ロンドンの最終日。
この日にとんでもない事件が私に起こるとは思ってもいませんでした。
この日は古着屋巡りをしようと思いカムデンへ行った。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210120/17/dreamingisfree/0a/50/j/o0401030014884364737.jpg?caw=800)
カムデンマーケットへ行ったのだけど、ゴチャゴチャしてるし人も多いしとても疲れた。
欲しいなと思う物も特になかった。
疲れていると感も鈍るし集中力も劣るしネガティブ思考になってしまうから、いい物があっても自分自身が気づかなかっただけかもしれない。
とにかくお腹が空いたのでフードコートみたいな所で揚げ豆腐丼のようなランチボックスを注文した。
屋外だからしょうがないのかもしれないが、イスやテーブルの上にハトのフン
が散乱してるし、清潔な感じはしなかった。
そして、この揚げ豆腐は本当にまずかった。
鳩がバタバタと飛んできて物欲しげな顔をしながら私の周りをウロウロするし、不味い食事がより不味くなってきたのでその場から離れた。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210120/17/dreamingisfree/56/26/j/o0401030014884364886.jpg?caw=800)
ロボットレストランのような入り口のお店がありました。中には入らなかったけど。
ロンドンは歩いててなんか疲れる。
生理前でもないのに体が重い。
旅行し始めて13日目だったから、ホテル生活&移動の疲れが出てきてたのかもしれない。
不味い揚げ豆腐弁当のようなランチを食べ歩きしながらカムデンの街を歩いていると
1人の日本人の男の子が私に話しかけてきた。
彼はファッションブログを書いているらしく写真を撮ってもいいかと聞かれた。
私は写真を撮られるのが好きじゃなくて、しかもインターネット上で公開されるのはもっと嫌なのでお断りしました。
その男の子は東京の有名私立大学を卒業して、フォトグラファーを夢見てロンドンに住み始めたそうだ。
何を食べてるの?と私の不味い揚げ豆腐弁当をチラリと見た。
私は不味そうな弁当を見られて恥ずかしかったのか、これなんだか不味くって
と言ってゴミ箱にポイと捨てた。
私だけだろうか。
疲れていて余裕が無かったり、機嫌が悪かったりしている時に、こんなに不味いの食べれないわって謎のプライドの高い女を演じてしまうのは。
その男の子はとてもお腹が空いているようだったから、食べる?とか冗談でも言えるくらいの心の余裕もないくらい疲れていた私なのでした。
今夜、友達とパーティーをするから来ない?と誘ってくれたのだけど、私は明日の朝パリに戻らなければならなかったので参加する事はできなかった。
次の日もロンドンにいたのなら、きっと退屈だから参加したかもな。
そしたらロンドンでも楽しい思い出ができたのかもしれない。
その後、適当に古着屋さんに入ったのだけど、この直後に残念な出来事が起こった。
その古着屋さんで可愛いカーディガンを見つけたので肩にかけている荷物を後ろに回し鏡を見ながら合わせていた。
なんか違うかな~なんて思いながら、そのカーディガンをもとの場所に戻したのだけど、そこがすごく狭い通路で、目の前で女の子が服を選んでいて通れないし全然よけてくれないので、Excuse meと言った。
ロンドンではそんなこと言わなくても人が通るとわかったらすぐによけてくれるのに、この女の子はバーゲンセールの会場にいるかのように必至で服を選んでいて全く動く気配もなかった。
Excuse me と言うと、私のすぐ後ろにいる誰かとアイコンタクトをして、Sorryと言ってひきつった笑顔をしてよけてくれた。
なんだろう。
女の子四人組だったのだけど、その後すぐに店を出て行った。
変だなと思いながら試着室に入った時に気づいた。
私のバックのチャックが全開になっている。
血の気が引き、まさかと思って財布を探してみると、無い。
無いとわかっているのにもう一度探した。
生まれて初めて財布を盗まれた。
そもそも私は海外へ1人で旅行するときは、肩から掛ける事ができるバッグを常に前にしてチャックを開ける部分をいつも握っておくという徹底した女なのに。
お店の中で盗まれるなんて。
ロンドンはワーキングホリデーで日本人も沢山いるし、アルゼンチンやベトナムよりは安全だろと甘く考えてしまい
海外では持ち歩かない財布をバッグの中に入れていた。
普段は財布は持たず現金とクレジットカードだけをブラの下などに隠して持っているのだけど。
しかもこの日の朝、こんなに使わないだろうと思ったのに、手持ちのユーロを全部財布に入れていた。
現金25,000円くらいなのだけど、貧乏旅行の私にとっては痛かった。
免許証やクレジットカード類などすべ財布に入れていた。
今まで海外に行ってあんなに気を付けてたのに、油断と疲れと悪運が合わさったのか、ロンドンの最終日に財布を盗まれてしまい
ガッカリだった。
店員が私に試着はどうだった?と聞いてきたけど、私はそれどころじゃなかったので彼女に
「お店にカメラは設置してありますか?財布を盗まれました。」と言った。
その店員はさっきまでの笑顔は無くなり、この人何を言ってるの?関わらないでほしい、と言った感じの顔つきをした。
日本の店員さんだったら、大丈夫ですか?とか何かしらの対応をしてくれると思うのだけど、人によるのかもしれませんが。
そもそも防犯カメラなんて設置してない感じのお店だったし。
私はその女の店員さんの笑顔が冷たい表情に変わった事よりも、彼女の口髭の濃さに驚いた。
男性のように生えてるわけではないのだけど、口の上に長めの産毛がふさふさと生えていてとても目立っていた。
女性であんな口髭の人は見た事がない。
男性だったのだろうか?いや、絶対違うと思う。
直ぐにお店を出たのだけどあの女の子達の姿はどこにも無かった。
当たり前だろう。スリの常習犯なのだろうから、盗んだらすぐにその場を離れるに決まってる。
さっき会った日本人の男の子がいないかとウロウロと歩いたけどどこにも見当たらなかった。
盗みに遭うのなんて初めてだったので、どうしたらいいのかわからず、彼と連絡先を交換しておけば良かったなと後悔した。
幸いな事に携帯は盗まれていないし地図もあった。地下鉄のパスも財布に入れてたし、一文無しの私はこの場所からホテルまで歩いて帰らなければならなかった。
まずは警察署に行こうと思い、ちょうど通りに警官がいたので、最寄りの警察署を聞いたのだけど、早くて何を言っているのかわからず、聞き返すと怒った顔をして、苛立った口調で答えた。
心が折れてる時にこの対応はきつかった。
日本の警察官もこんな対応するだろうか?
真っすぐ言って右と言っているのはわかったのだけど後半が何言ってるのかまた分からなくて、だけどあんなしかめっ面をされたので再び聞く気にはなれなかった。
暫く歩いて女性に聞いてみるとゆっくり丁寧に教えてくれたのですぐ理解できた。
彼女は、大丈夫?と言ってくれたのだけど、俯き加減でイエスとしか言えなかった。
イエスなわけないのだけれど。
警察署に着いて窓口にいる警官に財布を盗まれたことを伝えると
「どうして盗まれたと思うの?」と聞かれた。
いや、盗まれたものは盗まれたんだよと思い、どういう状況だったかを全て説明した。
日本でも盗まれたらこんな感じなのだろうか?
ヨーロッパは安全で平和ボケした日本とは違うの盗まれるのが悪いという考えらしいですが。本当?
警官が用紙を持って来て、住所、氏名、どんな財布か、ブランドかなどを記入した。
クレジットカード会社にも電話をしてカード止めてもらった。
ホテルのカードキーも財布の中に入れていたので、この部屋には誰も入れさせないようにしてくださいと連絡した。
ここからホテルまでは最短で6.2キロくらいあり徒歩で1時間半くらいの距離なのだけど、迷いながら歩いたのでホテルに到着するまで3時間以上もかかった。
喉が渇いたけれど一文無しだったので買う事も出来ず、貧乏旅行のうえ財布を盗まれたのでタクシーに乗る気にはならなかった。
私の財布はきっとキャッシュだけ抜き取られて、テムズ川にでも放り投げられたのだろうな。
ホテルに帰る途中で撮ったロンドンアイ
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20210120/17/dreamingisfree/96/dc/j/o0401030014884364536.jpg?caw=800)
数日前に見た時よりも綺麗だったので写真を撮りたくなった。
皮肉な事に、私の体も心も疲れているのに、曇り空が多いと言われるロンドンの空は、今日も綺麗だった。
ホテルに着く頃にはもう真っ暗だった。
ホテルのレセプションで、財布を盗まれ、ルームキーを財布の中に入れていて、この事はすでに電話で伝えてると言うと、その従業員の女の子は
何やってるんだよってイラついた顔をした。
クタクタになって帰ってきた時にこれはまた疲れた。
その女の子が上司らしき女性を呼んで戻ってきた。
するとその上司らしき女性は笑顔で大丈夫でしたか?と新しくカードキーをくれた。
私はカードキーを紛失したから弁償しなければならないと思っていたのだけど、その必要はないよと言ってくれた。
とても親切だった。
最初に対応してくれた愛想のない女の子は上司が笑顔で親切に対応しているからなのか、さっきとは全く違って笑顔だった。
イギリス人って結構陰湿なんだなあと思った。
ホテルの部屋に戻り、カギをかけたスーツケースの中に入れていた日本円を持って両替屋へ行った。
窓口の陽気な黒人男性がコンニチハと笑顔で言った。
私は疲れ切っていたので笑顔を作るのが大変だった。
両替したお金で水と食料を買った。
ホテルに戻り、日本の保険会社に電話した。
旅行の短期保険に加入していたので調べてみると盗難も保険の対象だった。
現在はわからないですが当時の損保ジャパンはすごく良い対応をしてくれた。
どこで、どのように盗まれたかを説明し、どこの警察署に行ったのかを聞かれました。
担当の方は同情してくれてる感じで、私は安心した。
帰国した際に書類が送られてきて、盗まれた時の詳しい状況や財布のブランド、財布の中身などを記入した。
すると後日、お財布代の半額分くらいが口座に振り込まれました。
これはもし、私が警察署で盗まれた事を書類に書かなかったら、証拠不十分で保険金は貰えなかったのだろうか?
そして、これは心の無いズルい人間であれば詐欺をしようと考えるのでは?と思った。
盗まれてなくても盗まれたと海外の警察署に行って、保険会社に盗難に遭ったと伝え、高額なブランド物の財布の嘘の値段を書類に記入し申請してお金をだまし取るって事もできるなあと思った。
だけど汚い手を使って金を手に入れてた人は、その倍以上に大切な物を失うと私は思います。
その日の夜は全然寝付けなかった。
体はとっても疲れているのに、許せないとか、不安だとか、ネガティブな思考がグルグルと頭の中を周り続けた。
翌日は朝からパリへ戻る予定だったのだけどスリに遭ったせいで、一人でいるのが急に怖くなった。
つづく![おすましペガサス](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/467.png)