腰痛治療新情報 from ハーバード大学 | Dr.松下の健康情報ブログ

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健康情報「Harvard Health Publications」に2017年7月6日に掲載された、ハーバード大学医学部准教授のRobert H. Shmerling, MDの記事で、「腰痛の治療法は完全に変わるべきだ」と報告しています。

 

この報告は、150件超の疫学的研究をレビューした結果を基に作成された、The American College of Physiciansの新ガイドラインを紹介しているものです。

 

Shmerling准教授は、「私が医学生だった1980年代初頭には、酷い腰痛の患者は1週間やそれ以上の期間のベッドでの安静がしばしば推奨されていた。 しかし今日では、それが腰痛を改善しないばかりか、しばしば悪化させることが研究の結果判明し、1日か2日程度は無理をせず、その後は徐々にストレッチや背中の筋肉強化などの運動を増やすことが勧められ、長期間の安静は良くないことが判明している。」と指摘しています。

 

そして、「非ステロイド抗炎症薬(アスピリンやイブプロフェンなど)や筋弛緩剤などの投薬は、腰背部痛の最初の治療の標準とされてきたが、2017年2月に公布された(新ガイドラインの)推奨によって、医師は腰痛へのアプローチを再度修正することを迫られている。」とShmerling准教授は述べています。

 

最新の研究では、「非ステロイド抗炎症薬はほとんど効果がない」、と判明しています。

 

しかし、腰痛治療の新ガイドラインによる推奨では結論を更に進めて、「少なくとも腰痛の初期には総合的にみて全ての薬物療法を避けることが最善と考えられる」、と指摘しています。

 

つまり、腰痛の治療では薬はあまり効果がなく副作用のリスクがあるので使わないことを勧告しているのです。

 

腰痛治療の新ガイドラインでは、以下の治療法を推奨しています。

 

発症から12週間以内の急性・亜急性期の腰痛:

 

カイロプラクティックによる脊椎矯正

鍼灸

マッサージ

温熱療法

 

万一、上記の療法を試しても十分な効果がない場合は、非ステロイド抗炎症薬や筋弛緩剤を用いることが穏当なオプションとなるが、僅かな効果と副作用の可能性から、それらは第1の選択とはならない。

 

12週間以上続く慢性的な腰痛

 

鍼灸

理学療法

運動療法(バランスや深部体幹筋の強化、ストレッチ等を含む)

ストレスを減少・対処するためのマインドフルネスを基調とした心理療法

 

太極拳やヨガ、進歩的リラクゼーションテクニックなども助けとなるアプローチの例である。

 

但し、この推奨は「非定型的な腰痛」を対象とするものであり、大きな怪我、癌、感染、骨折などの重大な疾患による腰痛は医師(MD)の診療を必要とする。

 

 

この新ガイドラインの推奨から導き出される結論は、

 

腰痛で薬を使用しない

(整形外科からの処方薬、薬店での市販薬を含む)

 

カイロプラクティック医師(DC)の診察を受ける

(米国の正規のカイロ医師はX線検査も行えるので、癌や骨折などの診断もでき、必要に応じて専門医を紹介するので先ず相談する第1次医療として最適)

 

鍼灸の治療を受ける

 

理学療法(物理・温熱療法、運動療法を含む)を受ける

 

という事ですね。

 

 

一般の患者さんも、医師や医療従事者の方々も、古い指針を捨てて、最新の知見に基づく「新ガイドライン」に準拠した医療を理解し、それに従がうようにする必要があります。

 

既に腰痛があり、もう整形外科に受診して鎮痛薬、筋弛緩剤、シップ薬などを出してもらって服用しているけど効果が芳しくない患者さんも、今からでもカイロプラクティックや鍼灸など、新ガイドラインによって推奨されている医療を受けることが賢明でしょう。

 

参考になれば幸いです。

 

貴方の健康と幸せのために。