昨日に引き続き注射療法のお話です。
ジオン注射は内痔核治療法です。
裂肛(切れ痔)や痔瘻は治せません。
じゃあ、痔核であれば何でも治せるのか?
というと、これも微妙です。
なんせ対象は「内痔核」です。
女性の患者さんが気にされる外側の痔核や皮膚のたるみをキレイにすることは出来ません。
また痔核(イボ痔)を切除する手術と違って、「取らない」わけですから、消えて無くなるわけじゃないんです。
「固めて縮める」といったイメージでしょうか。
だから、しばらくは調子よかったけどまた大きくなって出てきたり、
患者さんによったら「注射療法をしても何も変わらなかった」ということもあります。
そして結局は最終的に手術を受けられることもしばしば・・・。
うちの診療所に来られる患者さんのほとんどが再発です。
注射療法をやっても治らない
外側のたるみがきれいになってない
また脱肛がひどくなった
というケースが多いです。
その時に問題になるのが、ジオン注射をした部位が硬くなって手術操作がやりにくい場合があることです。
固められた痔核組織がケロイドのようになって、硬くなっていることがあります。
その部分を切除すれば治ってしまうケースもありますが、硬い部分が残ってしまって肛門の伸びが悪くなってしまったケースもありました。
この硬さが肛門の違和感や排便障害につながることもあるでしょう。
手術も注射療法も「やり過ぎ」は元に戻せないことがあります。
あとで修正できないこともあります。
取り過ぎた肛門は元に戻せないのと同じで、注射をやり過ぎた肛門も同じように元に戻せません。
注射療法の方が手術よりも安全だと思っていませんか?
注射療法の方が手術よりも痛くないって思っていませんか?
私は手術の方が安全だと思っています。
手術には歴史があります。
手術の歴史は古いです。
先人の技術の蓄積があります。
また手術は薬に頼った治療ではありません。
体内に入った注射薬のことを心配する必要もありません。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
犬が飼い主・家族を単なる世話人と思っている状態のことを
従属者症候群と言います。
これを直すには一口ずつ餌を与え、
「待て」「良し」の繰り返しにより完全服従を身に付けさせます
犬が飼い主・家族を単なる世話人と思っている状態のことを
従属者症候群と言います。
これを直すには一口ずつ餌を与え、
「待て」「良し」の繰り返しにより完全服従を身に付けさせます
うちの診療所は今年で創立102年。
その間、ずっと手術治療を中心にやってきました。
70年前に当院で手術を受けられた患者さんが来られることもあります。
オシリを診てホッとします。
患者さんのオシリを通して2代前の院長がやった手術が見えます。
肛門の変形もなければオシリのしまりも悪くない
いい手術してる・・・
と嬉しくなりました。
私もそうありたいです。
50年後に、私が手術した患者さんを診た後継者に、恥ずかしくないような手術をしたいと思いました。
ジオン注射は導入されてからまだ10年足らず。
まだまだ分かりません。
後障害の患者さんがどうなっていくのかも分かりません。
それに内痔核だけしかない患者さんってそんなに多くないです。
だいたい内痔核も外痔核も両方持っている人が多くて、
女性患者さんのほとんどが外側の外痔核や皮膚のたるみを気にされています。
だから注射療法で中だけ治しても外側は残ります。
それが注射療法の限界です。
あなたは注射療法の限界を知っていますか?
あなたの気にしているものは「内痔核」ですか?
外の痔核やたるみは注射療法ではきれいにならないことを知っていますか?