手術はそんなに多くない | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

第34号
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昨日・今日の二日間は診療所の入院手術日です。

以前は24時間365日いつでも手術を引き受けて、常に入院患者さんがいる状態でやっていましたが、2007年より診療所に名称変更してからは月に数日間、まとめて入院手術をやるようにしています。

だから以前はお正月も入院患者さんがおられたんですよね。

おせち料理を患者さんと一緒に食べたことをなつかしく思い出します(*^_^*)

毎年、年越し入院をされている方が必ずおられました。

実はこれってすごく危険なことなんですよね^_^;

なぜって、他の病院は年末年始、どこも閉まっています。
当直や日直はありますが、当然、交代で医師や看護師も休んでいるわけです。
普段よりもスタッフが少ない態勢なんですよね。

うちに入院されている方は痔の治療で入院されているのですが、
中には重篤な心臓病を持っておられたりする方もいるわけです。

痔で死ぬことはないですが、心臓病で死ぬことはあるわけです。

私たちは痔に関しては自信を持って対応できますが、
心臓のことは全くの専門外で何も分かりません。

ですからもしも入院中に心臓の具合が悪くなったりしたら大変なんです。

普段であれば近所にある大きな病院に行ってもらうことも出来るのですが、
年末年始だけは、どこもかしこも閉まっています。

要するに医療が手薄になりやすい期間だということです。

なので、年末年始の期間は手術すべきでないと判断し、やめました^_^;
何かあってもこちらが対応できないので、手術を引き受けることは、かえって無責任になると思ったんです。

それに痔という病気は緊急性を要しません。
痛いかもしれませんが痔で死ぬことはまずないです。

年末年始に手術をしなければならないということもないです。

ただ、お仕事がお休みなのでその間に直してしまいたい、という「仕事の都合」があるだけですからね^_^;

そして私たちが大阪肛門病院を継承して、もう16年です。
手術件数は昔と比べると減っています。
受診される方はそんなに減ってないので、手術率が減っているということです。

痔・・・というと「すぐに切られる」からこわくて肛門科に行けない

という患者さんが未だに多いです。

痔というと「手術!」というイメージがある方も多いです。

でも、手術が必要なケースは少ないです。
さらに、本当に手術を受ける人はもっと少ないです。


診療所のセラピードッグ「ラブ」
「犬のようちえん」では色々なところに散歩に行きます。
大きなワンコとも仲良しです(*^_^*)




うちの診療所でどれくらいの人が受診して、どれくらいの人が手術を受けているのか調べてみました。

年間、だいたい5000人の患者さんが来られて、
医学的に手術が必要な人がそのうち1割くらい、
実際に手術を受けられる患者さんは1割の中で半分もいません。

だから手術率は5%以下です^_^;

他の人は

手術をしなくても治っている

あるいは

切らなくても症状が良くなっている

という結果でした(*^_^*)

だから皆さんが思っているほど手術って多くないです。
切らなくても治る病気もいっぱいあります。

ちなみに日本の中でもかなり患者数が多い肛門科の施設、
東京の社会保険中央総合病院 大腸肛門病センターでも、手術率は2割前後だそうです。
「手術が必要な症例ってそんなに多くないよ。」と先生が言っておられました。

なんでもかんでも手術って言うわけじゃないんです。
手術が必要なケースでも便通を直したら症状がなくなることもたくさんあります。

だから「切られる!」と思って肛門科受診をためらっている方がいたら背中を押してあげたいです。

手術になるケースってそんなに多くないですよ(*^_^*)
手術しなくても良くなる病気もありますよ(*^_^*)
手術って言われても、するかしないかは、あなたが決めていいんですよ(*^_^*)


だってそうでしょう?

痔はどんなにひどくても良性疾患です。
放置しても死ぬことはありません。
つらくなってから手術を考えたっていいんです。
手術せずに痔とうまく付き合ってもいいんです。


それは医者が決めることではなく
患者さん自身が決めることです。


あなたがどうしたいか?
それを大切にしてください。

自分の体のことです。
他人任せにしないことです(*^_^*)

そうすればどんな選択をしても悔いが残らないと思います。