200X年、12月5日。

バラバラ殺人が起きた。

犯人は、私のお姉ちゃんの彼氏。

“富山優樹”さん。

あんなに優しそうな、お姉ちゃんのことを好きでいた人がそのお姉ちゃんを殺した。

最初は信じられなかった。

あんなに私とも遊んでくれたのに、お姉ちゃんと同じように、優しさを知ってる。

本当は、憎いはずなのに・・・。

何故か私はどこかで許してしまっていた。


そして20XX年、12月5日。

今日はお姉ちゃんのお墓参りに来ていた。

あの殺人から何年過ぎたのだろう。

私、朝倉美咲の妹、美月ももう大人になった。

結婚だってした。

そして、子供だって授かった。

でも、やっぱりたったひとりのお姉ちゃんがいないと寂しいよ。

「お母さん、寒いよ~早く帰ろうよ」

「ん、ごめんね、あともう一人分あるの、待ってて」

「ぶー、わかったよ~」

裕太は走って、どこかにいってしまった。

「裕太にはお墓参りはつまらないだろうな」

「そうだねぇ~でも今日は我慢してもらわないと」

私はもうひとつのお墓に水をかける。

「富山優樹さん、今年も来ました、どうかお姉ちゃんとゆっくり寝てください」

私はわざわざ、お姉ちゃんのお墓の隣に優樹さんのお墓を立てた。

せめて、一緒に幸せに安らかに眠ってほしいから。

「よしっ、裕太ー!帰るよ~」

「はーい、ねぇねぇっ!僕ね、さっき道に迷ったんだけどね、親切な男の人と女の人に助けてもらったよ」

「ちゃんとお礼したか?」

「うんっ!したよ~!でも、言った後どこかに行っちゃったんだ~お父さんとお母さんにも紹介してあげたかったのに」

「きっと忙しいのよ、ささ、風邪ひくまえに帰ろ、今日はオムライスだよ」

やったー、と声が響いた。


その後、美咲の墓に添えた花と優樹の墓に添えた花が

寄り添ったのは誰も知らない。













長いこと読んでくれた方はありがとうございました。

ヤンデレのような少年のお話でしたが、結局はいい話だぞという話にしました←

まだ高校生で未熟な部分もありますが、暖かい目で見てくれると大変嬉しいです。

では。


「あの・・・朝倉さん」

「あ、富山君」

この頃、僕等は付き合って3日も経ってないときだった。

手もまともに触れない。

僕には恋愛なんて合わないな。

そう思ってると向こうから繋いできた。

「ぁっ・・・え、あ」

「あたしたち、付き合ってるんだもの、不自然じゃない・・よね♪」

明るい笑顔で、僕に向けて笑う。

愛らしい笑顔。

この笑顔に何度癒されただろう。


「なっ何しているっ!!やめろ!」

見張りのやつだろう、急いで鍵を開けている。

焦ってるのか、中々穴に入らないようだ。


「あっ!おいしいっ!」

「本当?よかった~」

「優樹君が料理できるなんていが~い」

なんだよそれ~、と言いながらじゃれ合った日もあったっけな。

本当は初めて作ったオムライス、おいしくなかったよね。

後で食べたとき、味が変だった。

それなのに、傷つけないようにと「おいしい」って言ってくれたね。

ごめんよ、美咲。


「くそっ、焦って入らないっ!!おいっ!!その手を緩めろっ!」

警備がこれでいいのか、そう思いつつ僕は意識が飛んだ。

遠くの方で、警備のやつがなんか言ってる。

でも、そんなことも今はどうでもいい。

美咲との思い出を振り返らせてくれ。


そうだ、初めて僕の家に泊まりにきたとき。

そして・・・ひとつになったとき。

美咲はなんて言ってた?

「浮気性で、どうしようもないあたしだけど・・・信じてほしい」

なんで、僕は信じてられなかったんだろう。

どうして・・・。


僕は、この日 息を引き取った。

でも、自分で償ったと自分で思う。

きっと美咲も、隆治も許してくれないだろうけど。

これが僕の精一杯の償いなんだ。


ごめん。

許してはくれないだろうか。


「ハァ、ハァ・・・ここなら、きっと美咲も納得だろ?」

僕は山の奥中まで来ていた。

「美咲が悪いんだよ、僕を見てくれないから・・・でも、これでもう僕だけ・・・2人の秘密の場所、やっと僕を見てくれるよね、美咲」

深く、深く。

簡単に人に見つからないように。

犬なんかに掘り起こせそうにないくらいに。

深く、深く、僕と美咲の愛みたいに深く。

ふか・・・く。

カツン

何かの音がした。

「?・・・なんだ?」

暗くてよく見えないが、月に雲がかからないとき、見た。

「うっうわぁぁあああああああああああああっ!!!!!!

それは、まだ腐りきっていない、死体。

不思議に異臭がしない。

鼻がおかしくなっているのか・・・それとも僕の見間違い?んなわけない。

あれは、確かに・・・。

「!?」

「いたぞっ!こっちだっ!」

「なっなんですか、あんたたち!」

「ありがとう、富山君、おかげで死体も見つかってめでたいというわけだ」

今日は谷川といい、このよくわかんないやつといい、まったく理解できない。

「誰の死体か、わかるかね」

「・・・誰なんですか?」

「朝倉、朝倉美咲と土田隆治だよ」

視界が真っ暗で、見えない。

なんだ、これ?

「じゃっ・・・じゃあこの中にいるのは誰なんだよっ!!!」

「開けてみればいいだろう?」

僕は素直に開けた。

混乱する。

なんで?この中にいるのは・・・美咲のはず。

さっき、首を絞めて、バラバラに・・・。

人間の肉ってどんな味だろうって。

美咲の肉を・・・食べた。

なのに、袋に入ってたのは


マネキン


「は・・・ははっ・・・なんで・・なんでマネキンなんか」

「富山君、君は狂ってたんだよ、よく思い出してごらん、記憶をね」

記憶・・・。

はっきりしてるようでしてない。

そうだ、僕は前に美咲と隆治を殺してなかったっけ。

覚えてないんじゃない。

思い出したくないんだ。
そうだ、あの日。

僕は殺した・・・・。


―・・・


「?いてて、頭が痛い」

夜中なのだろうか、外が真っ暗で月明かりもろくに入ってこない。

そのせいで部屋の様子がわからない。

「なんでここで寝てるんだ?」

確か、美咲が・・・と徐々に思い出していく。

確か、僕は、美咲に、何を、向け・・・・た・・?

「みっみさっ・・・・き」

目に映ったのは、視点が両方合っていない、いわゆる白目をむいて

血だらけになって横たわっている美咲の姿。

「みさ・・き・・?おっおい」

ガクガク

力のない動き。

肌は酷く冷たく、この状態から長い時間が経っていた。

そうだ、あの時。

謝っている美咲を無視してずっと、ずっと殴っていた。

痛いと言っている美咲の言葉も耳に入らなくて

ずっと・・・泣いている美咲を殴ってたんだ。

痣ができても、顔が腫れ上がっても、血が滲んでも。

そして、最終的に、そばに落ちてた包丁で・・・。

「美咲・・・」

僕は何故か涙を流していない。

そうか、僕は悪くない。

「だってぇ・・・僕を裏切った美咲が悪いんだヨ」

ははっ、と僕は笑った。

そして、隆治と美咲の遺体をバラバラにした。

「人間の肉って食べれるのかなぁ・・・猫だかなんだかの肉って泡が出てくるんだよね」

なんてくだらない独り言。

でもなんか気になった。

僕は2人の肉を少し取って食べることにした。

なんとも馬鹿らしい・・・。

我ながらとんだネタだった。

ただ、さっと油で焼くだけ、塩コショウも少し振ったけれど

いくら洗っても血の味は微妙にする。

なんか、複雑の味だった。

おいしいというよりおいしくない、おいしくないというよりおいしい、未完成のおかずのようだった。

何かが足りない、そんな感じ。

バラバラにしたはいいけど、捨てたらきっとバレるだろう。

そうだ、山の奥深くなら大丈夫じゃないだろうか。

指紋だって付いたって発見されなきゃいいんだ。

そうだよ、埋めに行こう。

夜中に車を出して山に向かった。

「美咲が悪いんだよ・・・美咲が裏切ったから」

深く、深く掘る。


さっきみたいに・・・・。


「ぁ・・・あぁあそうだ・・・僕は・・・」

「捕らえろ」

その一言で僕は逃げる間もなく捕まった。

「あ・・・あああああああっ!」

僕は泣いた。

やっと涙を流せた。

でも、なんて悲しい話なんだろう。

美咲はもうとっくに死んでて、でも美咲はいて。

本当は美咲なんていなくて、なのに美咲と暮らして。

付き合って、幸せで、これから結婚して、子供生んでもらって

この先も幸せになるはずだったのに・・・。

いつから狂ったんだろう。

この世界は、いつも狂ってる・・・。


僕は捕まったんだ。

それはわかってる。

ここが何処なのかもわかる、刑務所。

死刑、なんだろうな、きっと。

せめて、自分の死ぬときは自分の手で。

まだ、美咲に触れたときの感触を覚えてるこの手で。

「終わらせてくれ」

僕は自分の手を首に当てた。