全39話とは、第1期から通算した話数です。
第1期:第1~12話。
第2期前編(外伝ピクル+野人戦争編):第13~25話。
第2期後編(地上最強の親子喧嘩編):第26~39話。
――という構成。
本作は、Netflix オリジナル アニメ シリーズとして、全世界独占配信されました。
第2期に関していえば、前編の配信開始が2023年7月26日、後編が8月24日。全話一挙配信。
10月1日からは TOKYO MX ほかでテレビ放送されました。ただし、第13話「新説人類史」は未放送。Blu-ray BOX には収録されています。
私はBS日テレで視聴していました。最終話の放送は2024年3月31日。
原作は、板垣恵介先生の同名漫画。
何だか、妙に面白かったです。
原作を読んで、正直、ビミョーだなあと感じる部分はあります。決着が雑だったり、テンポが悪かったり。
でも、アニメで観ると、あまりそう感じなかったのですね。不思議。
本作の面白さは、声優の力に支えられている部分が大きい気がします。
例えば、ナレーション。
原作はナレーションを多用するので、テンポが悪いと感じる場合があります。
ナレーションによる説明が始まると、そこでストーリーがいったん途切れて、停滞する感覚があるのですね。
アニメでナレーションを担当しているのは、古谷徹さん。これが妙にハマっていまして。〝古谷徹〟の声で説明が始まると、つい聞き入ってしまい、没入感が途切れないのです。
だからでしょうか、テンポの悪さを感じなかったのは。
そして、範馬勇次郎。
勇次郎役の大塚明夫氏の好演には拍手を送りたい。
親子喧嘩編の後半で、地上最強の生物と称される勇次郎の、隠された苦悩が明らかになります。
それは、最強者であるがゆえに、退屈しているということ。
頂点に立つということは、自分より高いものがどこにも見当たらないということ。つまり、目標とするべきものがない。目指すべき方向がわからないということ。
それでも歩き出さないというわけにはいかない。
歩き出した道の先では、強すぎる腕っぷしのゆえに、望むものが簡単に手に入ってしまう。
自販機でジュースを買うように、手軽に勝利が手に入ってしまう。
強すぎるがゆえに、手こずることができない。
手こずることができないのは、たまらなく退屈なことだ――。
原作でこの部分を読んだとき、勇次郎のキャラがブレたのではないかと、危惧を抱きました。
なぜって、それまで、範馬勇次郎というキャラクターは、己の最強に一点の疑念も持たない、純粋なエゴイズムの結晶のような存在だと思っていたからです。――このイメージは『グラップラー刃牙』幼年編によって醸成されました。
ずい分と長い年月、そのようなキャラだと思い込んでいたのに、突然、最強であることの裏で苦悩していたと言われても、にわかには信じられませんでしたよ。信じたくなかったという方が正しいかもしれません。
ところが、大塚明夫氏の声で、真情のこもった独白を聞かされたら、これが胸に響いちゃったんだな。
範馬勇次郎という、一個の人格を有する生身の人間を、その声に感じてしまった。
生身の人間だったら、最強といえど、悩みのひとつくらい、そりゃ、あるだろうって。
声の演技によって、視聴者を納得させる――。
完敗でした。
勝ち負けの話でないことは承知の上で、あえてこういう言い方をしましょう。
一視聴者として、声優・大塚明夫に負けた、と。
※ 以下ネタバレ
物議を醸した「エア夜食」のシーン。
ギターなしでギター演奏のパフォーマンスをするのが「エアギター」。
「エアギター」がわかるなら、「エア夜食」もわかるよね。
勇次郎特製の「エア味噌汁」が、少し、しょっぱかったので、刃牙が「エアちゃぶ台返し」をして、最強の親子喧嘩は決着しました。
――いや、何を言っているのか、本作を知らない方にはわからないと思いますが、嘘は言っとらんよ、嘘は。
さて――。
気になる情報がふたつ。
ひとつは、『範馬刃牙 VS ケンガンアシュラ』なるクロスオーバー作品が、2024年6月6日に、Netflix にて公開予定であること。
観たいなあ。テレビ放送してくれるかなあ。こういう作品って、どちらの格も落とさないために、決着がうやむやになるケースが多いけど、これはどうなるんだろう。格闘技をテーマにしている以上、決着を濁すのは「逃げ」のような気がする。どうオチをつけるんだろうね。気になるわあ。
もうひとつは、『刃牙道』のアニメ化が決定したこと。
動く宮本武蔵をアニメで観られるのか! やったぜ!
武蔵のキャラ、けっこう好きなんですよね~。
原作はちょっとアレな部分もあるけれど、アニメにすると印象が変わるのは『範馬刃牙』で実証済みだし、これは素直に楽しみと言っておきましょう。