彼女は降りしきる雨の中、身を震わせ泣いていた。
飼っていた犬が亡くなった事が原因でペットロスになり軽い鬱症状になり、居ても立っても居られなくなり、雨の中へ向かい、雫と全ての生命の糧になる天からの涙に打たれに行った。
心の空虚はなかなか埋められない。
そこに忍び寄る事は悪魔でさえも出来ないのだ。
そして優しく寄り添う天使さえも彼女の心に入ることは出来ない。
そこに必要なのは偽物の優しさではなく、また自惚れた優しさでもない。
本物の優しさを持つものによってのみ彼女の涙は崇高な魂に変化する。
雨は降り続くが、彼女の心の雨は止み、天に行った愛犬は安心する。
さよなら。
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