大雨や台風などで、冠水している所を勢い良く通過しようとする
間違った認識の方が多いようです。
ニュースを見ていると目を覆いたく成ります。
車は舟とは違います!って、誰でも分かる事ですが、
違いが分かっていないようですですから、バシャ~ンって行っちゃうですね。
舟は船体中心で左右に水をかき分けますが、タイヤがかき分けた水は
内側にも同様の水量が巻き上げられております。
車種によっては深刻な影響(後半に記載)を及ぼす可能性が否めません。
多くみられるのはアンダーカバーや遮熱版の変形や破損が生じております。
道路は排水を考慮したカマボコ形状ですので、左側通行の日本では、
左側の水深を注意するべきです。
船首は傾斜や鋭利形状でかき分けますが、車両正面は平坦で水が駆け上がります。
水深が浅いと油断していると、対向車が発する波が思いの他水位を上げて来ます。
水圧は侮れず、ナンバーが簡単に前方向に折れ曲がります。
「イタズラされたぁ~」と思う前に、バシャ~ン!やってませんか?
ニュース画像でも確認出来るほど、多く見られる現象です。
ご来店のお客様でも、数件事例がございます。
指摘すると心当たりが・・・・(^^
水溜りはゆっくり走る事をお勧め致しますが、タイヤの半分以上の深さは低速でも危険です。
ニュアンスでは、ジャブジャブも危険です。白波が立たない程度のゆっくり走行です。
加熱した金属が水で急激に冷やされると、歪や変形、ひび割れなど起こします。
まぁ、走行直後にバシャバシャ洗車すると、ブレーキローターが歪み、ジャダが出るくらいですからね。
各電気系のコネクターは防水対策されておりますが、放熱の為穴だらけのオルタネーター(発電機)には
過大な悪影響を及ぼし兼ねません。
軽バンの吸気部は地上から低い位置に有るので、結構簡単に逝きます。
バシャ~ンで止まってしまい、後日乾いた頃に「調子が悪いので見て下さい」と
持って来られても、見抜けちゃいますからね(^^
プーリやプラグホールが浸水で錆びている事が有ります。
車を傷めておりますので、意識される事をお勧め致します。
人間の感覚で言い訳しても、機械は容赦なく壊れます。
人間も能力の限界を超えさせたり、体調不良で無理すれば、怪我や病気に成るのと一緒です。
生物には自己治癒能力が有りますが、機械には有りません。
最近の猛暑(高温)でエアコンが効かなく成るのも、設計時の限界を超えていたり、
経年劣化による能力低下が生じております。既に無理をさせている事態なのです。
酷暑日に「エアコンが効かないのですが、見てもらえますか?」の問い合わせに、
冷たくあしらわれた感じを与えてしまった数名の方々には申し訳けございませんm(_ _)m
製造から10数年経過や、ダークなボディ色、荷物満載の軽、アイドリングストップ車など
暑さが勝っている事態なのです。
アイドリングストップはOFFボタンで多少改善されますが、軽自動車は一度車内温度が
上がると、なかなか下がりませんのでご注意を・・・
○ゴルフ6 TSIコンフォートライン DBA-1KCAX 32000km
低地で冠水気味の所に勢いよくバシャ~ンしてしまった瞬間、即エンジン停止。
ドア開けても車内には浸水しない程度の水深だったようです。
何度クランキングしても掛からず、レッカー業者もクランキング・・・
数日放置して、「乾いたから掛かるかなぁ~と思ったのですが、ダメでした」・・・と
どうせ捨てちゃうなら、検証がてら再起に挑戦させて頂きました。
最初にエアークリーナーを開けて驚愕!
水を吸ったエアークリーナーは文鎮の様に重く・・・(画像無し)
コレは只事では有りません。まぁ、エンジン掛からないそうですから・・・
吸気口はヘッドライトより高い位置ですが、
駆け上がりが原因ですね。
エアークリーナー直後のターボタービンもズブ濡れです。何も乾いて無い・・・
スロットルバルブを開いてみると・・・
浸水!
もうこの時点で99.9%再起は無いと・・・
しかし、究極のダメ元で検証を進めます。
まずはサージタンクに溜まった水を吸い出すと1L以上(◎0◎!
もう、ウォーターハンマー確定でしょう。期待値ほぼ0%
ターボがウオーターポンプに成ってしまったようです。
外して内部洗浄します。
プラグを外すと・・・ビショビショです。
モニタースコープでプラグホールから確認すると、
No1
Mo2
No3
No4
0.1%の期待をして、内部の水分をエアーで飛ばして、
ワコーズのラスペネで一晩浸します。
翌日、クランクをゆっくり長いスピンナーハンドルで回すと、
ガシガシと錆びを感じる手ごたえ・・・
エアー飛ばしと注油を繰り返し、ようやくクランクが1回転したので、
ピストンの上死点高さを計ると、4気筒ともほぼ同じ数値。
ウォーターハンマーでコンロッドが曲がっていると思ったのですが、大丈夫?
次に、MEISTER 900FXをプラグホールから注入して、クランクを回し続けると
数回転でスムーズに回るように成りました。
組み立て(外した部品のガスケット類交換)エンジンオイルを900FXで
交換して、プラグ付けずにスターターでクランキング。
圧縮させない空転と油圧を上げて各部に行き渡らせます。
冷間時なので圧縮は正常値では無いですが、4気筒でほぼ一緒。
※均等にコンロッドが曲がっていたらアウト。
ピストンの棚落ちも気がかりです。
プラグとエアークリーナーを新品交換。
※急冷で碍子にクラックが生じているとリークしますので、交換厳守です。
バッテリー満充電、故障コードをリセットし、いざクランキング。
キュルキュルゥ~~~~を数回からキュルキュルゥ~~~ボッ!・・・・・・ボッ!
っと燃焼が始まりましたが、諦め掛けた頃にボボッ!ボボボォ~~~~!
とやっとの事で掛かり、排気管から多量の排水が・・・
徐々に回転数が上がり始め、3分もしないうちに正常なアイドリングをして
アクセル(空ぶかし)にもしっかり反応。
ドキドキしながら暖機をして、近所を試乗・・・・問題無い!
むしろ安価エンジンオイルの時よりアイドリングの失火感が無く調子が良い感じがしました。
MEISTERの低分子ポリマー配合効果ですかね?CO、HCも良好。
フューエルワン注入して、100km程度走り異常が出ないので返却。
しばらくして手放されたようですが、解体では無いらしい・・・
※バッテリーを満充電した理由は、過去にVWで、クランキングはするがエンジンが掛からない
原因の一つで、スターターに電流を食われて燃料系や点火系に必要な電圧が不足する
症状が発生した事例が有るからです。
エンジンを掛ける時(独車は特に)は、一度ONの位置で一呼吸置き、燃料ポンプが圧力を上げて
各電気系(アクチュエーター作動など)通電時間を与える様にする事をお勧め致します。
昨今のプッシュスタートは一瞬遅れてクランキングするタイミングですが、
フルにコンピューター化されたシステムの通電時間が考慮されているのだと思います(自論)
※検証でも工費と部品代は掛かるので、安易に挑戦しない方が良い案件でしたm(_ _)m