卵膜付着の頻度 | へその緒のはなし

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「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

私の最も興味のある臍帯異常は、卵膜付着なんですが、久しぶりに卵膜付着に関する大きな研究論文をみつけたので、ちょっと書きます。

フィンランドでの約2万7000人の調査ですが、卵膜付着の頻度は2.4%で、15年ほど前の同じ場所での調査では1.7%であり、その頻度が増えているという報告でした。

私も、先日、前置血管の頻度は昔の報告に比べて多いという結果を報告したところで、同様な結果で納得いたしました。

卵膜付着に関連する、母体因子は、初産、肥満、不妊治療、喫煙だそうで、これは、いままで言われてきていたものと変わらず、真新しい結果ではありませんでした。まあ、関連するといっても、それらの因子を持っている人が、もっていない人に比べて、ほんのわずかになりやすいという程度です。

また、胎盤が卵膜付着だったベビーの予後ですが、低出生体重、早産が若干増え、NICU入院率が若干上がるとのことです。こちらも、以前から言われていることですね。

まあ、そこそこの頻度である異常ですし、超音波で見つけて適切に管理するのが広く普及してくれれば良いと思っています。


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