キキの魅力 | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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このところ、

 

映画『魔女の宅急便』を良く観るのですグッ

 

それは、

 

大好きなセリフが沢山詰まった作品だからなんです〜照れ

 

中でもお気に入りなのが、

 

こちらのシーン下差し

 

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キキ、テーブルに載せられた箱の蓋を開ける。

 

老婦人

「これをキキという人に届けて欲しいの。この前とってもお世話になったから。そのお礼なのよ。ついでに、その子のお誕生日を聞いてきてくれると嬉しいんだけど。またケーキを焼けるでしょ。」

 

キキ、目を潤ませている。

 

老婦人

「キキ?」

 

キキ

「きっと、その子もおばさまの誕生日を知りたがるわ。プレゼントを考える楽しみがふえるから」

 

老婦人

「ほんとね」

 

笑う二人。

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この一連の会話の中での、

 

キキちゃんの、

 

「きっと、その子もおばさまの誕生日を知りたがるわ。プレゼントを考える楽しみがふえるから」

 

というセリフが、大好きなんですよ〜キラキラ

 

実際には、

 

こんな洒落た切り返しを、咄嗟の判断で行える少女など、

 

いるはずはないような気がしますよねぇ〜チュー

 

しかし、

 

このような小粋なキャラクターも、

 

この映画の中であれば、十分にリアリティーがあるのです!

 

 

 

もしも、

 

このセリフが、

 

他のキャラクターであればどうでしょう?

 

例えば、

 

キキと同類の好奇心旺盛でチャーミングな少女である、

 

『耳をすませば』(1995年 近藤喜文監督)

 

の主人公、月島雫ちゃんだったら。

同じ宮崎駿さんの脚本、絵コンテで制作された映画です。

 

 

 

一見、うまくハマりそうですが、

 

この雫ちゃんは、

 

そこまでのユーモアは持ち合わせていないように思えますね〜。

 

こういったリアリティーが、

 

宮崎監督流のリアリズムであり、魅力なんですよねぇ〜〜キラキラ

 

 

 

 

では、

 

あのキキちゃんの小粋なキャラクターは、

 

どのように映画の中で形成されたのでしょうか??

 

普通ならば、

 

(特に現代の視聴者にとっては、)

 

「子供に、そんな受け答えが出来るもんか!!」

 

とツッコミを入れてしまいそうになります〜爆  笑

 

 

 

そこで検討すべきが、

 

「キキに込められた本質」

 

「キキに込められたキャラクター性」

 

と言うような核心に関わる部分なのです。

 

そこで私は思うのですニコニコ

 

映画を通して、

 

観客へ伝わるキキちゃんの魅力とは、

 

あの小さな体に秘められた「瞬発力」ではないでしょうか〜!!

 

 

 

その方向で、

 

今一度、この映画を観てみると、

 

そういった演出がよく現れるのが分かります。

 

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【キキが都市へ到着したシーン】

 

キキ、人混みの通行人の中へ降り立つ。

周囲の視線に一瞬ためらうが、

 

キキ

「あの、私、魔女のキキです。こっちは、黒猫のジジ。お邪魔させて頂きます!」

 

キキ、満面の笑みと共に、きちんとお辞儀をして、

 

キキ

「私、この街へ住まわせて頂きたいんです。綺麗だし、時計塔も素敵だし」

 

通行人、怪訝な表情で立ち去る。

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ここでも、

 

彼女の瞬発力が発揮されますよね。

 

躊躇した刹那、あの魅力的な自己紹介が始まるのです〜照れ

 

今回は、見事に惨敗してしまいますが〜〜ウインク

 

これが、宮崎監督の考える思春期の姿なんでしょうかね。

 

 

 

 

他のシーンでも、

 

同様のキキが現れています。

 

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【おソノさんとの出会いのシーン】

 

おソノ、おしゃぶりを手にして、

 

おソノ

「ああ、困ったねぇ〜。これが無いと、あの子大泣きするんだよ」

 

キキ、去りゆくおソノへ

 

キキ

「あの、私で良ければ届けましょうか?」

 

おソノ

「え? でも・・・」

 

キキ

「あそこを曲がった、乳母車の人でしょ」

 

おソノ、キキの笑顔にキョトンとしてから、

 

おソノ

「じゃあ、頼むわ。(おしゃぶりを手渡して)悪いね」

 

キキ

「いえ」

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注目すべきは、

 

キキがおソノさんへ声を掛ける描写です。

 

とても素晴らしいカットになっていますから。

 

キキは、おソノの行動を見つめています。

 

「この人、お店に戻るのかな・・・」と見つめながら、

 

「あ、自分で追いかけるつもりなんだ」と分かったら、

 

フト、自然に、手助けの声かけをしているのです。

 

このフト話しかける描写に、

 

キキの魅力である「瞬発力」は見事に表現されていますよねOK

 

 

 

 

この後のシーンでも、

 

ちょっとしたキキの瞬発力は観られます。

 

翌朝、

 

キキが、パン屋の店舗に顔を出した場面です。

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キキ「おはようございます!」

 

おソノ「おはよう。よく眠れた?」

 

キキ「ええ。いい香匂いね〜!手伝っていい?」

 

おソノ「うん」

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明らかに、キキちゃんの言葉に瞬発力が魅力的ですよね。

 

「ええ (返答)いい香り(感動)手伝っていい(行動)」

 

までが瞬く間のことで行われます照れ

 

こんなハッキリハキハキした気持ちの良い少女なんて、

 

存在するわけないと思いながら、

 

彼女の虜になってしまうんですよねぇ〜〜グッ

 

 

 

 

冒頭、25分くらいまでで、

 

目立つところを挙げてみてもこのような状態です。

 

他にも、この瞬発力が元になって描かれているシーンは、

 

いくらでもあるはずです。

 

「ジジをぬいぐるみの代わりにしちゃうシーン」

 

「電気オーブンではなく、マキのオーブンでの料理を提案するシーン」

 

などなど照れ

 

 

 

こんな風な、キキのセリフ(行動)を観ていく中で、

 

あの私が大好きなセリフに観客は出会うことになるのです。

 

「きっと、その子もおばさまの誕生日を知りたがるわ。プレゼントを考える楽しみがふえるから」

 

見事に、違和感を感じませんねウインク

 

まさに、キキらしいセリフだと感じてしまうくらいにOK

 

 

 

 

私は、自分の担当するワークショップでも、

 

繰り返し言っていますが、

 

キャラクターの本質をシナリオから見抜けない人は、

 

絶対に声優になどなれないと思っています。

 

キャラクターの本質こそが、

 

演技プランを考える上での最大の検討材料なのです。

 

ドラマとは、

 

脚本とは、

 

そのように作ってあるから、

 

作品が魅力を放つように構築されているのです。

 

ここの理解が、

 

ドラマ制作の基礎なんですよね〜〜ニコニコ

 

もっともっと、新人声優さんと、

 

この辺りについて討論しなくてはなりませんね〜グッ

 

この分析力が、身を助けるのですから。

 

 

 

 

さて、

 

この「瞬発力」というものの根拠ですが、

 

『魔女の宅急便』のオープニングシーンを思い出してみて欲しいのです。

 

青空、土手で寝そべるキキ。

 

携帯ラジオが、天候が回復して、今夜満月が出ることを告げる。

 

キキ、おもむろに立ち上がり、家へとかけていく。

 

ここで、

 

すでに描かれているんですよね〜爆  笑

 

瞬発力が〜爆  笑爆  笑

 

観客にとって、キキは、ここから始まっていたんです!!

 

 

 

 

本当に、よく出来た映画ですよね〜〜。

 

素晴らしいの一言ですキラキラ

 

 

 

 

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オーディオキネマ代表 

山中勇人(脚本・演出)

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