日産自動車のカルロス・ゴーン社長は朝日新聞社などとのインタビューに応じ、2012年の世界の自動車市場は新興国を中心に拡大が続くとの見通しを示した。「11年は過去最高の水準になり、12年はさらに更新するだろう。欧州以外のほぼすべての市場で需要は上がる」と語った。

 欧州の債務危機の影響についてゴーン氏は「欧州市場については弱気にみており、需要は減る。11年の11月以降は受注が大きく減り、12年の1月以降の販売に影響が出るだろう」と話した。ただ新興国については、「まだ自動車の保有が増える余地がある。米国でも販売が増え、日本でも補助金などで需要が喚起される」とも語った。

 日本自動車工業会によると、世界の自動車生産は7761万台(10年)。販売台数も同規模とみられるが、ゴーン氏はさらに拡大が続くとの見通しを示した形だ。
 トヨタ自動車が、2012年に世界で売るハイブリッド車(HV)を11年より77%多い114万台と計画していることが分かった。実現できれば、100万台の大台を初めて超える。

 強気の計画は、今年末から年明けにかけて国内外で小型HV「アクア」(海外名はプリウスc)や、家庭で充電できるプラグインハイブリッド車「プリウスPHV」を投入するため。

 既存車種のHV化も含めて11~12年に新たに投入するHVは11車種にのぼる効果も見込んでいる。
 トヨタ自動車は22日、2012年に世界で865万台(トヨタとレクサスブランドの合計)の車をつくる計画を発表した。実現すれば、07年の過去最高台数(853万台)を5年ぶりに更新する。うち海外生産分は525万台で、海外生産比率は過去最高の61%に達することになる。

 トヨタの海外比率は10年実績で57%と、ライバルの日産(72%)やホンダ(73%)に比べて低かった。国内首位メーカーとして、一定の国内生産比率の維持にこだわってきたためだ。

 しかし、超円高は輸出採算を悪化させ、12年3月期連結営業利益を前期比で3500億円押し下げる見込み。12年の海外生産比率を過去最高水準まで引き上げるのは、対ドルで1円円高が進むごとに320億円の営業減益となる経営体質を改善させて、円高耐久力を強めるのが狙いだ。