またユミの口の中で果ててしまった
ユミがこんなことするなんて…
ユミはとても不安なんだろう…
でも…オレは…
下半身は快感の余韻が残ったまま…
なぜか、ヨウコさんとの夜を思いだす…
忘れなきゃ…もう…会ってはいけない…
オレはユミと重なりあって…
また眠りについてしまった…
ユミと一緒に起きたら午前10時を回っていた
ユミの実家の庭ではセミの合唱が始まっていた
今日も暑くなりそうだ
ユミ
今日は何時ごろ向こうへ戻るの?
オレ
う〜ん…21時頃には着きたいなぁ…
ユミ
そうだよねぇ…じゃあ、16時か17時にはこっちを出ないとねぇ…
オレ
そうだね…それくらいには出たいよね…
ユミ
その時間までなにしようカナ?
オレ
まだ買い物あるなら、どこでも行くよ。
ユミ
取り敢えず赤ちゃんのために買わなきゃいけない物はだいたい揃えたし…
朝食と昼食を兼ねた素麺を運んできてくれたお義母さんが会話に入ってきた
お義母さん
どこへも行く予定がないなら、お父さんのかわりにヤスオさんのところへお中元届けてくれないかしら?
ヤスオさんとはお義父さんのお兄さんで
ヤスオさんの家はお義父さんの実家だ
お義父さんの実家はユミの実家から車で40〜50分のところにある
その家にはユミの祖母とヤスオさん夫婦が住んでいる
ヤスオさん夫婦には息子さん、つまりユミの従兄弟が2人いて
長男のヒロシさんは結婚して街中で暮らしていると聞いていて
次男のトオルくんは大学生で大学の近くで一人暮らししてるとか
お義父さんの実家の周りは農家が多く
畑や果樹園がたくさんある地域だ
お義父さんの実家のすぐ裏手は竹林になっていて
その向こうには小さな川が流れている
割りと自然豊かなところだし
ドライブがてらに立ち寄るにはちょうどいい
ヤスオさんには、まだ、2.3度しか会っていないが
とても面白い方で冗談ばかり言ってるような人だ
ユミ
アレ⁈お父さんは?
お義母さん
お父さん、今日は高校野球の応援で県営球場まで行っちゃったわ!朝早く高校の同級生から電話が来てね。お父さんの通っていた○○工業高校の野球部が15年ぶりに準決勝に進出したんだって!
ユミ
お父さんはホントに高校野球が好きねぇ。
お義母さん
まあ野球部OBだからねぇ。○○工業高校が勝っても負けても帰りは同級生と一杯飲んでくるに違いないわ。オレとユミはお昼前にユミの実家を出て
ヤスオさんの家に向かった
途中でヤスオさんの好物の和菓子を購入した
しばらくバイパス道路を走り
バイパスを降りて果樹園が広がる道を抜け
山裾になる少し手前にヤスオさんの家があった
ユミ
ヤスオ伯父さん、ミチコ伯母さん、コンニチワ!
オレ
ヤスオ伯父さん、ミチコ伯母さん、お久しぶりです
ヤスオ伯父さん
おー!れいじクン、久しぶりだなぁ!ユミちゃんはまたお腹も大きくなってきたねぇ!もうお腹の中の赤ちゃん動くだろ?どれ!おじさんに触らしてよ!
ミチコ伯母さん
コラ!このスケベおやじ!れいじクン、お久しぶりだね。元気だった?ユミちゃん、調子はどう?いつ頃出産予定だっけ?
ユミ
9月の4週目が予定日です。アッ!コレはウチからのお中元です。それとこれはヤスオ伯父さんの大好物ですよ!
ヤスオ伯父さん
おー!れいじクン、ユミちゃんは気が利くねぇ!ありがとう!
ミチコ伯母さん
アラ!ありがとう。れいじクン、ユミちゃん、気を使わなくていいのに。ヨシオ(ユミの父)さんも、マサヨ(ユミの母)さんも毎年律義にしてくれて申し訳ないわ。ユミちゃん、お父さんとお母さんによろしく伝えてね。今、冷たい麦茶入れるから上がって!上がって!
ヤスオ伯父さん
ところでユミちゃんたちが来てくれたってことは...ヨシオはドコ行っちゃったんだ?ん?そういや今日の高校野球の準決勝はヨシオの母校の○○工業高校が15年ぶりに準決勝に出場したって言ってたな!てことは...アイツも好きだねえ。
ユミ
お父さんは○○工業高校の野球部OBだからね。準々決勝は応援に行けなかったから、今日は張り切って応援に行ってるんじゃないカナ?
ヤスオ伯父さん
ナニ言ってるのユミちゃん、アイツはただ仲間とワイワイビールが飲みたいだけなんだよ!たいがい帰りも仲間と居酒屋寄ってミニ同窓会やってくるのが目に浮かぶよ!
ユミ
アハハ!確かにそうかも!そういえばトオルくんは帰省してるの?
ヤスオ伯父さん
トオルは昨日の夕方帰ってきたんだが、夜は友達と出かけて朝帰ってきたところだよ。まだ二階で寝ているよ。夕方から早速こっちのバイト入ってるって言ってたのに大丈夫カナ?
ミチコ伯母さん
ユミちゃ~ん、ゴメン。桃と梨を出してあげたいからコッチに来てくれない?
ユミ
はあ~い!
ミチコ伯母さんに呼ばれたユミが台所に行くと
ヤスオ伯父さんがニヤニヤとオレを見た
おもむろにオレに小指を突き立て
小声で話し始めた
ヤスオ伯父さん
れいじクン、コッチはどうなんだ?
オレ
エッ...コッチって...
ヤスオ伯父さん
とぼけるなよ~!ユミちゃんこっちの慣わしでもうずっと実家にいるじゃないか。今、れいじクンは、"独身" なんだよ!
オレ
ハァ...マァ...
ヤスオ伯父さん
だから、ヤリタイ放題じゃないか!俺なんか嫁さんが妊娠して実家に帰ってた頃にはなぁ…
ウメお祖母ちゃん(ユミの祖母)
ヤスオ!俺はなんだって⁈アラ!いらっしゃい!え~と確かユミのお婿さんだったよねえこの人は?
ヤスオ伯父さん
アレ?!母さん、いつ帰って来たの?母さん!ユミちゃんのダンナさんのれいじクンだよ!まだまだボケないでくれよ!
ウメお祖母ちゃん
ボケちゃいないよ!ドワスレだよ!ドワスレ!ところでユミはどこだい?
ヤスオ伯父さん
台所だよ!顔出してやりなよ!
ウメお祖母ちゃんが台所へ向かうと
またヤスオ伯父さんがニヤニヤしながら話し始める
ヤスオ伯父さん
いいか、れいじクン!遊び相手ってのは慎重に選ばなくてはイカン!本気になっちゃう独身の若い子なんかはヤバいぞ!話しのわかる水商売のオネエサンが最適だな!
オレ
アノ...ヤスオ伯父さん...
ヤスオ伯父さん
あと間違っても手を出してはイカンのは人の嫁だ!人の嫁だけは絶対に手を出しちゃイカン!俺の仲間は自分の嫁の妊娠中に人の嫁とそうなっちまってなあ...エライことになったんだよ...
オレの心臓がドクンと鳴った…
ヨウコさんとの夜を思い出した…
ヤスオ伯父さんの声が遠くに聞こえる…
ヤスオ伯父さん
どうした?れいじクン?なんかコワい顔してるぞ…スマン…気を悪くしたなら謝るよ…
オレ
大丈夫ですよ!ヤスオ伯父さんの武勇伝はまたユミのいないところで聞かせてくださいよ。
ヤスオ伯父さん
アッ!そうか!!スマン、スマン、台所にいるユミちゃんとミチコに聞かれちゃ大変だ!
階段のからトントントンと音がした
トオル
オヤジ、おはよう!アレッ⁉︎えーっと…誰だっけ?
オレ
コンニチワ!ユミの夫のれいじです。結婚式以来ですね。
トオル
アッ!そうだ!ユミ姉のダンナさんだ!どうも、コンニチワ。てことはユミ姉も来てるの?
ヤスオ伯父さん
台所にいるよ!顔出してこいよ。
トオル
ユミ姉〜!
トオルは台所へ走っていった
ヤスオ伯父さん
ところで赤ちゃんはもう男の子か女の子かわかってるのかい?
オレ
ハイ!男の子です。
ヤスオ伯父さん
やったじゃないか〜!ん?ということは、ユミちゃんと赤ちゃんは半年こっちにいるのかい?
オレ
ハイ!こちらの慣しに従おうと思ってまして。
ヤスオ伯父さん
ヨシオも固いヤツだなぁ。まあ、ユミちゃんが可愛くて仕方ないんだな。にしてもいい加減子離れしなくちゃあなぁ。ハハハ!
ミチコ伯母さんとユミが皮を剥いてカットされた桃と梨と麦茶を持って部屋に入ってきた
続いてトオルくんとウメお祖母ちゃんも来た
ミチコ伯母さん
なんの話してたの?アンタ、れいじクンにバカなコト吹き込んでないでしょうね!
ヤスオ伯父さん
なにを言ってるんだよ。男同士のヨタ話しだよ!なあ、れいじクン!
オレ
アハハ…
ユミ
ヤスオ伯父さん、ヨタ話しってなあに?
ミチコ伯母さん
ユミちゃん!男のヨタ話しなんてどうせロクなもんじゃないから聞く必要ないよ!でもね、ユミちゃん!れいじクンは間違いないと思うけど、新婚時代って最初が肝心だよ!
ユミ
ハイ!ミチコ伯母さん!アハハ!
ウメお祖母ちゃん
ユミはいつまでこっちにいるんだい?
ユミ
赤ちゃん産んでから半年はいるよ。
ウメお祖母ちゃん
そうかい、そうかい。こっちの慣しどおりにするんだねぇ。それじゃあ、のんびりとひ孫の顔を見れるねぇ。まさか、ひ孫の顔を見れるとはねぇ。ありがたや、ありがたや。
トオル
エエッ!ユミ姉はこっちの慣しにしたがってるの?いつからこっちにいたの?
ユミ
ゴールデンウィークからカナ。
トオル
そうなんだ!知らなかったなあ!でも、ユミ姉が赤ちゃん産んだら、オレはオジサンになるんだろ⁈21才でオジサンかぁ…
ヤスオ伯父さん
まあ、"親戚のオジサン" にはなるわな!そういやトオル!今年のゴールデンウィークに連れてきた彼女はどうなったんだ?
ユミ
エッ!トオルが彼女を家に連れてきたの?マジ?
トオル
ユミ姉!オレはもうユミ姉の後追っかけてる子どもじゃないんだよ!
ヤスオ伯父さん
確かあの時、夏休みもまた連れて来るって言ってなかったか?
トオル
ウン…アノ子ね…ハイ!思い出になりました!
今年の夏休みは新しい彼女が来るから、皆さんはゴールデンウィークの時の彼女の話しは絶対にしないでね!
ユミ
なにそれ?今時の大学生は軽いのね!
トオル
そーいえばサ!ユミ姉の住んでるとこから車で1時間ぐらい行ったところに〇〇ウォーターパークってのができたよね?ユミ姉知ってる?
オレは先週、ヨウコさんと行ったばかりだ…
ヨウコさんの笑顔と水着が脳裏に浮かんた…
ユミ
ん?私は知らないけど…れいじは知ってる?
オレ
あっ…ああ…会社の若い後輩が先週行って来たって言ってたっけ…
また心臓の鼓動が早くなった…
喉の渇きを感じ目の前の麦茶を飲んだ…
トオル
オレの友達が先週行ってきてサ。その日はオレも誘われたんだけどゼミの課題がまだ出せてなくてさあ、泣く泣く諦めたんだよ。だから、来週は彼女と一緒に行ってこようと思ってサ。スッゲー楽しいらしいんだよね。
危なかった…
ヘタしたらあそこでユミの従兄弟と鉢合わせするところだったとは…
ユミ
へえ〜、そんなトコロができたんだね!れいじ、子どもが産まれてある程度大きくなったら3人で行こうね!
れいじ
…そうだね。3人で行こう!
胸の奥がチクチクする…
久しぶりに会った親戚との楽しい会話なのに…
オレはいったい何をやってるんだろう…
会話もはずんで午後3時を過ぎ
オレとユミはユミの実家へ戻った
簡単に戻る身支度をしていたら
ユミ
もう…帰るの…
オレ
ちょっと早いけど、そろそろ向こうへ戻るよ。洗濯してないから、明日のワイシャツと下着と靴下を途中で買わなきゃ
ユミ
洗濯物をこっちに持ってくればよかったのに
オレ
そんなワケにはいかないよ。自分のことは自分でしなきゃ…ユミにも負担かけられないよ…
ユミ
れいじの身の回りのコトするのは妻の私の役目なんだから負担なんかじゃないよ
オレ
ユミ、ありがとう!今はオレの心配よりも自分のカラダと赤ちゃんのコトだけ考えてね
ユミ
そうだけど…やっぱり、れいじのこと心配だよ…
オレ
オレなら大丈夫だよ。一人で生活するのは淋しいけどなんとかなってるから
ユミ
れいじ…私も淋しいよ…一人じゃつらいよ…
オレ
ユミは一人じゃないよ、お義父さんもお義母さんもいるし、もう一人!新しい家族がお腹の中にいるでしょ!
ユミ
…ウン…そうだった…
オレ
次こっち来るのはお盆休みだからね
ユミ
…れいじ…愛してる?
オレ
当たり前だろ!
ユミ
ちゃんと愛してるって言って!ギュッと抱きしめて!
ユミを引き寄せ抱きしめ
ユミの耳元で囁いた
オレ
ユミ…愛してるよ…
ユミ
れいじ…愛してる…
ユミと唇を重ねると
ユミの頬に涙がつたっていた
唇を離しオレは親指でユミの涙を拭った
オレはしゃがんでユミの腹に耳をあてた
とたんにユミの腹が動いてオレの頬を蹴られた
ユミ
アレ!スゴく動いたよ!パパ行かないで!って言ってるのカナ?
オレ
アハハ!赤ちゃん怒ってるのカナ?
オレはユミの腹を2.3度さすって
バッグを持って玄関を出た
お義母さん
れいじクン、帰りは気をつけてね。もうお父さんたら、やっぱり帰ってこないんだから。
オレ
お義母さん、お義父さんによろしくお伝えください。次はお盆休みに来る予定です。ユミと赤ちゃんをよろしくお願いします。
ユミ
家についたらメールじゃなくて電話してね。声が聞きたいよ。気をつけて帰ってね。
オレ
わかったよ!それじゃあね。
車に乗り込みエンジンをかけた
お義母さんとユミが見送ってくれた
高速はそれほど渋滞もなく順調に車は進む
19時近くになって日が沈んできた
空はオレンジからブルーへ…
ブルーからコバルトブルーへ…
"ブルーモーメント" か…
ヨウコさんと行ったレストランでのひと時が頭をよぎった
先週はオレの思いを口にしてしまった…
ヨウコさんはオレとのコトをどう思っているのだろう…
でも…ヨウコさんとのコトを考えてはいけない…
もう…ヨウコさんからは離れよう…
ヨウコさんとは…もう…会わない…
会ってはいけない…会ってはいけない…
やがて連絡を取り合うことも徐々にやめよう…
車はオレとヨウコさんの住む場所へ向かっているけど…
オレの心は別の場所に向かおうとしている…
コバルトブルーの空にはいつしか星が瞬いでいた…