見えないところでどれだけ誠実に仕事できるか | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

数年前に診療所のトイレを改装しました。

トイレの床に段差があったため、バリアフリーにしようと床をめくっての工事になりました。

そうしたら・・・

床下から大量のゴミが出てきたんです(;。;)

工事で出た廃材などが埋められてたんです(;。;)

きっと建物を建てるときに出た建築資材のゴミなんでしょう。

コンクリートで固めて上から床材を貼ってしまえば見えません。

黙っていればバレません。

それにゴミを廃棄するのにもコストがかかります。

埋めてしまえばコストダウンにもなります。

ま、理由は色々あるにせよ、ちょっとガックリしましたね(-_-;)

今の診療所の建物が建てられたのは40年くらい前。

大手ゼネコンの有名な建設会社が建てたものです。

天下の〇〇工務店と言われ、しっかりした建築物を建てると評判だったはず。

その仕事がこれですか・・・(-_-;)

本当に残念でした(-_-;)

大手だから、有名だから、評判がいいからって仕事がしっかりしているとは限らないのだと思いました。

今は大手ではなく知り合いの工務店に建物の改修をお願いしていますが、

そこは別に有名でもなく、ゼネコンでもなく、評判がいいから頼んだのでもなく、ゼネコンの下請けをしていた工務店です。

そこの社長さんの誠実なお人柄に惹かれ、もう16年のお付き合いになります。

blog241

診療所のセラピードッグ「ラブ」
外でトイレをさせることはマナー違反であると自覚を持ってください。
盲導犬と同様、一般の家庭犬も外でトイレをさせないようにします。
トイレは必ず自分の家でさせてください。
(日本アニマルセラピー協会)


建築関係のお仕事って医療とよく似てるんですよね。

業界用語が多いし、一般人には理解できない難しい専門的なことが多いため、結局、最終的には業者を信用してお任せするしかないんですよね。

医療もそうですよね。

専門的なこと言われても分からない~

ってなることありませんか?

そして手術や治療になると

お任せします

ってなりますよね?

そこでお客様から見えないところでどれだけ誠実に仕事が出来るかって、とっても大切だと思うんです。

見えなければ何してもいいんですか?

バレなければズルイことしてもいいんですか?

シロウトには分からないから金儲けのために必要のない工事をしてもいいんですか?


お客様の無知につけ込んで仕事を取ることも出来るし、悪いことだって出来てしまうんです。

これ、医療に当てはめると同じなんですよね^_^;

特に肛門科って患者さん(お客様)から見えない、分からない部位(場所)ですよね?

だからいくらでもやろうと思えばこちらの好きに出来るんですよ。

ある意味すご~く、医者として、いや人間としての良心を試される仕事なんだと思います。

医療は慈善事業じゃない!

そんなことしてたら病院つぶれるで!

病院を経営すると言うことは医者であると同時に経営者なんだから、ちゃんと経営のことを考えてたくさん手術を取らんとあかんで!


16年前、同業者の先輩医師から散々言われました。

それでもクソ真面目に誠実にやってきました。

いやがる患者さんを説得して手術をすすめたり

軽い痔の人に手術!って言って手術したり

目標手術件数に満たないからってこちらの都合で手術を入れたり

出来なかったんです・・・。

「手術しなくてもいいですよ」と言ったときの患者さんの笑顔が忘れられないんです。

患者さんの笑顔が見たくて

患者さんから「ありがとう」の言葉が欲しくて

この仕事をやっているので、

患者数や手術件数、売り上げを目標にするとしんどくなるんです(;。;)

手術を受けて治った患者さんの笑顔もステキです。

だけど「手術しなくてもいいんだ!」って分かったときの患者さんの笑顔も本当にステキです。

嬉しくて涙を流す人までいるんです(T_T)

こんなことやってるとね

確かに手術は激減しました。

でも病院はつぶれませんでした。

それはうちの診療所が自由診療だからという理由も大いにあると思います。

だけど何か「目に見えない力」を感じながら歩んできました。

院長(私の主人です)が言ったんです。

「経営的には自分たちのやり方は間違ってるかもしれん。

でも、切らんでもいいオシリ切ってまで病院を残したいとは思わん。

そうしないと病院がつぶれるって言うんやったらつぶれるべきやと思う。

患者さんに迷惑かけてまで病院を続けたいとは思わん。

こんな自分たちを必要としてくれる患者さんが居る限り、細々とかもしれんけど続くやろ。

必要としてくれる患者さんが居なくなったら、それこそきっぱりやめるべきやで。」


おかげさまで16年、こんなやり方でも分かって下さる患者さんに支えられてここまで来れました。

これからのことは分かりません。

でも、どんなに時代が変わろうとも「医療の本質」は変えてはいけないと思います。

自分たちの利益のためではなく患者さんの利益のために

そして

知りながら害をなさない

この姿勢はこれからも変わることはないでしょう。

見えないところで誠実に仕事をしていきたいと思います。


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