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日帰り手術・・・っていうと、便利で楽ちんというイメージを持っている人が多いです。
入院手術の方が大げさで重症感が漂うみたいです^_^;
でも本当にそうでしょうか?
うちの診療所では入院手術と日帰り手術で
手術方法が違います。
なぜなら
日帰り手術は「安全に帰さなければならない」ため、
なるべく出血リスクの少ない手術方法を選択します。
例えば「痔核(イボ痔)」だと糸でしばる「結紮療法」がメインとなります。
入院できるとなると、メスやはさみを使ってイボ痔(痔核)を奥の方まで切除する方法でやっています。
どちらが痛みが少ないか?
というと圧倒的に入院のやり方の方が痛みが少ないです。
患者さんにお話しすると
「えっ?!切る方が痛みが少ないんですか?」
とよく言われます。
そうなんです。
切る方が痛みが少ないです。
糸でしばるやり方の方が痛いです。
だってよく考えてみて下さい。
糸でしばっていますが、ゆっくりじわじわ糸で「切っている」わけです。
麻酔が効いている時にバッサリと切られるよりも痛いですよね?
切っている手段がメスやハサミなのか、糸なのか、という違いがあるだけでどちらとも切除しているわけです。
だから結紮療法は「切らずに治す」ではなく「切って治している」んですよ。
どっちも切ってるんです。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
希望される患者さんに「犬介在型診察」をやっています
犬がいると緊張がほぐれるようです(*^_^*)
希望される患者さんに「犬介在型診察」をやっています
犬がいると緊張がほぐれるようです(*^_^*)
手術方法が違うから術後の痛みも違うんだ・・・
と私もずっと思ってました。
でも、最近、日帰り手術のやり方「結紮療法」で手術を受けられて、1~2泊される患者さんが増えてきました。
そこで驚いたんです。
入院すると皆さん、痛がってないんです!
日帰りで帰った患者さんは手術当日の夜から翌日は結構痛かったと言われるのですが、
診療所に泊まった方は全然、痛がっておられなかったんです^_^;
入院手術の「切る方法」で手術を受けられた患者さんと同じように、元気に楽しそうに入院生活を送っておられるんです。
痛み止めもいらない、と言われた患者さんもおられたくらい・・・。
なんでなんだろう・・・って色々、患者さんとお話しして考えたんですが、
やっぱり「安心できるから」っていうのが一番大きいのかなと。
あと、安静も保てるからでしょうか・・・。
とにかく痛がられる患者さんがいないんです。
うちの診療所は24時間365日、受診された患者さんからの電話を受けています。
手術後、家に帰ってから不安だったり、何か心配なことがあると電話してこれるようにしています。
特に一人暮らしだと夜は不安になるようです。
不安になると痛みも増強するようです。
なので痛みと精神的なものってすごく関係が深いと思いました。
そもそも日帰りだから軽い楽な手術で、入院の方が重くて大変な手術、っていう認識そのものが間違ってると思うんですよね。
だってそうでしょう?
わざわざ入院してやるようなことを、無理して日帰りでやるんですよ。
それなりの工夫や技術も要求されますし、患者さんにもそれなりの覚悟が必要なんですよね。
全部自分で管理しなければならないわけですから。
入院すると四六時中、医師と看護師が対応できます。
夜も回診がありますし、翌日の排便もサポートできます。
術後の排便管理はとても大切なので、入院患者さんは毎日排便チェックもできるのでこちらも安心です。
日帰りで帰られた患者さんはこれらの管理を自分で背負うわけですから決して楽ではないのです。
だから私は手術の説明をする時には甘い話はしません。
渋い話ばっかりしています^_^;
それで
「そんなに大変なら、やっぱり手術や~めた。」
ってなる人もいるでしょう。
でも、そうなる人は今は手術を受けない方がいいと思っています。
だってまだ準備が整ってませんから。
誰かが何とかしてくれる
先生が私のオシリを治してくれる
と、思っている患者さんには言うんです。
「治すのは私じゃなくてあなたです。
私はそのお手伝いをするだけ。
一緒に頑張れるんだったら手術考えて下さいね(*^_^*)」
だって患者さんの代わりに私が手術受けれませんし、
患者さんの代わりに便を出してあげることもできないんです^_^;
心の底から「治したい!良くなりたい!」という気持ちは治療する上でとても大切です。
その気持ちが自己治癒能力を高めると思っています。
だから心と体の準備が整うのを待つんです。
その準備が整った患者さんが痛みが少ないのかもしれません^_^;