クルマがスマートフォンに?——。トヨタ自動車は28日、未来をイメージした3人乗り電気自動車「Fun(ファン)—Vii(ヴィー)」を初公開した。車体の側面はタッチパネル。その日の気分に合わせて、車体の色や模様が変えられるのが特徴。車と通信技術の融合を目指す同社らしいコンセプトカーだ。

 12月の東京モーターショーに出展する。生体認証で所有者を見分けるほか、通信インフラを備えた道路ではハンドルを握らない自動運転も可能。バーチャルなカーレースゲームを車内で楽しめるなど、車というよりはスマートフォン感覚。豊田章男社長は「スマホに四つタイヤをつけた車があってもいいと考えた。コミュニケーションの性能を磨けば、車の可能性は無限大に広がる」と話した。

 トヨタ自動車は27日、富士重工業と共同開発した小型スポーツカー「86(ハチロク)」(排気量2リットル)の試作車を初公開した。来春に発売する。トヨタブランドのスポーツカーは1999年の「MR—S」以来13年ぶり。200万~300万円程度と手頃な価格で売り出し、若者の「クルマ離れ」を食い止める。

 車名は、80年代に型式名の「ハチロク」の愛称で親しまれたスポーツカー「カローラレビン」「スプリンタートレノ」から受け継いだ。富士スピードウェイで車を披露した豊田章男社長は「ワクワクドキドキする車は品ぞろえの中に絶対必要。車好きの人に楽しんでほしい」と語った。

 企画やデザインはトヨタが担当し、水平対向型エンジンは独自技術を持つ富士重が設計した。生産は富士重の本工場(群馬県太田市)で行う。日本だけでなく世界各国で発売する。
 トヨタ自動車が独BMWと環境分野で提携交渉を進めていることが分かった。BMWからディーゼルエンジンを調達するほか、トヨタが得意とするハイブリッド車(HV)技術での連携を検討中だ。世界で環境規制が強まる中、開発投資の負担を分担し、環境対応車の充実を図る。

 エコカーとしてディーゼル車が主流の欧州で、トヨタの販売台数は昨年は約80万台で、シェアは約6%にとどまる。排ガスを抑える技術で強みを持つBMWのエンジンを積んだディーゼル車をトヨタブランドの低燃費車として欧州市場に投入。てこ入れを図る。

 トヨタは今後もディーゼル車は欧州以外の地域では主流とならないとみて、開発投資を抑制。強みを持つHVや、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)などに経営資源を集中する方針。