『櫻の樹の下には』といえば、梶井基次郎の短編小説である。
書き出しが、
桜の木の下には屍体が埋まっている。
で、始まる。
これを桜の季節になるといつも思い出す。
それというのも以前知り合った元債権回収ヤクザでライターをやっていた知り合いから聞いた話が印象に残っているからだ。
色々なトラブルの中で葬らないといけない事象が発生する。
手っ取り早いのは海に沈めることだ。重りをつけて投げ込んでも、内臓から腐り始めて、そこからガスが発生して浮いてきてしまうそうだ。
そこでプロは捨てる前に腹を開いて、内臓を先に捨てて魚に食わせるそうだ。そうするとガスが出ないから海中に沈むと言う。
いや、俺はやってないけどね。船で観てただけだよと不気味に笑う。
海に行けない時は公園を探す。できるだけ新しい公園が良いそうだ。まだ土が柔らかいから穴が掘りやすいという。
そして、いや、俺はやってないけどね。車で待ってたからと、不気味に笑う。
桜の季節になるとそのことを思い出す。桜の美しさが梶井基次郎の小説と共に去来する。
インバウンドの影響もあり、桜の周りは観光客など人だかりでいっぱいだ。普段公園に来ない人までいっぱいいて、あたりはゴミだらけ。マナー違反の馬鹿騒ぎ。
だから私はそういうところには近づかない。
屍体が埋まっているかもしれないんだよ!
いつも近場の誰もいない。桜の木の下で合掌しながらひとり花見をすることにしている。
今日はこの辺で。