なかなか手ごわい感じがしてきた今回の修理・メンテナンス。
そもそも、電子図面も読めない素人の私が現象から原因を追う事は当然ながら遠回りをするわけです。
そして、初めて見るパーツや数の多さで後回しにしている部品も多数あります。
これがそもそもの間違いという事に後々気が付くわけです。
これが物理学の面白さなのですね。
実体験で学ぶのが物理なのですね。
さて、ツイントランジスタに問題がなかったという事で次に考えたのはパワートランジスタでした。
アルミ製のヒートシンクに直付けされている4個のパワートランジスタも左右対になっています。
これらにテスターを充てても数字的には問題ありませんでしたが、外して左右入れ替えてみました。
結果は現象は変わらずでした。
次に考えたのは、可能性は低いですがフィルムコンデンサの故障です。
これも数はそこそこあるのですが、左右対になっているのですべてを左右入れ替えてみました。
でも、結果は変わらずでした。
さて、これからは宝探しのような感じです。
数が大変多い抵抗器のチェックになります。
数が多いだけでなく、種類も多いです。
この抵抗器のチェックに手を出さなかった理由は、メンテナンスマニュアルがどこにもなく、当然ながらパーツリストもありません。
基盤に付けられている抵抗器のカラーコードから抵抗値を計算しなければなりません。
これが大変な作業になるのですね。
また、経年退色もあり、そして抵抗器の種類によっても色合いが異なるのですね。
しかし、この抵抗器が一番怪しいのです。
パッと見た感じでは、茶色のカーボン抵抗器と大型のセメント抵抗器、ヒューズ抵抗器が左右対になって基盤上に見えます。
大型のセメント抵抗器はまず問題がなさそうだったので、数の多い茶色のカーボン抵抗器をカラーコードを見ながら計算して、テスターでチェックして行きました。
本来なら基盤から外して一つづつチェックするのが良いのでしょうが、対になっている事もあり、左右で数値が怪しいのを探す事にしました。
するといくつか怪しいそうなのが出てきました。
基盤に付けたままなので、他の部品の影響はあるとは思いますが怪しそうなのを外してチャックする事にしました。
基盤から外す前にヒューズ抵抗器もチェックしてみました。
すると明らかにカラーコードから計算した数値と異なる数値が出ている部品が一対出てきました。
コードから計算した数値の10倍以上数値がおかしいのです。しかも右側が・・
また、左側も3倍以上の数値を出しています。
始めて、原因ぽい部品が見つかりました。
さて、問題はこの部品が手に入るかなのですね。
ヒューズ抵抗器は今はあまり使われていないようで、いつも購入しているお店では売られていませんでした。
ネットでいろいろと探しているとまだヒューズ抵抗器を作っている会社があり、その会社のネット通販で買えるようなのです。
早速、その会社のHPを見て、形は少し異なりますし、同じ電流でも少しサイズが小さくなるようですが、代替品を見つけました。
早速注文して、入手後置き換えてみました。
また、怪しそうなカーボン抵抗器は基盤から外してテスターでチェックしてみると正常値でした。
他の部品の影響だったようです。
せっかく外したので新品に交換してつけておきました。
そして、電源を入れてみるとDC漏れは解消されていました。
やれやれって感じですが、ほっとしました。
後にいろいろと調べているとこの世代のプリメインアンプ、特にLo-Dシリーズではヒューズ抵抗器を多用している事で重要な部品の破損を保護しているようなのですが、このヒューズ抵抗器が劣化する事が多いので経験豊かな修理技術者達はまず最初にヒューズ抵抗器を疑って交換するようです。
さて、DC漏れが解消されたわけですが、もう一か所チェックする必要があります。
これだけいろんな場所をいじったわけですし、部品も交換したわけですから、アイドリング調整、バイアス調整もする必要があります。
このHA-M50にはDC漏れをコントロールする半固定抵抗はありませんが、バイアス調整用の半固定抵抗はあります。
これをチェックするための専用のチェックピンは見当たりませんが、大きな四角いセメント抵抗器に3本のチェックピンが出ていますのでこれを使います。
抵抗値が0.22オームなのでオームの法則でテスターで測るボルト数値を計算し、大体5.5~6.0程度に抑える事で20~25mAになるような感じです。
3本ピンなので真ん中を使って左右どちらかを測る場合の数値がこれなので、真ん中を使わずに左右で測ると倍になります。
11~12mVの間で納めるとよさそうです。
さて、ここでも問題があります。
40年以上も前のアンプなので、この半固定抵抗が劣化しており触ると壊れてしまう可能性が大きいのです。
そもそも、金属むき出しの状態ですから目視しても劣化がわかります。
試しにこのまま調整してみましたが、数値が安定せずに熱暴走し始めました。
これは使い物にはなりません。
代替品を探すことになるのですが、パーツリストがないので何オームなのかを確認するには実物から判断するしか手はありません。
この半固定抵抗の金属部には、5010と501Kと2つの記載があります。
これは500オームの半固定抵抗ということなので、早速代替品を探しました。
まだ、何とか普通に入手する事はできましたがサイズは少し小さいです。
同じ3本足なのですが真ん中が短いのでそのまま折り目を伸ばして何とか基盤に収まりました。
調整を行い、大体のところで安定しましたので、バイアス調整も終えました。
ヒートシンクも熱くならずにいい感じです。
セッティングを終え、スピーカーにつないでCDからの音楽を聴いてみました。
何とも懐かしいような昭和的な音が出ています。
今流のクリアー過ぎる音は少し異なり、なんとなくレコードを聴いているかのような感じです。
音量を8時から9時程度しかあげていませんので激しさはありませんが、聞いていると心地よいので眠たくなります。
この感じがいいのですね。
大変、時間と労力はかかりましたが無事に修理が完了できてよかったです。



















