「最後の砦」だと思って来ました | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

うちの診療所は自由診療です。

保険が効きません。

だから最初からうちの診療所を選んで来て下さる患者さんは少ないです。

だって保険の効く肛門科は星の数ほどありますからえへへ…


まずは保険の効く肛門科に行って

そこで治らなければ

最終手段として考えておこう


という人も多いようです。

実際に

「ここの診療所のことは

もう何十年も前から知ってました。

ホームページも時々チェックして

困ったらここに行こうと思ってました。」


と言われることもしばしば。

ずっと心の片隅に、うちの診療所のことを置いて下さっている人も多いです。

中には色々な肛門科を10軒以上回ってから、うちの診療所に来られる患者さんもいます。

そのような患者さんからよく言われます。

「最後の砦だと思って来ました」

って。

そんな風に言って頂けることを嬉しく感じると同時に

うちが治さなきゃ誰が治す?!

という責任感とプレッシャーも感じますバフッ!

何軒も肛門科を回ってこられる患者さんの中には

何度も手術を受けているけど治らないほろり

という人や

ずっと通い続けているけど治らないやる気なし

という人や

たくさんの肛門科を回ってきたけど、行くところによって診断が違ったり、勧められる治療が違うので混乱してしまったえ

という人まで、本当に色々です。

診察の結果


やり直しの手術が必要なことだってありますし

全然手術なんていらないケースも多いですし

痔じゃなくて正常肛門だったびっくり


ということまでありますふー

また


ちゃんとした説明を聞きたくて

なぜ自分が痔を繰り返すのか知りたくて



受診されることも多いです。

そんな患者さんにとったら

最後の肛門科

なのです。

もう名だたる肛門科は全国津々浦々全部回ってきて他に行くところがない

という人もいます。

ここでダメだったら
もう他に行くところが無い
他には行かない


という状況なので責任重大です汗

すごいプレッシャー感じます>w<

幸い、「最後の砦」と言って来られた患者さんに喜んでもらえたので良かったですが、うちのような小さな診療所では対応出来ない患者さんもおられるのが現状です。

例えば・・・

重篤な心疾患があったり、てんかんなどの持病がある人、超高齢者で全身状態が悪くて麻酔科や内科、脳神経外科などと一緒に管理しなければ手術も出来ないようなケースです。

何かあった時に対応できないからです。

そのような人は手術自体が危険な行為となるため、手術をお断りしたり、どうしても・・・という患者さんの強い希望がある場合は大きな病院を紹介して、そちらで手術を受けてもらうこともあります。

そうなんです。

うちでは健康な人しか手術出来ないんです。

だってうちの診療所には内科も外科も脳外科も麻酔科も無いですから。

うちの施設は肛門科だけなんです。

それが「強み」でもあるのですが「弱み」でもあるのです。

それに診療所は消防法上自主避難できる人しか入院させてはならないことになっています。

そう。

足腰悪い人や、体が不自由で動くのに介助が必要な人や、自分で身の回りのことが出来ない人は入院出来ないんです。

入院の目的は術後出血の予防便通の管理です。

手術方法によっては安静も必要になってきます。

決して老人ホームのようにお世話をするための入院ではないんです2

そう言う意味では「最後の砦」にはなれないでしょうね・・・。

幸い、今まで来られた患者さんには

こんなに説明してもらったのは初めてです

とか

痔を繰り返す原因がやっと分かりました

とか

10年以上悩み苦しんできた肛門のかゆみからやっと開放されました

とか

何度切っても治らなかった痔瘻が治りました

って喜んでもらえましたが

肛門科だけしか出来ない私たちには

引き受けられないケースもあります。


肛門科的に「最後の砦」になれたらいいな・・・と思っています。

そうなれるよう頑張りたいと思います4


blog472

診療所のセラピードッグ「ラブ」
ラブがこうして診療に関われるのも
自由診療だからこそ
患者さんに良いと思ったことは
コストを考えずに
取り入れられます