痔を治すつもりで受けた肛門の手術で、後遺症が残り悩んでおられる方が時々来られます。
ほとんどは30年以上前の手術です。
後遺症と言っても様々な状態がありますが、悩みの多くは「便漏れ」です。
肛門のしまりが悪くなって、あるいは肛門のしまりが無くなってしまって、便が漏れてしまうんです。
肛門の穴の開け閉めに関わる括約筋を切断されていたり、丸ごと無くなっていたりします。
穴が変形していたり、臀部の肉がえぐり取られて、オシリの形が原形をとどめていないようなケースもありました。
肉が無いからまっすぐ座れないと困っておられることも・・・。
そのような後遺症は手術直後に出ることもあれば、手術を受けたあと随分たってから出てくることもあります。
30年以上前の手術ですから、手術をした医師も他界しておられますし、医院も無くなっています。
だから何の痔で、どのような手術をしたのか、確かめようもありません。
患者さんに尋ねても
イボ痔だったかな・・・
いや、痔瘻って言われたような・・・
と記憶も曖昧です。
肛門の穴が常に開きっぱなしなので、当然、便意を感じたらすぐにトイレに駆け込まないと間に合いません。
また、便が残っていると、排便後も常に便が出てきて下着が汚れます。
多くの人はナプキンを当てたり、オムツを当てたりして対処しておられました。
なぜこのようなことになってしまったのか?
それは取り過ぎたからです。
切ってはいけない筋肉を切ってしまっていたり、組織を大きく取り過ぎているんです。
無いものは戻せません。
取り過ぎた肛門は元に戻せません。
だから手術に当たっては専門的な知識と経験、それに基づいた熟練した技術が必要です。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
セラピー犬の認定条件・その2
「生後8ヶ月以上であること」
成犬に比べ、子犬はストレスを受けやすく、
極力、活動は控えます。
セラピー犬の認定条件・その2
「生後8ヶ月以上であること」
成犬に比べ、子犬はストレスを受けやすく、
極力、活動は控えます。
後遺症で悩んで来られる患者さんのほとんどが、専門外の医師による手術を受けておられました。
今でも肛門科を専門とする医師が少ないです。
ましてや30年以上前となると、もっともっと少なかったでしょう。
うちの診療所は明治45年に創立されています。
創立当時から「肛門専門病院」でした。
数は少なかったようですが、うち以外にも専門施設はちゃんと存在したんです。
たまに、60年前にうちの診療所(当時は「大阪肛門病院」という名称)で手術を受けた、90歳近くの患者さんが来られますが、肛門の変形も無ければ、オシリのしまりもいいです。
オシリを見てホッとしました。
ちゃんとした手術してる・・・
って安心しました。
どんなに時代が変わっても、
医学が進歩しても、
原理原則と基本は何も変わらないんじゃないかって思いました。
そして大阪肛門科診療所がいつまで続くか分かりませんが、後継者に、さらには100年後にカルテを見た人間に、恥ずかしくないような手術をしたいと思いました。
世の中の人々は「お医者さん」って言うと、何でも知ってると思われているようです。
他でもない、この私がそうでしたから^_^;
でも自分自身が医者になってみて思いました。
なんにも知らないんだ・・・って。
医師には専門分野がありますから、それ以外のことって本当に知らないんですよね。
だけど専門分野に関しては深いところまで突き詰めています。
それが持ち場なんだと思います。
肛門科に限らずですが、なるべく専門性の高い施設や医師を選んで治療を受けることをオススメします。
医師には専門性があります。
皆、得意領域が違います。
あれこれたくさんのことを一人の医師が出来るわけではありません。
その医師の得意領域は何か?ということが大切です。
あなたのおかかりになっている先生の専門は何ですか?
何を得意としている先生ですか?
肛門に関しては専門性の高い先生にかかってほしいです。