Drawing Man~15、DrawingMan~
優しい、キスだった。
最後まで、依世らしく。
そのまま、家に帰って、泣いた。
胸がくるしかった。
私のこころが、寂しいと、悲鳴を上げる。
「ふ・・・いせぇ」
いせ
依世
依世
私の目から、素直に涙があふれていった。
春都は、あれから、栗居さんとよりを戻した。
相変わらず春都は誰にでも優しいけど、
今は、栗居さんを特別大事にしているのがわかる。
栗居さんと私はお互い大の仲良しになった。
彼女は私の前ではあの『嫌いな笑み』を出すことは無いし、
私も、彼女に対しては思ったことを言える様になった。
そして、彼女にだけ、気持ちを打ち明けた。
本当の気持ちを。
私の、色あせて醜くなった、絵を。
そして、ひっそりと、私の中に潜んでいた『別の絵』を見つけたことを。
依世、
私の絵は、あの時の絵は、醜く色あせてしまったよ。
途中から、間違ってしまったもの。
でも
でもね、
今は、その絵も愛しく感じる。
だって
本当の絵を見つけたから。
そして、今なら、次の絵をって思えるから。
次は、時間が経てば経つほど、良い絵になるといいな。
ありがとう、依世。
大切なこと教えてくれて。
私に愛をくれて。
明日から6月。そうしたらすぐに梅雨に入るだろう。
雨が、また、空が悲しみにあふれる季節が来る。
でもそれは、同時に全てを洗い流してくれるだろう。
もう一度、まっさらなキャンパスに。
そうして、また始めるんだ。
人は、恋という名の絵を描く。
真っ白いキャンパスに、惜しげもなく色をのせ、重ねて。
―――さっちゃん、
人は絵を描き続ける。
どうしてか、わかる?
人は、愛無しでは生きていけないんだよ。
それは人の愛だけじゃないんだ。
例えば、ねことか犬とか。
あとはそう、
ドーナツのように。
俺はあれでずいぶん幸せになれる。
愛って、そういうことだろ?
俺の幸せを同じように感じてみて、さっちゃん
君が思っているより、人生とか、愛とか、
もっと、もっと簡単なんだ。
だから、
俺がいなくなっても
俺のこと、覚えていて。
DrawingMan完結
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