが分からないようにして飲んでもらうのです。
そうすることで「思い込み」「気休め」や「暗示効果」「期待効果」による影響を排除し、客観的に医薬品などの有効性や効果を判定することが出来るというわけです。
飲まされた小中学生は自分の飲んだ錠剤にビタミンD3が入っているかどうかは知らされていません。
A型インフルエンザの流行期である12月〜3月の4か月間に渡って調査をしました。
結果はどうなったのかというと・・・
プラセボ群(ビタミンD3が入っていない偽薬を飲んでいた小中学生)では167人中31名(18.6%)がインフルエンザに罹患。
一方、ビタミンD3を飲んでいた167人では18人(10.8%)が罹患。
つまり罹患率が42%減少しました。
ビタミンDは抗菌タンパク質を誘導する働きがあり、感染症にかかりにくくする作用があることが分かっています。
もともと血液中にもビタミンDは含まれていますが、人によって血中濃度は違います。
それに着目した臨床結果がエール大学からの報告。
健康な成人198人に1か月毎に血清25-(OH)ビタミンDを測定しました。
その結果、血清25-(OH)ビタミンD値が 38ng/mL 未満の人からは急性ウイルス性上気道感染症が100件発生。
一方、38ng/mL 以上の人からは、たったの3件のみ。
つまり罹患リスクは1/3に減少。
血清25-(OH)ビタミンD値が高い方が感染症にかかりにくいということが分かります。
4か月間に渡ってこの198人をフォローすると・・・
血中ビタミンD濃度の低い群(赤線)ではウイルス感染症にかかってしまう人がどんどん増えていっていますが、血中ビタミンD濃度の高い群(青線)では罹患者はさほど増えず、その差はどんどん開いていっているのが分かりますね。
それほど血中ビタミンD濃度は感染症の罹患と関係が深いのです。
とても大切なのです。
では実際に働いている健康な人で血中のビタミンD濃度はどの程度なのかということを測定した結果があります。
慶応義塾大学医学部付属病院の39歳〜64歳の女性勤務者571人の血清25-(OH)ビタミンD値を測定したところ、あらゆる年齢層で正常値だった人は3割にも満たないという結果となりました。
しかも測定したのは9月。
日照時間の長い夏の終わりです。
ビタミンDは日光を浴びることによって体内で作られるため、夏の方が血中濃度が高くなる傾向があります。
高くなっている時期にもかかわらず7割以上の人が低下または欠乏状態。
若いから栄養が足りているだろう・・・と思っていたら20mg/dL以下の欠乏症の人は39〜49歳の層が最も多くなっていますね。
一般人の7割がビタミンD不足とも言えます。
自分は大丈夫なのかと心配な方は血中ビタミンD濃度を測定してもらうと確実です。
でも検査代は自費になりますので、何もわざわざ測定して確かめなくても、ビタミンDを摂取してもいいと思いますよ。
国際オーソモレキュラー医学会が提唱している新型コロナウイルス対策に必要なビタミンDは
最初の2週間は5,000IU(125μg)
3週目からは2,000IU(50μg)
です。
通常の服用量よりも多めですの注意して容量を確かめてくださいね
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