ブルース・リー映画「ドラゴン危機一発」の音楽。 | いい家づくりと趣味の話

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ドラゴン危機一発の音楽のお話。

 


ドラゴン危機一発は、大変興味深い作品です。ブルース・リーの香港凱旋第一作目だったわけですが、この映画、音楽にはいろいろな不思議があるのですよね。

 

今となれば、いろいろな資料からの想像の域を超えませんが、論理的に紐付けてみると結構楽しめます。

 

ドラゴン危機一発が製作された1971年に、音楽に関してはいろいろな想像ができます。ドラゴン危機一発は、北京語で上映することを前提に音声と音楽を入れていました。

 

音楽を担当していたのは、ワン・フー・リンという人でした。

 

その後のブルース・リー映画には、まったく出てきませんが、この一作だけがこの人のようです。

 

しかし、日本で公開された日本上映版には、クレジットされていますが、音楽の差し替えが頻繁に行われており、もう、めちゃくちゃです。

 

本家の北京語版においても、何故か日本の大映映画の「大魔神」シリーズの音楽を多用しています。

 

 

聞いてみるとよくわかるのですが、仲間が惨殺されたことをブルース・リーが見つけ、チャオメイを探しに行く場面で使用されている音楽が「大魔神」で使われている音楽だとすぐにわかります。当時の香港映画では、作曲するよりも他の曲を挿入することが多かったようです。

 

その多くは、クラシックだったそうですが、大映映画の音楽を使えたには、何らかの理由があったのでしょうね。ここも想像の域を超えませんが、1971年という年は、ゴールデンハーベスト社と勝プロが合作で「座頭市 破れ!唐人剣」を作った年でもあります。また、大映映画が倒産し、大魔神のスーツアクターである橋本力氏が勝プロに移籍した年でもありました。


ドラゴン危機一発に大魔神の音楽が使えた理由がこのあたりに隠されているようにも思えます。

 

また、日本での公開時にも大魔神の音楽を北京語版とは違う形で挿入しています。チャオメイが兄であるシューの探索を同居者達に願っていたにも関わらず、仕事場で喧嘩したことに呆れて、泣きながら訴えるシーンに、原版の音にかぶせて挿入しています。そもそも、日本で公開されたバージョンもいろいろないじられ方をしています。

 

香港版にはなかった新しい作曲者を2人いれています。

 

一人はドイツ人の作曲家、ピーター・トーマス氏ともう一人は、日本で公開された香港時代のブルース・リー作品のすべてに作曲家として採用されているジョセフ・クー氏です。日本で公開されたドラゴン危機一発は、英語圏向けの修正英語版になります。

 

ブルース・リーが実際には監修していない、あるいはその存在を知らないバージョンとも言われています。

 

それに、日本向けに東宝東和が香港で作成した新しい音楽を挿入して公開しています。


この日本向けジョセフ・クー氏の作曲依頼は、おそらくはドラゴン三部作一度に行われたようにも思えます。


ドラゴン危機一発、ドラゴン怒りの鉄拳、ドラゴンへの道。


この三作をジョセフ・クー氏が依頼を受け、作曲し、歌を入れたのだと考えられます。東宝東和の思惑通りにはドラゴンへの道は行きませんでしたが、挿入歌だけはできあがっていたために、本編公開時には、それを採用し、東映独自に日本人のビル・パウエルと名乗るペンネームの作曲家に他の挿入音楽(採用されたのは一曲だけ)を依頼し、東映版を作成したように思えます。


いずれにしても、日本の大映映画と香港映画との関係があったために、ドラゴン危機一発には、大魔神の音楽が北京語版で使用されたのでしょうね。当然ながら低予算という事も原因していると思います。

 

なぜならば、ドラゴン危機一発がヒットした後の作品は、音楽に関しては、その映画用に作曲されているわけですからね(怒りの鉄拳には、一部他の映画の音楽も使用されています)


このように、ドラゴン危機一発は音楽を考えるといろいろと楽しい、興味あることが沢山出てきます。