2017-4-9 Y's company オペラ「外套&ジャンニ・スキッキ」 | Dream Journeyのブログ

Dream Journeyのブログ

日々の日記と旅行などの写真のアップがメインです。

4/9の午後に足を運んだのはムーブ町屋ムーブホールで上演されたY’s companyオペラシリーズVol.1「外套」「ジャンニ・スキッキ」でした。
出演者につきましてはアップした通りです。いわゆるプッチーニの3部作のうちの2作品の上演ということになりますね。ジャンニ・スキッキは今回が3回目、上演されなかった修道女アンジェリカも1回あったのですが、外套は今回が初めてでした。
前半の「外套」ですが、舞台が20世紀初頭のパリのセーヌ河に浮かぶ荷物船の甲板ということで、舞台手前が甲板で船室への階段のある形に、舞台奥は川岸の向こうの街をという配置でした。船の中での上下左右の立体的な動きと街における奥行きのある動きの対照が印象的でした。
その船の甲板の上では冷え切ってしまった夫婦関係のミケーレとジョルジェッタを中心に船員たちが船室や街への行き来をして、さらに街では人々が行きかったり小唄歌いが現れたりということで、様々な人間模様がある形になっていました。
夫婦関係を取り戻したい夫のミケーレに対して、妻のジョルジェッタは船員の1人のルイージと不倫関係にあるわけですが、物語が進むにつれて、原因が夫婦の間の子供が亡くなってしまったことにあり、そこからの擦れ違いが元になっていることが分かるようになっていました。その描写はリアルというか身近な内容ですし、確かにこの状況にあればこのように行動してしまうかもしれないと感じるもので、そういう意味ではヴェリズモ(現実主義)的なオペラだなと思いますね。
物語の結末はある意味でホラー作品のような強烈さがありましたが、全体的にテンポが速く演劇のようなところもあり、それぞれの歌声と演技がぶつかり合うような個の力の共演が物語を盛り上げている作品だなと感じました。全体的に暗い作品であり、最後は殺人で終わるという救いのない作品でもありますが、とても見応えがあって個人的には好きですね。そして出演者の方々はこの作品にふさわしい個の力を持ち合わせた方ばかりでした。
ミケーレ役の原田さんは昨年の国分寺でのこうもり以来でしたが、今回はバリトンらしい力強さと深みを感じる歌声ともどかしさや怒りを感じる演技がとても印象的でした。
ジョルジェッタ役の西本さんは先月のアルテリーベに引き続きでお馴染みですが、今回も叙情的で見るものを惹きつけてやまない印象的な演技と歌声でしたね。
ルイージの飯沼さんは2年前のメリーウィドー以来でしたが、上司であるミケーレに従いながらも何とか早くミケーレと一緒になりたいという思いを表現されていました。
その他の出演者もタルバとフルーゴラの老夫婦、酒飲みのティンカ、イケメンで印象的な歌声の小唄歌いと個性的な役柄で物語を盛り上げられていました。

後半に入っての「ジャンニ・スキッキ」は一転してのドタバタ喜劇というか、時代も遡っての13世紀末のイタリアのフィレンツェということで、昔話のように取り上げながらもその中の人間模様は時代を超えて通じるものですし、遺産相続があれば誰もが財産をほしいというのは自然ですよね。
舞台は大きな屋敷を思わせる全面をいっぱいに使った形となっていて、その中を縦横無尽に動き回っての演出となっておりました。それぞれの方が勝手に動いているようにみえて、実はとても一体感のある演出は見どころがありました。
内容に関してはあまりにも有名作品ですし、遺産相続をめぐってのやり取りの人間模様、そこに現れるジャンニ・スキッキによる痛快な展開、そしてラウレッタとリヌッチョの愛の物語を短編ながらも小気味よくというものですね。
こちらもテンポの速い作品ですが、モーツァルトの喜劇のような感じの中に集団というかチームワークでの演技や歌声で魅せるミュージカルやオペレッタにも通じるような作品というのが外套とは対照的ですね。もちろん悲劇と喜劇という点でも異なりますね。浮世離れした昔の金持ちの屋敷でありながらも、そこにある人間模様はこの中にいたらこういう行動を取るだろうなあと言う意味では外套と共通点はありますし、ある意味でヴェリズモ的なものもあるのかなというところも感じました。
ジャンニ・スキッキ役の浜田さんは外套と併せての出演でしたが、軽妙な演技と話術でこの作品ならではの魅力を引き出されていましたね。前回のメリー以来の2年ぶりでしたが、しっかりと楽しませていただきました。
ラウレッタの本田さんは以前にも観たことがありますが、乙女チックな可愛らしさの中に確かな歌声を持ち合わせていて、アリアをはじめとしてしっかりと魅せてくれました。
リヌッチョ役の高畠さんは昨秋のアマデウス以来だと思いますが、今回もテノールらしい軽やかで伸びやかな歌声をはじめとして存在感を発揮されていました。
シモーネの中原さんとツィータの奥野さんは若手の方が多い中でのベテランとして物語に厚みと深みを与えてくれる演技だったと思います。
登場人物が多いのでその他の方は割愛させていただきますが、先ほども書いた通りに一体感のある演技が素晴らしく、若手の方が多いということで動きでもしっかりと魅せてくれましたね。やはり喜劇と言うこともありますし分かりやすい作品ということもありますが、会場も大いに盛り上がりました。

3日連続のオペラ鑑賞でしたが、それぞれに魅力のある作品と出演者、そして演出などを楽しませていただきました。今週は比較的おとなしい動きとなりますが、後半にはいくつかのコンサートに足を運びますので、先ずは仕事を頑張っていきたいと思います。