今回はこういうお題でいきます。まあこれは、がんでなく別の病気でも
そうなんですが、多くの病院ではなかなかていねいに患者に
病状の説明をしてくれません。これには3つほど理由があると思います。

まず一つは、医師がひじょうに忙しいということです。特に日本の医師は
世界一忙しいと言われますね。自分はアメリカで生活したことが
ありますが、むこうの医師はそこまで忙しそうにはしていませんでした。
他にもいろいろな違いがあります。

これは余談になりますが、アメリカの医療費はとにかく高いんです。
まあ、そのほとんどは医療保険でまかなわれるんですが、
日本のような国民健康保険ではありません。民間の医療保険に
入ってる場合が多く、その月々の掛金がまた高い。

 



アメリカ人の多くはこれを自由経済、自由競争の結果と考えてるんだ

と思いますが、医師と保険会社が手を組んで、どうしてもお金がかかる

しくみになってるんです。無保険の人もかなりの数がいます。

ですから、患者側ではなるべく早く退院したいと思う人も多いんです。
病院生活が不自由だからではなく、入院費が1日に数十万もかかる
からです。例えば、脳外科手術をした人が3日後に退院した

なんて話も珍しくはありません。

それだと危険だと思いますよね。ですがアメリカの場合、大きな
病院のすぐそばにはホテルがあって、通路でつながっていたりします。
で、手術後の療養などでは、そのホテルに滞在する場合も多い。
ホテル代も高いですが、病院よりはずっと安上がりです。

そのホテルには24時間交替勤務でインターンが詰めていて、

容態が急変した場合はすぐに病院に搬送できるようになっています。

余談が長くなってますが、日本の国民皆保険の制度は世界でもひじょうに
すぐれたものなんです。ですが、高齢化により老人の数が増え、
毎年多額のお金を穴埋めしている状況で、
これからどうなるかが心配です。

 



本題に戻って、医師が説明不足だと感じられる理由として、2つめは、

医学は専門性が高く、説明しても理解が難しい、誤解される可能性が高い、
と医師側が思ってるケースが多いんだと思います。

これが都会だと、自分で勉強してる患者も多いんですが、地方では
そうでもないんです。「すべて病院におまかせします」という姿勢の
患者が多いし、高齢で認知症がかかってる患者もいる。ですから、
下手に説明してもきちんと理解してもらえないと思ってる場合も
あるんだと思います。

3つ目の理由は、医師側に患者とのコミニュケーションが苦手な
人もいるということです。専門の医療技術や知識は勉強できても、
コミニュケーション能力は人それぞれだし、それだけを学ぶ
ことができる機会も多くはない。

このような理由から、さまざまなことが患者には理解されてない
場合が多いんですね。今回のお題の末期がんとがん末期についても
そうです。世間では誤解している人も多いかと思います。

 



まず末期がんですが、これはがんの進行度を表す言葉です。ご存知の
ように、多くのがんはステージⅠからⅣに分かれていて、
ステージⅣはふつうは遠隔転移がある場合をさします。
きわめて治りにくい状態。

ですが、ステージⅣであっても自覚症状は何もないという人もいますし、
そこから何年も延命する人もいます。少数ですが治癒するケースもあります。

世間ではステージⅣとか末期がんと聞くと、ああ大変だと

思われがちですが、そうでない場合もけっこうあるんです。

一方がん末期とは、患者の状態の悪さを表す言葉で、がんにより
多臓器不全などが進んで、もう明日をもしれないという状態をさします。
寝たきりになっていて、抗がん剤治療なんて絶対無理という段階。
こうなると医師が、余命を数週間と推察することは容易になりますし、
まず外れはありません。

 



末期がんがん末期の違いがおわかりいただけたでしょうか?
で、難しいのが末期がんの場合なんです。遠隔転移があるので手術は
できない。抗がん剤で延命するしかない、こう言われることが多い。
ですが、患者本人としてはまだ元気だし、どこかに治癒できるような
治療法があるはずだ。そう思ってしまって、自由診療や民間療法に手を

出すケース、病院を転々とし、がん難民と呼ばれるケースが多いんです。

医師の中には、厚労省がエビデンスのない自由診療を禁止すべき

という意見を述べる人もいるんですが、これはかなり難しいでしょう。
たとえそれがつかの間のものであっても、人間は希望なしでは
生きられないものだからです。では、今回はこのへんで。