『龍 塾 -Dragonism-』21
「カニ漁」
午前0時
兼業で漁師をしている
親父に付き合って
この日
毛ガニを獲りに松島湾内へ船を出した。
珍しく
風も波もない
穏やかな海だった。
松島湾内で
カニを獲ってる人自体
とても少ないから
「松島で毛ガニ!?」
となる。
毎年、2月から3月にかけて獲れるそうだが、
2月中は、身が入らず
3月に入ると沖に下がってしまう為、
実際には2~3週間だけ行われている様だ。
仕掛け始めてから四時間

これが全部、毛ガニ。
100杯超!
で、AM5:00帰宅

そのうち

甲羅を取ると…

カニミソたっぷり!!
それを…

味が濃い!!
更に、この日はアサリの解禁日!
漁協からは
船一艘に付き二人まで
の漁の許可
行って来ました。

捕り始めて5分

二時間もすると…

石ころじゃないよ。
松島湾のアサリ。
イヤ~…
海ってスゴイなぁ
『龍 塾 -Dragonism-』19
『オレのばあちゃん』
「マンマ食ったのが?」
会いに行くといつも
ここから始まる。
とても温かく、
会っていない日数を
一瞬で縮めてくれる言葉。
これといった会話は
あまりないが
背の低いばあちゃんの
やさしい雰囲気と
やさしい匂いに
何度も顔がほころぶ。
味噌汁には白味噌。
カレーは、ルーではなく粉。
親指全体で
何粒もくっつけて取り出す、
茹でたトウモロコシ。
連れてってくれた食堂の
ゆで卵や、ソフトクリーム、
焼そばと酢豚。
隣接するメガネ屋の
店頭音楽が、繰り返し
聞こえる店だった。
小さい頃
ばあちゃんの近くにいると、
とても安心できた。
とても落ち着いた。
とても甘えた。
夕方になると、
隣の部屋からでも
「相撲やってねぇのが?」
そこは、譲らなかった。
寝る時は、
ダルマが並んでいる部屋で
隣に敷いた布団でないと
嫌だった。
本が好きだったオレは、
本屋の前で
ばあちゃんを困らせた。
買ってくれるまで
泣いて
動かない。
その事を、
何度も
何度も
半ば困った顔で、
半ば嬉しそうに話してくれる。
入院しているばあちゃんは
変わってない。
「さっぱり、顔見せないで…」
遠くに住んでいる訳でもないのに
大人になってからは
何故か
足が遠退いていた。
自分で
移動手段を持っていなかった、
あの頃よりも
会っていない。
いつも、
気持ちには
「ばあちゃん」があったのに。
若い頃から
苦労してきたばあちゃん。
獲ったアサリを
何キロも歩いての行商や、
飲んだくれのじいちゃんとの
苦しい生活等…
そして、
長年患っている癌との闘い。
その“敵”と
今、最後の闘いをしている。
薄いカーテンで仕切られた
白い部屋で。
放射線治療の後、
38kgにまで減った体重。
吐き気と倦怠感の繰り返し。
「最期の時」は
いつ来てもおかしくない状態だ
と、医者が言う。
それでも、
ちょっと体調が良いからと
「オラ、退院する」
さらに減った
35kgの体重で…
そんな、ばあちゃんに
何もしてあげられない
非力の自分。
ポケットから取り出した
水晶の勾玉を
ばあちゃんの手に渡した。
ずっと握っていたから
少し暖かく、
少しキズの付いた
小さな勾玉。
「お守りだって」
周りに言って見せ、
小さい手で
ギュッと握りしめた。
「あんたは、本が好きだった。」
今度は、
オレが
ばあちゃんに
本をあげよう。
オレの本を。
6月で米寿になる時までに…
