今回はインタビューシリーズになります。建設会社に
勤務するAさんからお話を伺いました。Aさんの会社は、
建設会社といっても建物の工事はせず、道路工事を
専門にしているそうです。Aさんは40代後半の
中間管理職。場所は、大阪、心斎橋の懐石料理店でした。
「あ、はじめまして、bigbossmanともうします。ブログを
読んでいただいているそうで」 「ええ、いつも拝見させて
いただいてますよ」 「ありがとうございます。会社は
道路工事がご専門ということで」 「はい、一般の建築物は
やってません」 「メリットがあるんですか」
「はい。道路工事の施工主はほとんどが国か県ですので、
受注がなくなることも、お金を取りはぐれる心配もありません」
「ああ、安定していると」 「そうです」 「それはいいですね。
さっそくですが、工事をしていて怖い体験や奇妙な出来事が
ありましたか」 「ないことはないです」 「ぜひ、
お聞かせください」 「わかりました。会社名や場所は
匿名になるんですよね」 「もちろんです」 「ある県道の
工事でした。幹線道路2本をつなぐ間道をつくってたんですが、
基礎工事をしてるときに遺跡にあたっちゃったんです」
「ああ、なるほど。近畿地方は多いですよね」 「はい、
県の調査で貴重なものであることがわかり、数十m道路をずらす
しかなかったんです」 「どんな遺跡で?」 「古墳時代に
そこいらを支配してた豪族居館跡ということでした」 「あ、
わかりました。〇〇県の〇〇遺跡ですね」 「そうです」
「何か事故とかが起きたんですか」 「いや、けが人などは
いませんが・・・工事中に作業員の10数人が同じ夢を
見たって言ってたんです」 「同じ夢? どんな」 「はい、
埴輪のような古代の人物がいて、その人が日本にはいないような
大蛇にぐるぐる巻きにされてる」 「へええ」 「その人は
苦悶の表情を浮かべてたが、やがてボキボキという音が聞こえ、
がっくりと頭を落とした。そういう夢」 「変わってますねえ。
そんなの聞いたことがないです。あ、でもあの近くの有名な、
日本で一番古いとも言われる神社の御神体って、蛇なんですよね」
「そうそう。それでね、工事の昼休み時間に作業員どうしで話を
してて、同じ夢を見てることがわかった。で、それからすぐ、
遺跡を掘り当てちゃったんです」 「なるほどねえ、やめろという
警告だったんでしょうか」 「ええ、そうかも。でね、まだ続きが
あるんです。それも私自身が体験した」 「どんな」 「はい、
工事が終了して2ヶ月後くらいかな。所要があって、夜にその
道路を車で通ったんです。同乗者はいませんでした」 「それで」
「ああ、ここうちの会社でやった道だよな、などと考えながら
走ってると、目の前を突然蛇が横切ったんです」 「で」
「それが普通の蛇じゃなく、電車よりも太かったんです」 「え!」
「急ブレーキをかけたんですが、蛇の胴体に突っ込んでしまって」
「何ともなかったんですか」 「はい、ぶつかった感触はまったくなし。
でも、もし後続車がいたら追突事故になっていたでしょう」
「うーん、不思議な話ですね。その〇〇山の神が怒ってて、Aさんに
やはり警告とかしたんでしょうかね」 「そうなのかもしれません」
「他に何かありますか?」 「bigbossmanさん、事故が起こりやすい
道路ってどんなとこだと思いますか」 「うーん、それは交通量が
多いところでしょう。あと、見通しが悪い道とか」
「一般的には そのとおりです。ただ、われわれ工事会社には、
それ以外の裏マニュアルみたいなものがありまして」
「へえ、興味深い話です」 「交差点の中でも、奇数の道が交差してると
事故が起きやすい」 「奇数というと、三叉路とか五叉路ってこと
ですか」 「そうです」 「三叉路は昔から縁起がよくないと
言われたりしますが、どうしてなんでしょう」 「おそらくですが、
風水で気脈とか地脈とか言われてるものがあるでしょう」 「あ、はい」
「そういうのが乱れるんじゃないかと」 「それ、工事会社はみな
知ってるんですか」 「文書などには残してませんが、先輩から
口伝えで聞いてます。香港なんかだと専属の風水師を雇ってる
会社もありますね。日本ではそこまではしませんが、竣工祭を
念入りにやったりします」 「なるほど、興味深いです。他には」
「これは言っていいのかどうかわからないですが・・・」 「ぜひに」
「ある神社の近くで工事をすると、事故が起きやすいと言われてます」
「ある神社?」 「はい、ほら神社って、御祭神によって神明社とか
八幡社、お稲荷さんなどの種類があるでしょう」 「はい」
「その中でも特に、ある御祭神系の神社がよくないんですよね」
「どんなことがありましたか」 「これは、そう大きくない神社で
道路もすでに通ってました。うちの会社で、そこの市に頼まれ、
神社から20mほど離れたところに歩道橋を架けたんです」
「あ、学校が近くにある」 「そうです。でも、工事計画が出された
とき、その神社の宮司さんが訪ねてこられまして、やめてほしい、
と言われるんですね。かえって事故が起きると」 「ははあ」
「そう言われても、われわれは施工主ではないし、市のほうでは
小学校のPTAとかに突き上げられて設置を決定したわけだし」
「事故が起きたんですね」 「はい、工事が終了し、歩道橋が
使用された1日目でした」 「どんな」 「20代の母親が
幼児を抱いてそこから飛び降りたんです」 「う」
「当然、下を走ってた車何台にもはねられ、即死で遺体はずたずた
でした」 「で、その後は」 「やはり宮司さんが会社に
来られて、ほら見たことか、犠牲はもう3人出るって、すごい
剣幕で言われて。市役所にも行ったみたいです」 「うーん、
で、実際に犠牲者が?」 「はい、1ヶ月の間に、その歩道橋の
付近で、母子も含めて5人が亡くなって、今のところそれで終わりです」
「怖いですねえ、その神社の前の道路を舗装したときは?」
「うちの会社でやったわけではないですが、やはり5人と・・・」
「人身御供を要求する神様なんですかねえ」 「そのあたりは
私にはわかりませんが、会社では特に注意するように言われて
います。でも、注意しろと言われてもねえ」 「そうですよね、
他には」 「あとですね、工事で道祖神の類を撤去するときも、
怖いことが起きたりしますね」 「ああ、道祖神や塚などは、
結界を張って何かを封じてることがありますから。でも、工事前に
祭事は行うんでしょう」 「はい、いちおうその地域の神社に
お願いしてやりますけど、古いものになると神道か仏教かも
わからないのが多いですし」 「そうですね、ほとんどは素朴な
民間信仰でしょうから」 「これは四国の現場で、前の話と似てるん
です。私の若い頃のことですが、よくわからない石碑がありまして」
「石碑?」 「かなり古いもので、屋根がかかってて、碑面にはただ
昔の漢字で弐と彫ってあるだけ」 「2ってことですね」 「ともかく
工事前に地域の神主さんを呼んでお祓いしてもらったんです」
「で」 「その神主はあまり乗り気ではなかったようですが、
謝礼をはずみまして。そしたら、祭事を近隣の人たちが見に
来てて、神主さんが餅を配ったんです」 「なるほど」
「その中で、2歳くらいの孫の手をひいたおじいさんがいまして」
「はい」 「とても喜んでくれてたんですが・・・」 「まさか」
「翌朝、7時ころですね。おじいさんがその子と石碑があった前の
道路を横断して車に轢かれて亡くなったんです」 「うう」 「なぜ
そんな時間にそこに行ったのか、家族もわからないと言ってました」
