寒くなったからでしょうか。
それともたまたまでしょうか。
ここ数日、毎日のように便栓塞の患者さんが来られて摘便三昧となっております
便栓塞とはいわゆる「糞詰まり」のことです
詰まった便は頑張っても出ないので、指でほぐしたりして掘り出すのです。
業界では「便堀り」とも言われています。
一般的には看護師が摘便をするようですが、肛門科を専門にしている医師は決して看護師にさせません。
医師自らがやります。
摘便は肛門科医の仕事だと教えられ、指導医がやっている摘便を見て、ちゃんと出来るようにトレーニングを積んできています。
看護師が行う摘便と随分違うと思います。
私たちは指で便を摘出するだけでなく、摘便ヘラという特殊な形状をした器具を使って便を出します。
この摘便ヘラを使えば指で出しにくい軟便もスイスイ、ホイホイと出せます。
指で出すよりも直径が小さくてすむため、肛門が狭い患者さんにも安全に苦痛なく便出しが出来ます。
毎日便が出てたのに糞詰まりになった人
3日出てない人
1週間出てない人
2週間出てない人
で便の性状も量も随分違います。
当然、出ていない日数が長いほど便は硬く古くなり、大きな塊になります。
指でほぐして、ちょっとつぶして砕いて、小さくして少しずつ出すのですが、この作業すら出来ないくらい、カチンコチンに便が固まって、岩のようになっている患者さんも経験あります。
巨大ウンコになると肛門の穴をいくら広げても通過できないので本当に大変です
通常の摘便と便出しで1時間くらい、溜まっている便の量が多いと2〜3時間かかります。
そして診察室は掘り出した便のニオイで大変なことに・・・
だから強力な脱臭機を備えていますよ
これがあれば診察室がトイレ状態になるのを防げます。
と言いたいところですが・・・
ここ最近の患者さんは便を溜めすぎたのか、脱臭機でも追いつかず、結局、窓を開けて換気し、消臭スプレーを部屋中にまいて対処しました
次の患者さんを入れる前にニオイ問題を解決しないといけないため、お待たせしてしまうのです。
ちょっと入って来られたときにニオイに気付かれた患者さんもおられたかもしれません
失礼しました
摘便をした女性患者さんの多くが
まるでお産のようでした
と言われます
お産で出てくるのは赤ちゃんですが、摘便で出てくるのは古くなってかなりニオイのキツイ排泄物。
どうせ溜めるなら、もっとイイ物を溜めましょうね
明日で年内最終の診察日。
午前・午後ともに予約が一杯でしたが15時に1枠だけキャンセルが出ました。
ネットからも予約出来ます。
ただし待ち時間がかなり発生しますので、覚悟の上、ご来院ください
摘便が必要な患者さんは時間外に駆け込み受診するケースがほとんどのため、予約がいっぱいだと対応が難しくなります。
どうか早めに受診をお願いします
もうちょっと頑張れば出るかな・・・
あと1日様子見よう・・・
などと言わず、出口に便が残っている、詰まっている感じがする場合は早めに受診しましょう。
特に年末年始は医療機関も閉まっています。
救急病院には肛門科医は居ませんから、摘便もしてもらえないことが多いようです。
だから詰まらせないように日頃からちゃんと便を出しておきましょうね。
「詰まらない」お正月を迎えて下さい