いぼ痔(痔核・脱肛)からの出血がひどく、毎日、便器が真っ赤になっていた患者さん。
あまりにも出血が多いと貧血にもなりますし、実際、本当にひどい貧血で真っ青な顔でフラフラしながら診察室に入って来られた患者さんもおられましたから、トイレでの出血はバカになりません。
そこまで多くない出血でも、毎日何ヶ月も続くと、徐々に貧血が進行するため、ご本人も気付いていない場合もあります。
お尻からの出血が止まれば貧血は改善しますが、出血が多かったり薬物治療で改善が見られないと注射療法(ジオン注射、ALTA療法)や手術を勧められることも多いでしょう。
ですが、うちの診療所では、まずは痔の原因となった便通を治してもらっています。
それで症状が改善することが多いため、手術になる割合は非常に少ないです
今回、何をやっても出血が止まらない患者さんに排便管理をしてもらったところ、なんとピタリと止まったのです
それには患者さんもビックリ
そんな驚きのアンケートを
私が解説&コメントする部分を下線や太字・大文字にしました。
この患者さんは私の外来を受診されるまでに2軒の施設で治療をされていました。
最初は近所のクリニック。
次に肛門科の病院。
最初のクリニックは専門外の先生、次に紹介されて行った病院は肛門専門の先生。
だけど出された薬は全く同じでした。
そんなことあるの?
専門だったら治療が違うんじゃないの?
と思われるようですが、保険診療における標準治療は専門外にかかろうが、専門にかかろうが、同じような薬が出ることが多いですね。
それが正解ですし、それでいいと思います。
そして薬でダメなら痔核の場合、注射療法や手術治療を勧められるという流れになるでしょう。
そこで標準治療の流れに乗って、そのまま注射療法や手術を受けている人も多いと思います。
でもね
ちょっと立ち止まって考えてみて欲しいのです。
なぜイボ痔になったのか
イボ痔になるような排便を改めなければ、たとえ注射で出血をおさえても、手術して痔核を取り除いても、また痔になってしまいます。
痔は排泄の結果
なので、間違った排泄を改めなければ痔は繰り返されます。
この患者さんが衝撃を受けておられますが、ヒドイ痔の人ほど診察すると便がたくさん残っています。
診察の邪魔になるくらい
直腸に癌がないかどうかも肛門の診察でしっかり確認したいので、便が残っている、溜まっている人には出して来てもらってからもう一度診察し直しています。
中には一度の便出しでは済まない患者さんもおられ、何度も何度もトイレに行ってもらっては診察しています。
便秘のヒドイ患者さんだと5〜6回トイレに行ってもらうこともあります
便出しだけで1時間くらいかかることもあるため、初めての受診の際は待ち時間を含め2〜3時間要することもあると説明してもらっています。
診察してみないと便がどれくらい溜まってるか分かりませんからね〜
毎日排便がある人に「あなたは便秘です」と言うとビックリされますが、出したモノを見て納得されます。
それだけウンコ溜めてたら痔にもなるでしょ〜
悪くなるのはお尻だけじゃないですよ
出口に便があるとガスが溜まってお腹が張ったり、当然、出てくるオナラは出口の便のニオイを引き連れて出るワケで、クサイわけです
オナラ=くさい
じゃないですから
出口に便が無かったらオナラはくさくないです。
これ、うちの患者さん達で実証済み
だからオナラがクサイ人は出口に便が残ったり溜まったりしてるかもしれません。
出口の便秘を治したらお腹の症状まで無くなってしまった
という患者さんをたくさん見ているので、世の中には同じようなことで悩んでいる人がたくさんいるんだろうなぁと思います。
そして出口の便秘を治したら、この患者さんのように注射療法や手術が必要なイボ痔でも、ピタッと出血が止まり、全く症状が消失するということも本当に多いです。
だから手術が絶対に必要な痔は一握り。
痔のほとんどは手術しなくても改善します。
もちろんイボ痔は無くなってません。
しっかり患者さんのお尻にありますが、出血も痛みも何も困った症状が無いのであれば、手術をせずに持っていてもいいんですよ
手術は最終手段。
何をやってもダメ
もう限界
ってなった時に考えればいいのです。
痔はどこまでいっても良性疾患。
癌ではないので放置しても死にません。
痔瘻だけは長期間放置すると稀に痔瘻癌を発生することがあるため手術をオススメしますが、イボ痔と切れ痔に関しては保存治療で完治する、あるいは改善することがほとんどです。
ひどくなってから手術を受けても手遅れになりませんから、慌ててその場でスグに手術を受けず、他に出来ることはないか考えてみましょう。
是非、痔の原因となった便通を治してみて下さい
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便通・腸を整えて美肌を目指す 元皮膚科・現役肛門科の女医が教えるキレイ術
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