肛門科医は日陰者の仕事?! | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

おはようございます。

 

肛門科の仕事が大好きで、この仕事に誇りを持っているつもりの佐々木みのりです。

 

今日の記事は閉鎖した公式ブログで2017年5月に書いた記事をリライトしてお届けします。

 

長文ですが読んで頂けると嬉しいです。

 

 

 

肛門科って人に言うのも恥ずかしい、内緒でコッソリ受診する診療科です。

 

中には家族にも内緒で来られている患者さんもいます。

 

ましてや友達や会社の人になんて、絶対に内緒。

 

入院される時も会社には痔の手術を受けることは内緒で、「海外旅行」だと嘘をついて入院して来られることも多いです。 

 

 

それくらい絶対に誰にも言いたくないし、手術を受けて入院したことすら「消し去りたい過去」なんでしょうねタラー

 

どうして「痔」っていう病気は、こんなにしいたげられてるんでしょう・・・。

 

本当に悲しくなります。

 

そもそも漢字も何なの?

 

「やまいだれ」に「てら」って、どういうこと!?

 

 

このネーミングが疾患のイメージを悪くしているような気がします。

 

 

また「肛門」という言葉も忌み嫌われます。

 

食事中に「肛門」とか「痔」とか、ましてや「便秘」とか「便」などの話題はタブーです。

 

今食べたモノと深く結びついてるのにね・・・(苦笑)

 

 

だから病気のことは話題にならない。

 

誰にも相談しない。

 

一人でコッソリ調べて薬を買ったりする。

 

それで何となく良くなると受診しない。

 

だから 肛門科を受診するということは もう一大事!!

 

よほど切羽詰まらないと受診しません。

 

何をやっても埓があかず、本当に困ってから勇気を振り絞って受診となるわけです。

 

 

肛門科は口コミが広がりにくい

情報が少ないから何を信じていいのか分からない。

 

サイトによって書いてあることも違うし、どこがいいのか分からない。

 

飲食店だったら「おいしかった〜」という感想を人に伝え、それが口コミで広がったりする。

 

料理やお店の写真をFacebookなどのSNSに掲載して紹介してもらえたりする。

 

飲食店だけじゃない。

 

色々なお店、商品、人・・・ 良かったらお客さんが宣伝してくれる。

 

 

  でも肛門科じゃ、ありえないです(苦笑)

 

すごく良くても誰も宣伝してくれません。

 

だって想像してみて下さい。

 

 

「今日、これから肛門科にいきまーす!」

 

って笑顔の写真、あげないでしょう?   

 

 

ましてや診察中に

 

「今、お尻を診てもらっています!」

 

 

なんて写真、あげられません。  

 

治療がうまくいって治っても、誰も公言しません。

 

だって内緒だから。

 

 

悲しいですけど、肛門科って良い口コミも悪い口コミも本当に広がりにくいです。

 

一生懸命治療して、患者さんが治って、その感動と感謝の気持ちを手紙やアンケートで書いて下さることが、私たちの仕事の結果。

 

「あ〜、私たち、ちゃんと患者さんの役に立ってるよな?喜んでもらってるよな?まだ必要とされてるよな?」

 

ということの確認になります。

 

これがないと、この仕事、続けられません。

 

 

肛門科は花形ではない診療科

誰からも評価されない、認められない、表に出て華やかに出来ない、街角で患者さんに会っても挨拶も出来ない、隠れるように目立たないようにしている日陰者です。

 

医者の中でも末端を扱う科として、軽く、ヘタすると(ヘタしなくても)下に見られる診療科です。

 

脳外科医や心臓外科医のようにカッコ良くありません。

 

 

よくスーパードクターがテレビで取り上げられていますが、どんなに映像を編集しても肛門科医だけは絵にならないでしょう。

 

だって取り扱うのが便うんちと肛門です。

人間の身体の中で最も汚い部分。

臭い部分。

見せたくない部分。

隠したい部分。

 

だから本当に悩んで困った人だけが来る。

 

逆に困った時しか来ない。

 

そんな困った人の相談に乗って治療するのが私たちの仕事。

 

でも私たちの仕事の評価は誰もしてくれない。

 

だから時々つらくなる時がある。

 

 

私って必要とされてる? 

 

別に居なくなってもいいんじゃない? 

 

私らがこの診療所閉めても誰も困らんよな?

 

って思ってつらくなる時がある。

 

 

「誰からも必要とされてない」と感じる瞬間ほど寂しいものはありません。

 

特に私たちの仕事は地味で日陰で、誰からも良く言われないので、患者さんからの感謝の言葉だけが仕事のモチベーションでした。

 

 

肛門科は日陰者?

主人(院長)にボソッと言ったんです。

 

「肛門科って日陰者やな」

 

そうしたら主人が

 

「当たり前やん!お前、今さら何言ってんの?!」

 

と即座に答えが返ってきました。

 

 

「俺は小さい頃から今まで、ずっとそうやったで。幼稚園の時から友達に『こーもん、こーもん』ってからかわれたり、近所の人からもいろんな事言われたわ。だから医者になるって決めたときから医者になるんじゃなくて、大阪肛門病院の跡継ぎになるんやって思ってたから、覚悟は出来てた。周りから良く言われへんし、全部背負うつもりで医者になったから。」

 

とキッパリ返事が返ってきました。

 

 

はー・・・ そりゃそうだ。

 

私は親が医者じゃないから、医者っていう職業が憧れの職業だった。

 

患者さんから慕われ尊敬される、そんなイメージだった。  

 

でも実際は・・・ 私の人徳がないっていうのもあるんでしょうが、胸を張って大声で言える職業じゃないですね(苦笑)

 

 

「何科の先生ですか?」って尋ねられたときも、周りを気にしながら小声でそっと「肛門科です」って答えますもんね。

 

特に飲食店なんかでは・・・(笑)

 

 

道ばたで患者さんとバッタリ会っても「お尻の調子はどうですか?」なーんて聞けませんし、そもそも内緒で受診してる患者さんが多いので、挨拶すら出来なかったりする。

 

「佐々木クリニック」っていう名前だったら、まだ何科か分からないので、ごまかしようもあるけど、なんせ、診療所の名前が隠しきれない、どうしようもないネーミング・・・(苦笑)

 

だから診察券にも診療所の名前が入ってないんです。

 

 

患者さんへの郵便物すら診療所の名前は書きません。

 

 

決して診療所の名前は出しません。

(まるでどこかの通販みたいでしょ?)

 

すべて㊙なんです。 

 

 

会社にも内緒で受診してるのに、待合室で会社の上司と鉢合わせして大騒ぎしてた女性も過去におられました滝汗

 

こればかりは、こちらでコントロール出来ない。。。

 

どっちも内緒で受診されてたから、お互いさまなんですけどね真顔

 

 

完全予約制にしてから待合室で患者さん同士が鉢合わせする機会も減りました。

 

もちろん名前では呼びません。

 

当院では20年前から番号札呼び出しです。

 

患者さんの「恥ずかしい」に最大限配慮しているつもりです。

 

だから外で患者さんに出会っても、わざわざ私たちやスタッフから挨拶をしないように徹底しています。

 

決して無視してるワケじゃないので、誤解しないで下さいね。

 

それでも最近はわざわざ患者さんの方から追いかけてきて「先生〜!!」って言ってもらえることが増えてきましたけどね爆  笑

 

 

昔、ネットの掲示板に

 

大阪肛門病院っていう病院があるー!!ここの看護婦さんたちって、職場を聞かれたときに答えるの、恥ずかしくないのかな〜?

 

なんていう書き込みがあって、 世の中では肛門科って忌み嫌われるんだ、私たちは忌み嫌われる職業なんだ・・・と自覚させられたことがあります。

 

 

そんな暗いイメージを払拭したい、

 

痔って言う病気のことをちゃんと知って欲しい もっと気軽に受診して欲しい

 

 

そんな思いでブログを始めました。

 

おかげさまで3年ちょっとAmebaブログでお世話になり、たくさんの読者の方に応援してもらって、アクセス数は毎日9000〜1万近くまで増えて、人気ブログとなりました。

 

初心者が初めてブログを書くのに、すごく書きやすかったAmeba。

 

ブログを引っ越しして全く更新してなかったのに当時、アクセス数が1日6000前後ありました。

 

 

実は2017年にwordpressで公式ブログを立ち上げてから、すごく寂しい思いと虚無感に襲われましたガーン

 

読んでいる人の反応が見えないからです。

 

 

Amebaだと、ブロガー同士のつながりもあり、本当にささいなことなんですが「いいね!」ボタンを押してくれるのが結構嬉しかったり励みになっていたのだと気付かされたのでした。

 

また全く私の知らない人が私のブログを「リブログ」という形で紹介して下さったり、その人のブログで私のことをコメントしてくっださっていたり、反応が見えたのです。

 

でも、wordpressの公式ブログでは反応が全く見えません。。。

 

すごく不安で、あんなに書くことが楽しかったのに、しんどくなっていきました。

 

 

誰かの役に立ってるんだろうか? 

誰かが喜んでくれているんだろうか?

 

って思ってしまったのです。

 

 

診療もブログでの情報発信も、受け手があってこその仕事です。

 

 

診療は患者さん相手なので、すごく分かりやすいですし充実感があるのですが、ネットでの情報発信は本当に難しいです。

 

 

まるで暗闇に向かって、ただ吠えているだけの犬・・・って感じ?笑い泣き

 

 

Facebookの「シェア」ボタンはありますがFacebookって実名じゃないですか。

 

内緒で受診してる患者さんは絶対に「いいね!」も「シェア」も押せません。

 

それが分かってるから診療所のFacebookページも作ったけどしばらく公開しなかったんです。

 

誰も「いいね!」押せないよ・・・って滝汗

 

それに私たちの情報発信の目的は自分たちが人気者になることでも、ビジネスとして儲けることでもなく、ただただ「伝えたい」だけだったので、無料で出来るブログにしました。

 

 

でも どんなに一生懸命心を込めてブログを書いても、読んでくれる人が居なければ書いてないのと同じ。

 

伝わらなければ意味がない。

 

Amebaではランキングも上位ですが、普通に検索しただけでは私のブログは上がってこないんです。。。

 

SEO対策をしてないから仕方ないのですが、読んでもらうためには検索で引っかからなければならない。

 

 

そのためにブログを引っ越したのですが、1日1万6千PVあったブログが2018年8月のGoogleアルゴリズムの改訂により千前後まで激減、検索しても表示されなくなってしまいましたガーン

 

私の外来に来られる患者さんからもよく言われるんです。

 

 

「先生のブログ、もっと早く見つけたかった。だったら手術受けなかったのに・・・。検索しても全然出てこなくて、どこかの掲示板で、大阪肛門科診療所にかかった患者さんが教えてくれて知りました。」 って。

 

 

確かに・・・ ネットで自分たちの領域のことを検索することって皆無だけど、「痔」で検索しても全く上がってきませんでした汗

 

 

そりゃそうだ。

 

ブログの記事、検索ワードなんて意識して書いたことないしあせる

 

私たち、本当にSEO対策ゼロです(でした・・・。これからは、ちゃんとやらないとね)

 

ホームページだってブログだって SEO対策したことないんです。。。

 

そりゃあ、検索しても上がってこないし 上がってこなければ届かないよね。私のメッセージ。

 

 

そのために公式ブログを閉鎖しホームページをリニューアルしました。

 

業者さんが完璧にSEO対策をし検索で上がってくるように作ってくれました。

 

結果はこれからです。

 

どうなるか分かりませんが、私は私で、このアメブロで発信は続けようと思います。

 

 

 

診療所のセラピードッグ「ラブ」あしあと

肛門や便の無料画像を検索すると

ラブの写真が滝汗

喜んでいいのか

複雑な気持ちです・・・

 

 

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