大学院で国際精神保健の講義をしました | 女医の国際精神保健

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精神保健および公衆衛生を軸に、韓国、ロンドン、ジュネーブ、ニース、フィジー、赤道ギニア、東京、インド。
他にも、旅行、馬術、音楽、写真などについて記載しています。

友人が講師をしている大学院のコースで国際精神保健の講義をしました。

毎年呼んでいただいて今回で3回目かな?4回目?

 

そして、来年も登壇することが決定しました。

この2年はコロナにてzoom講義ですが、来年はどうかな?

このコースは社会人学生と国際学生が主流だからzoomの方が実は皆のフォーマットに合っているようにも思います。

グループ討論とかしたい場合は対面の方がいいのだと思いますが、こちらでの私の役割は講義スタイルでいけると思うので、そうなるとzoomが良いように思います。

 

今年は日本の学生に加えて東南アジア(タイ、ベトナムなど)の学生も目立ったように思います。

質問を受けるのはいつも嬉しいです!

関心を抱いてくれている!って感じがするものです。

 

国際精神保健の全体像、実施されているプログラムの例、私が実際に勤務した内容(およびキャリアの移行)などをお話しました。

 

日本の精神科で臨床をしながら、「精神科の入院は患者にとってどういう経験?」「入院はもっとも有効な解決策?」と考えるようになり、公衆衛生へ転校。ロンドンの大学院で学びながら「精神科病床がとっても多い日本独特の問題と思っていたけれど、世界の問題ね」とWHOやフィジー大学で勤務。「精神保健も重要だけれど、保健全体があっての精神保健ね」と感じながら赤道ギニア国立病院再建に従事。エボラ拡大ってのもありましたが「援助を受ける側の保健もあるけれど、援助する側の保健の視点も大事」と日本の外務省勤務。「色々やってみたけれど、私のそもそもの疑問にど真ん中で行ってみよう」と東大PhDで日本とインドにて精神科強制入院患者にco-productionで質的研究を実施。今は日本で臨床、行政、教育、研究を行い、localにglobal mental healthしてます。

 

話ながら、自分のテーマは一貫して「当事者の声を汲み上げる」であることに気づきました。臨床をしていても患者の声は重要、研究でも専門家の意見ではなく当事者の意見が率直に積み上げられることをしたい、公衆衛生のプログラムを考える時も当事者視点で組むことが大事。

 

講義の日は外来日でしたので、開始時間にちょっと間に合わず、下記の動画を観ていて頂きました。

 

 

「当事者の声を汲み上げる」のエッセンスがこの動画に詰まっています。お話ししているDiana Rose教授は私のPhD研究への助言もたくさんくれましたが、終わってからもずっとinspirational。先生の文献や動画を観てはさらに理解を深め、考えを発展させています。

 

講義では下記のような質問が出ました。

ー 世界の精神疾患罹患率はどうやって計算しますか?

ー データからはアフリカでも自殺率が高い国が散見されますが、これは意外に感じます。なぜでしょうか?

ー 保健の中でも精神保健は嫌なものとして特別扱いされてきましたが、そこを打破するのに一番大事なものはなんでしょうか?

ー COVID19が精神保健に与える影響はなんでしょうか?

ー ECTとそれにまつわる患者同意について思うことは何でしょうか?

 

最近ちょっと日々の業務にかまけて、論文執筆は滞っており、積み上げるような仕事をサボっておりました。

人に伝える、教えるという仕事をすると、その日その日でこなすだけでなく、ちゃんと形に残す仕事をしたいなという気持ちになります。

これまで私が受けた教育も従事した勤務も非常に貴重なものであり、積み上げて役立てないともったいないです。