先日、
弊社のワークショップへ通われている声優さんが、
養成所レッスンの方にて講師の方から、
「もっと演技の引き出しを作れ!」
と言われたんだそうです。
この生徒さん、
その引き出しを作ろうとあれこれ考えてみたようですが、一向にこれが構築される気配がないのだそう・・・。
それどころか、
そもそもの言葉にあった〈引き出し〉について疑問を持ち始めてしまったそうなのです。
「ところで、演技の引き出しって何・・・
」
こうなったら進退窮まったも同然ですね
さて、
多くの講師の方が、
演技について、比喩的な表現を持ち出して指導されていますよね。
私は、出来るかぎりこの表現方法を避けるようにしています。
なぜならば、
勉強中の新人声優さんというのは、こういう比喩言葉にふてると、ついには「意味不明」の状態へと進むことになるからです。
・シナリオの裏を読め!
・セリフの行間を読め!
・感情移入させろ!
・自分の殻を破れ!
などなど・・・言葉の意図する雰囲気は掴めますが、その真意は全く理解ができません。
ですから、私は、
自分のレッスンでは、すべての表現を具体的に解説するよう心がけているのです。
全てを技術的、論理的に解説することで、新人声優さんは、演技表現について一切の疑問を持つことがないようにしています。
これは、
映画の助監督時代の私の経験が生きていると思いますね。
映画監督というのは、多くの方が、俳優さんへ具体的な説明を行います。
俳優が悩み、表現が止まることがないように心がけている結果だと思います。
(映画の現場が数時間止まるだけで、莫大な額の製作費損失になりますからね。)
私も、そのような監督の演出(説明)を身近に見ていたからこそ、今の指導方法に行き着いたのだと考えています。
(ちょっと脱線してしまいましたね
)
さて、
先ほどの「引き出し」ですが、
これは、演技表現の種類のことを「引き出し」と呼んで良いと思います。
セリフの解釈から生まれる感情について、その感情を観客に伝える表現はいくつか存在するものです。
俳優ならば、セリフの語り口以外にも、しぐさ(所作)がありますから、これは膨大な表現方法が存在するでしょう。
声優ならば、語り口のこだわりますから、節回しから間の入れ方、息のアドリブなど、声のについての繊細な表現バリエーションが生まれます。
では、これらの種類(引き出し)をどのように入手するのか・・・記憶していくのか・・・が問題ですよね。
ここで大事なのが、映画を観る姿勢となってくるのです。
皆さん、演技を学ぶために名作映画を観るでしょう。
とことが、映画を見るたびに演技表現が着実にストックされていくわけではないですよね。
時には、何一つ残らないこともあるはずです。
大切なのは、
映画の中で感動したシーンがやってきた時なンです
役者にとっては、感動こそが、演技表現の記憶装置になっているからなのです。
これまで感じたことがないような大きな感動を経験したら、
ぜひ、「どんな表現を目の当たりにしたのか」とその表現を探る思考を起動していただきたいですね。
このタイミングを逃したら、
その映画の鑑賞後には、「面白い映画を見たぞ」という意味の無い感想しか後には残りません。
声優を目指すならば、いつでも自分の感動に反応して、すぐさまその表現を突き詰める動作に移るべきなのです。
そして、時には、一つの大きな感動が、記憶の中で長く鮮明に生き続けることもあります。
こういった表現は、その方にとっては、すぐにでも活用できる演技表現アイデアとなり、何度も身を助けることになるでしょう。
そして、
この感動という経験は、常に、より質に高いものを求めます。
感動ほどワガママな感覚はないですよね
いつでも新鮮さを求めて、飽くことがありません。
ですから、それに従って、観る映画の質を上げていくことも重要です
(これが出来ないと、感性は鈍るばかりです・・・。)
プロになる声優さんとは、この行動が、日々のルーティンになっているのですよね。
自宅でもそう過ごして研究に余念がないし、仕事現場では共演者の一流表現に触れ続けています。
これは、もう、毎日上手くなるしかない環境にいるんですね。
(うらやましッ!!)
新人声優さんも、自分で、彼らプロ以上の環境を手に入れることが重要だと思います。
だから、名作映画だけを見続けていたら良いんですね
「演技の引き出しは、感動でつくる」
これは、私が、ワークショップでいつも言う言葉です。
この結果が、プロ声優への道を開いてくれると思います。
「声優は、知識でやる仕事です」
これもよく言う言葉の一つです。
知識が演技表現の基盤を作っています。
ここを怠る声優に、金を払うお客さんなどいませんからね。
ぜひ、たくさんのたくさんの感動に触れて、膨大な演技の引き出しをこしらえてください。
それらを出し入れ自由な状態になるまで、演技実践の特訓を繰り返してください。
良い知識は、持っているだけでは宝の持ち腐れですからね〜


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