案ずるなら計画出産 | へその緒のはなし

へその緒のはなし

「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。


 このブログを読んで、怖くならないでくださいね。

 ちゃんと冷静に読んでくだされば、怖くないということが書いてありますから。

 もし、何らかのへその緒の異常が超音波でみつかったらどうするべきか?

 予定帝王切開にしなければならない、へその緒の異常は、臍帯下垂と前置血管だけです。それらは、極めて稀な異常です。へその緒の異常=即帝王切開という考え方は捨てましょう。

 もし、それ以外の異常で心配ならば、計画出産という手があります。

 多くのへその緒の異常は、分娩が始まってからトラブルが起き始めます。それは、子宮の中に赤ちゃんとへその緒がいて、その子宮の壁が狭くいなってそれらをしぼりだす陣痛が来た時や、破水してへその緒を一緒に守ってくれる羊水が減った時に、ダメージを受けやすいのです。

 ふつう、10か月に陣痛が来たり(10分おきにお腹が痛くなったら)、破水したら病院に来るように言われますが、おうちでこれらの出来事が起きた時には、へその緒もダメージを受けているかも知れません。

 ダメージを受けているかどうかは、分娩監視装置で分かります。でも、おうちには分娩監視装置がないですよね。だから、計画出産にするのです。
 
 計画出産とは、分娩誘発とも言い、自然の陣痛の無いうちに病院に入院して、陣痛促進剤を使って人工的にお産を始めるのです。ただし、分娩誘発で陣痛が始まる前からずっと、分娩監視装置で胎児心拍をチェックし続けるのです。何か心拍数異常が出始めたら、帝王切開などに切り替えればいいのです。

 でも、例えば1回巻きの巻絡のようなものでは、そこまではしません。自然陣痛でない促進剤を使う分娩誘発によるデメリットも無くはないからです。

 どんな異常なら分娩誘発するとかについては、個々の病院や妊婦さんによっても違うでしょうから、一概には語れません。残念ですが、臍帯異常に対して分娩誘発するという考え方も。そんなに浸透していないと思います。多くの産科医にそのことを知ってもらうために頑張りたいと思っています。




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