"今の電話聞かれたかな…" と思いながら

オレはヨウコさんから差し出された缶コーヒーを受け取った

ヨウコさんは何も言わずに少しだけ微笑んだ

二人ともだまって車に乗ってヨウコさんのアパートへ向かう

コンビニから少し離れたところでヨウコさんが口を開いた

ヨウコさん
「れいじクンの奥さんがうらやまし〜な〜」


いきなりヨウコさんはおどけた口調で喋りだす


オレ
「なっ…なにがです?」

ヨウコさん
「ダンナさんに "愛してる" って言ってもらえてさ〜。トシヒコなんか結婚してから一回も言ってくれたコトないも〜ん!」

オレ
「そっ…そうなんですね…エッ!…電話聞いちゃいました?」

ヨウコさん
「気になってさ〜、ワタシ、れいじクンのすぐ後ろにいたのに気がつかないんだもん。でも、れいじクン、ウソがうまいね!スラスラ〜ってホントのコトも交えて、もっともらしく喋ってさ…」

オレ
「イヤ…アノ…」

ヨウコさん
「…奥さんいるから仕方ないけど…ワタシにはウソつかないでね…」


ヨウコさんはそう言いながら

オレの手を握っている自分の手に力を入れた…

オレもヨウコさんの手を握り返した…



その時、オレは確信した…



オレはヨウコさんのことを好きになっている…

ヨウコさんはオレのコトをどう思ってるのだろう…

好意以上の感情を持っているのは確かだけど…

やっぱり確かめたい…

自分の思いを伝えてヨウコさんの思いを確かめたい… 

しばらくの沈黙のあと…オレは口を開いた…



オレ
「オレ…ヨウコさんのコト…」


突然、ヨウコさんはオレの手を離し

その手でオレの口を覆った…


ヨウコさん
「それ以上言ったらダメ…それ以上言ったら、れいじクンは苦しくなるよ…聞いたワタシも苦しくなる…だから、それ以上言ったらダメ…」


"どうして?…どうして?…"

"どうして?…" が頭の中をぐるぐると駆け回る


オレは自分の口を覆ったレイコさんの手を持って口から離した


オレ
「…どうして?…」

ヨウコさん
「………」


車はアパートの駐車場に着いた…

ヨウコさんは太ももの上で両手を組んだ…

オレを見たり正面を見たり落ち着かない…


ヨウコさん
「…れいじクン…ワタシはれいじクンのセフレでいいのよ…」

オレ
「…エッ…」

ユウコさん
「…セフレならいつでも終わるコトができるでしょ…」

オレ
「…セフレって…」

ヨウコさん
「…お互い夫や妻がいるんだもん…気持ちを通じ合わせちゃ…苦しくなるでしょ…」

オレ
「………」

ヨウコさん
「…ワタシね…去年の夏ごろからカナ…壊れちゃったみたいなんだ…あの時はもう壊れてたの…」


去年の夏…

オレとヨウコさんは…



オレ
「…ナニが…あったんですか?…」


ヨウコさんはぽつぽつと話しだした…