下戸 | 士は己を知る者の為に死す

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主従関係は、征服支配よりも理解



下戸(げこ)とは、全く酒を飲めない人のことである。


科学が発達する前の時代、人間は見た目の違いこそあれ、能力の違いはない、努力でどうにかなると思われてきた。




「俺の酒が飲めないのか!」


酒の席で、しばしば聞かれる台詞である。


かくいう私も、客先に出張した際の酒の席で「お酒は飲めないんです」と言うと「またまた、その顔で?」とか「いやいや九州男児でしょ?」と、必ず言われたものである。


酒は顔で飲むものではないし、九州の男が全員大酒飲みではない。


「飲まない」と言うと角が立つので、一度は飲んでみせる。相手は、酔って潰れた私をタクシーに乗せ、ホテルまで送り届けて終わりかと思ったら大間違い。酔って眠ると何をしても目覚めない私。タクシーから引き摺り下ろし、フロントに行き、鍵を受け取り、部屋まで運び、ベッドに寝かせてようやくお役御免となるのである。客は汗びっしょりになり、酔いも醒める。


100%の確率で、次からは「飲め」と言われなくなる。




摂取したエチルアルコールは、アルコール脱水素酵素と呼ばれるアルコールデヒドロゲナーゼによってアセトアルデヒドに変化する。


アセトアルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素の一種であるアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼによって酢酸(いわゆる酢)に変化する


酢酸二酸化炭素に分解され、体外へと排出される。


酒が飲めるか飲めないか。それは、アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼのタイプによって決まる。


アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼのタイプはみっつ。GGタイプ、AGタイプ、AAタイプ


●GGタイプ
アセトアルデヒドを分解する能力が最も高い酵素。飲めば飲むほど楽しくなる人は、このタイプ。

白色人種や黒色人種は、全てこのタイプ。九州、及び東北は、このタイプの酵素を持つ人の割合が高い。


アル中になる確率が高い。


●AGタイプ
アセトアルデヒドを分解する能力が、GGタイプの1/16しかない酵素。少量の酒で悪酔いするが、訓練により飲める量が増える。ただし、血中のアセトアルデヒド濃度が上がる速度が速いため。飲酒中に二日酔い状態になることもある。


白色人種や黒色人種にこのタイプの酵素を持つ人はいない


GGタイプに比べてアル中になる確率は低いが、定量の飲酒を続けた場合、GGタイプよりも少量の飲酒でアル中になる。また、アルコール起因による疾患(咽頭がん・大腸がん等)になる確率も高い


●AAタイプ
アセトアルデヒドを分解する能力は無い。アセトアルデヒドは、分解されることなく血中に留まり、汗や尿として排出されるまで泥酔状態が続く。このタイプの酵素を持つ人が、いわゆる下戸である。いくら訓練しても強くなることはない。アルコール起因による疾患になる確率が最も高く、飲酒は厳禁


白色人種や黒色人種にこのタイプの酵素を持つ人はいない



このように、酒が飲めないのは根性ではなく体質であることが科学的に証明されている



が、これを理解できる人は少ない。特に体育会系の飲める男は、脳味噌まで筋肉でできているから、説明するだけ無駄である。こいつらに捕まったら、逆らわずに飲んで潰れるか、走って逃げるしかない。最も上司にしたくないタイプ。私の会社は技術系なので、このタイプは社長くらいである(笑)



▲二日酔い
アセトアルデヒドは毒性の高い物質で、脳はこれを極端に嫌う。血中のアセトアルデヒド濃度が高くなると、脳はこれを嫌って脳に通じる動脈を絞る。結果、脳の血流が下がり、酸素が欠乏する。これが原因で頭痛になるのが二日酔いである。


▲睡魔
二日酔いと同様の理由により、脳の酸素が欠乏すると、眠気を催す。酒を飲むと眠くなるのはこのせいである。これによりAGタイプの人はアルコールを睡眠薬として利用できるが、度を過ぎるとアル中になる。