物語のリアリティーを作る | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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『研ぎ師伊之助深川噺』

 

という物語は、

「町人の目から観た武士の世界を描く」

という課題が作品のコンセプトになっていますニコニコ




となるものが決まったから、

 

即座に執筆が開始出来るかというと、

 

そう上手くはいきません〜〜タラー


相手は江戸時代ですからね。

つまりは、

 

時代考証についての知識など、

 

知らないことが山積みなんですね・・・チュー

(トホホ・・・)



一つ目の解決すべき問題は、

とても単純なものでしたね!

それは、

「幕末の江戸に住む町人は、

 

江戸のことを何と呼んだのか?

ということでした。

 

 

 

「そりゃ、〈江戸〉って読んだだろうよ」と思われるかも知れませんが、

 

そこを知れべてこそのドラマシナリオなのです〜グッ

 

例えば、

 

江戸時代の人は、

 

江戸幕府を「公儀、または、お上」と呼んでいました。

「徳川さま、トクセン」なんて言っている映画を観たことがありますが、

 

どうやらあれらは、嘘のようですね〜。

 

でも、嘘をつくからlこそ、面白さ出ることだってありますニヤリ

 

だから、

 

ちゃんと調べてから、嘘をつくことが求められるのですグッ



さて、

 

江戸の呼び名について色々と調べてみると、

江戸の人々は、自分たちの町を、

 

「お江戸」と呼んでいたそうですニコニコ

自分の街に「お」をつけるなんて、

世界中でも、この江戸に住まう人々のみのことらしいですねOK

つまりは、

 

非常に独特な個性を持った人々だったようです。

※ちなみに、ドラマの舞台となっている深川の町人は、
 橋を渡って大川の西側へ行く時に、
 「ちょいと江戸へ行ってくるよ~」と言ったそうです。
 この辺りの町人(本所・深川)は、江戸の郊外ながら土地に強い誇りを持っていたようです。
 だから「お江戸」なんて持ち上げたりはしなかったかもしれませんね。




問題を一つクリアしたところで、

今度は、お江戸に住む町人について考えた時、

早速、2つ目の問題にぶつかりましたチュー

「よく、江戸っ子って言うけれど、

 

昔の人もそう言ったのかな?

という疑問でした。

これもすぐさま調べなければいけません。

そして、諸説ある中で、

明和年間(1764年~71年)の文献には見え始めている事実を発見することが出来ましたチョキ

これで、

 

私の描いたドラマの時代(1855年)でも、

人物に「江戸っ子」と言わせて問題ありません。

 

このように事実と出会うことが出来ると、

 

私のイマジネーションの町人たちも、

 

驚くほどリアリティーを持ち始めるものです照れ




そんなことを調べ終えた頃には、

「そもそも江戸っ子は、いつからいるんだろう?

という謎が私の頭を支配していました。

(嫌な予感ですね・・・ガーン




ハァ〜〜〜

こうなったら、もう止まりませんよね・・・チュー

「江戸っ子なぜ生まれたんだろう?

「本当の江戸っ子とは、どんな人々だったのか?

「江戸言葉とは? 深川言葉とは?

と次から次へと疑問の連鎖になっていきましたアセアセ




こうなってくると、

図書館で本格的に勉強となる訳です。

受験生に混ざって、朝から席取りの列に並ぶ日々ですね。

大変だけど、必要な時間ですね!!

 

リアリティーの追求は、

 

ドラマ制作に関わる者の使命ですからねウインク

こんな下調べの日々を経て、

やっとドラマの登場人物たちに、

 

愛情を注ぐことが出来るんですよねOK



あの、

「向こう見ずで強がりな江戸っ子」の魅力。

空景気で、執着心を毛嫌いし、喧嘩っ早いが仲直りも早い、

見栄坊で威張りたがり、幼稚で馬鹿馬鹿しいところもあるが、

啖呵を切って主張を曲げない。

常に軽々しく生き、悟ったようで悟らず、

垢抜けしたようで俗気がある。

それでいて深刻なところは微塵もなく、

威張っても可笑しみが勝っている、

そんな江戸の人々ですニコニコ




こんな無茶苦茶な人物像の町人が、

江戸に数十万人もいたと思うと、

にわかに信じられませんが、

徳川家康が江戸を作り始めて以来、

日本全国、約300の大名家が、

自藩の武士や町人を連れてこの土地で暮らし始め、

それぞれの国の文化を江戸城下の上屋敷、中屋敷でも守ってきました。

つまりは、突如現れた大都市江戸ですが、

全ての人口は他国者だったということです。

そんな都市は、他にはないでしょうねニヤリ

大体は地元民が基盤となって都市は形成されているものですからね。

(実に不可思議な誕生です。)




そこから、

約160年の時を経て、

武家中心の社会から、

町人、商人中心の市民社会へ移行した時、

「江戸っ子」意識が彼らの中で芽生えてようです。

どんどんと江戸へ流入する田舎者との差別化を計るため、

「粋」だ「いなせ」だなんて心ばえが始まったのかも知れません。




いくつかの時代考証の先生の書籍を読み、

諸説色々発表されている江戸っ子発祥説を調べましたが、

知れば知るほど、

彼らのこんな性格が理解できるような気がしました照れ

景気が悪く、貧富の差は広がるばかり。

頻発する火事は、一瞬にして財産を奪い去る。

あぶれる浪人、貧乏御家人の乱暴狼藉事件。

日々を面白おかしく生きたくなる気持ちはよくわかりますね!




江戸町人の「いなせ」や「いさみ」の共通の気風は、

つまりは、江戸の血が流れた身内意識のあらわれかもしれせんね。

こんな反権力的、反体制的な精神をもった一般市民なんて、

やっぱり愛すべき魅力ある人々です〜爆  笑ルンルン




あれこれと、

私の彼らへの思いを書きましたが、

なぜ、こんなものを読んで頂いたかと言いますと、

つまりは、

私は、出来る限り、

現実に実在したであろう人物像、実体に迫った江戸の町人を描きたかったということですウインク

たとえ荒唐無稽なエンターテイメント時代劇でも、

リアリティーの追求を忘れては、どうにもならないということです。

 

これは、

書き手側だけが求めるだけでは、全く不十分なんです。

制作陣も同じ気持であることはもちろんですが、

声優さんの側にも、この精神を共有してもらわなければ、

作品は完成されないのです!

 

むしろ、

 

声優さんは、

 

キャラクターの背景、内面感情、本質など考察すべきことは山のようにあります。

 

この重要性は、

 

新人声優さんへも、

 

しっかりと認識していただきたいですね〜ニコニコ

 

私のお付き合いさせて頂いた大御所声優達のリサーチ力は、

 

とても信頼できるものでしたからねグッ




目的は、

お客さんを楽しませたい!

後世に残る作品を作りたい!

納得できる「本物」を作りたい!

このことですよね照れ

 

 

面白いものって、

 

こういうことだと信じたいですね〜
 

 

 

 

 

★オーディオキネマ制作作品

長編時代劇ドラマCD

上下巻で4枚CDとなります。

 

 

 

 

オーディオキネマ代表 

山中勇人(脚本・演出)

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