痛くない手術方法? | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

今日はゴールデンウィーク中の平日。

皆さん、遊びに出かけておられるのか、例年、外来は空いているのですが、今日は混みました・・・(;。;)

朝からひっきりなしに診察をして、やっと今、午後の診察が終わったところです。

予約がいっぱいで初診の方を10名ほどお断りしました。

すみませんm(_ _)m

うちの診療所は自由診療で、一人の患者さんに30分の時間をとっているため、1日に診察出来る患者さんの数が少ないです(-_-;)

「どうしても今日診て欲しい」という希望の方が多かったようですが、お引き受けしても一人当たりの診察時間を削ることは出来ないため希望のお時間に診察することができません(;。;)

中には30分以上かかってしまう患者さんもおられるため、予約制なのにお待たせしてしまいます・・・。

本当に申し訳ないのですが、一人一人の患者さんが満足して納得して帰られるまで手を抜くことが出来ません。

ご理解の上、予約をお取り頂けると助かりますm(_ _)m

さて、前置きが長くなりましたが、ちょうど手術患者さんがおられる時期なので今日も手術の話です(*^_^*)

うちの診療所の評判を聞いたり、患者さんのブログ「痛くないよ」を読んだり、ホームページにある手術体験記を読んだりして、

そうか。
ここの手術は痛くないんだ!


と、手術に関してお問い合わせを頂いたり、受診された患者さんから質問されることがあります。

「どんな手術方法で痔核の手術をやってるんですか?」

って訊かれます。

入院手術は「結紮切除術」です。

痛みが少なく、術後、全く痛み止めを飲んでいない患者さんもおられます。

お答えすると「分かりました!じゃあ、同じ手術方法で手術してくれる保険の効く肛門科を教えて下さい!」

って言われたことがあります。

この結紮切除術、別にうちの施設だけがやっている特別な手術方法じゃないんです。

どこの施設もこの手術方法でやっていると思います。

そうお答えすると、

「えっ?!何か秘伝の方法があるんじゃないんですか?」

とビックリされてました。

「はい。痔核の手術といえば、このやり方でやっているところが多いと思いますよ。」

とお答えして、いくつか保険の効く有名な施設をお伝えして行ってもらったことがあります。

だけど・・・

「むっちゃ痛い(>_<) 排便の時は地獄・・・。排便に関係なくずっと痛くて座れない・・・。聞いていた話と全然違う!」って言って来られました。

でも、術式も同じ「結紮切除術」です。

どうしてこんなにうちの患者さんと違うのでしょう?

それは「痛くない術式」があるのではなく「痛くない工夫」があるのだと思います。

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診療所のセラピードッグ「ラブ」
どれがラブか分かりますか?
トイ・プードルだからってみんな同じじゃないですよね?
種類が同じでも
犬だって一匹一匹違いますよね(*^_^*)




痔核を切除して縫うという結紮切除術。

その痔核をどれくらいの幅で切除して、どこまで縫うか

とか

肛門の広さはどれくらい確保するのか

とか

奥の痔核をどこまで切除して結紮するのか

など、一人一人患者さんのオシリによって手術が違うんです。

縫い方の工夫やどんな糸を使うか、どれくらいの強さで縫うかなども症例ごとに違います。

あと「便通の管理」が大きく違いました。

術後に便を出さずにいたり、便が出た後に残っていたりすると傷口に便が付いて痛みが持続したりします。

便を出す工夫も毎日やっています。

入院中なので1日に何度も診察することがあります。

とにかく便通第一で、必要に応じて薬を使ったりします。

これは患者さん一人一人皆さん、違います。

普段便通の良い人でも、手術のあと便秘になる場合もありますし、毎日、便通も違いますから、状態を見て毎日対応しています。

手術しっぱなしではちゃんと治りにくいです。

便さえ出せば痛みが楽になることも多いですし、手術自体が医師により一人一人違うと思います。

その当たりの工夫は医師によって異なります。

肛門科を専門にしている医師は自分なりに工夫をしていることが多いです。

だから正解はないです。

正解は患者さんによって異なります。

一人一人に合った手術をしています。

教科書通りに手術をすればいいというものではありません。

むしろ教科書に書いてないことが大切だったりします^_^;

だから「痛くない手術方法」があるのではなく

「痛くないように手術をしている」だけ
なんです。

どこで受けても、誰にやってもらっても同じ手術は一つとして存在しないと思います。

医師の数だけ、患者さんの数だけ手術があります。

だから手術方法や、使っている注射薬や薬が同じでも結果は違うんです^_^;


誰がやっても、どこで受けても、痛くない手術方法なんてありませんよ。

痛くないよう工夫をしている先生を選んで受けて下さいね。

でも「痛くないこと」よりも「ちゃんと治ること」の方が大切ですよ(*^_^*)