性と憐れみ | 真夜中の雨

真夜中の雨

ひとりごと短編。

彼女は付き合うオトコ全てを駄目にする女であった。


サガの持ち主とでも言うのか?


社会人になる前には、幾多の男が彼女の肉体を求めてきた。


そんな男たちにはある共通点があり、破滅願望の強い性質を持つ者ばかりであった。


彼女の魔性とも言える魅力が、男達の持つ悲しき性を刺激され引き寄せされたのかどうかは分からないが、男達も悲壮な感覚はなく喜んで女の豊満な胸に飛び込み、現実感覚をなくし手玉に取られ、自信をなくし飛び降り自殺や薬物乱用、アルコール依存に陥る者が後を絶たない。


そんな男達をみて、彼女は不思議な表情をし、


「私は真面目に生きているのに、付き合う男が駄目になるのはなぜか?」


彼女には何故、男が自ら闇の果てに向かうのかが分からない。


自らの悪魔的な肉体と美貌は、彼女自身を不幸にしている事に気づきもしない。


誰が彼女をそうさせたのか?


果たして本当にサガ(性)なのか?


単純に肉体を駆使した寝床上手なだけではないのか?


彼女に関わった男達はいつも自信がないように見えた。


男の幻想的な見栄さえも奪われた抜け殻のような肉人形のようだった。


哀しき男の性は不思議な肉欲と美貌の魔力によって打ちのめされ、獣の本性を曝け出された挙げ句、死に追いやられた牙を抜かれた憐れな犬でしかなかった。


さよなら。