(357)どんな座布団が良いのですか? | 大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

「切りすぎた肛門は元には戻せないんだよ・・」故隅越幸男先生の言葉をいつも心の真ん中に置いて「切りすぎない手術」「切らない肛門診療」を追求する肛門科専門医が、手術のこと、治療のこと、日常のことを、綴ります。


患者さんからの質問です。


育休を終え、今月から仕事復帰したのですが、職場の椅子のお尻心地が悪く、座布団を敷こうと考え中です。
以前、みのり先生に、ドーナツ型の座布団は、痔が腫れているときはいいけれど、普段は鬱血を助長するとお聞きし、その時に、先生はテ〇ピュールを使っているとおっしゃっていた記憶があり、調べてみましたら、テンピュー〇の座布団にもドーナツ型など、いろいろ種類があり、どれにしようかと迷っています。先生はどんなものをお使いでしょうか。


実は、自分が使う座布団は大して気にしていません(笑)。
手に入りやすいきわめて普通のものを使っています。
食卓用のイスは木製でさすがにそのままではおしりが痛いので、そこには無印〇品の平らで低反発のものを使っています。


ドーナツ型の座布団は円座と言われます。
基本的に私は反対派です。
この方が質問の中に書かれているとおりで、穴が開いているところだけ血が溜まりそうでしょ?
うっ血を助長するんじゃないかと・・(笑)
ま、これは推測の域を出ないにしても、手術後の患者さんのキズが治るまでの期間に限定して言えば円座は勧めていません。
その理由は、「座れてしまうから」です。
座るだけでおしりはうっ血するのですが、円座を使用するとおしりの限界は超えているのに座れてしまうのです。
手術の後というのは、少しの負担でもすぐに影響が出がちで多くの場合あとから痛くなります。
円座で頑張って座った結果、翌日辛いということになりがちです。
だから術直後の方でも「後は少々辛くてもいいから、この日のこの会議だけ、絶対に出席しないとダメなんです。」とおっしゃる方には私から円座の使用を提案することもあります


あと術後に円座を使った方って、なぜか手術のキズが完治した後も、ずーっと円座を持ち歩くようになる人が多いように思うんです。
やっぱり想像以上に「楽ちん」なんだと思います。
でも、せっかく痔を治したのに、(私から見たら「不必要な」)ルーチンが増えるのはちょっとどいかがなものか・・という思いを持っています。


以上のような理由で、とっても楽ちんな円座は敢えてオススメしていないというところです。
私と全く逆のご意見の先生も当然おられると思います!
オススメする先生からすれば、その理由は多分「ホントに楽だから」ってことでしょうね(笑)


そういうわけで、当院の患者さんで座布団をご希望の方は、低反発系の座布団を使う方が多いのですが、良いモノをご希望の方は色々試した挙げ句、最後に「テン〇ュール」に辿り着きます
結構高価ですが私が現在知っている中では一番良い品だと思います。
その中でも私のポリシーに合っているのは、平らでシンプルな座布団です。
私は自分が痔瘻の手術を受けたときにお世話になりました(笑)。
ちなみに当院にも〇ンピュールの座布団があるのですが、これはずーっと前に営業の方が当院を訪問されて置いて行ってくださったのです。
そう、当院なら販売ニーズが高いと思ったのですね。
こちらで販売なさいませんか?」とのご提案でしたが、必要な患者さんには勧めるけれど、当院では販売はしないという対応にいたしました。
この座布団の弱点はややデカいことでしょうか。
でも座るのはすごく楽ですよ。


結局のところ、無〇良品もテンピュ〇ルもそれぞれの良さがあるということですね。
ご参考になれば。


大阪肛門科診療所の女医、
佐々木みのり先生のブログ
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