シェーン | 物語の面白さを考えるブログ

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リサイクルショップで10枚組の格安DVD『西部劇 大全集 2』を購入。

収録作品のひとつ『シェーン』を観ました。

 

1953年公開

監督:ジョージ・スティーヴンス

主演:アラン・ラッド

 

ストーリー:

流れ者のシェーンは、飲み水を分けてもらった縁で、開拓農民であるスターレット家に居つき、農作業を手伝うようになる。家長のジョー、その妻マリアン、息子のジョーイらと仲良くなり、開拓農民の仲間たちとも友情を深めていく。

農民たちは牧畜業者のライカ―兄弟と対立していた。一帯を自分の土地だと主張するライカーは、農民を立ち退かせるために日常的に嫌がらせをしていたのである。

両者の対立はエスカレートし、ついには、ライカーが呼び寄せた拳銃使い・ウィルソンによって、農民仲間のひとりが射殺される事件がおきる。

ライカーはジョーと二人きりで話し合いたいと持ち掛けるが、それはジョーを亡き者にするための罠であった。

罠と知りながら、殺された仲間のために出向こうとするジョーを、シェーンは力ずくで止め、単身ライカーの待つ酒場へ乗り込む。

後を追ったジョーイは、シェーンが早撃ちでライカー兄弟とウィルソンを倒すのを目撃する。

脇腹を負傷したシェーンは、ジョーイと一緒に帰ることを拒み、馬に乗ってワイオミングの山並みの彼方へ去る。

その背にジョーイの声がこだまするのだった。

「シェーン、カムバック!!」

 

言わずと知れた名作西部劇。いや~、面白かったです。

男同士の友情の描写がいい。シェーンとジョー、シェーンとジョーイ。

大木の切り株をどかすため、シェーンとジョーが根に斧を入れ、必死に押して転がそうとする。それを見ていたマリアンが「馬に牽かせればいいのに」と言うと、ジョーがそれでは負けた気がすると返し、意地になって切り株を押す。うん、「男」の世界だ(女性差別の意図はありません)。ジョーイにせがまれてシェーンが銃の撃ち方を教えていると、マリアンに見つかってジョーイは連れていかれてしまう。母親としては、息子に危険なことを教えてほしくないという、至極まっとうな感情。

こういう「普通のまっとうな家族」との交流が、シェーンには何よりも眩しく、温かく感じられたのでしょう。

だからこそ、ジョーを死なせるわけにはいかなかった。だから、ジョーを卑怯な手段を使ってでも殴って気絶させ、止めた。血で手を汚すのは自分一人で充分だ。

ジョーイへ訣別を告げる言葉。

「人を殺すと元には戻れない。生き方を変えようと努力したが駄目だった」

この述懐にこめられた悲哀よ。――最後は暴力によって解決、だものな。

悲哀を背中で語りながら、少年の心に勇気とは何かを教えて去っていく。――これ、ヒーローそのものじゃないですか。

シェーンはヒーローだったんだな、うん。

 

作品の主題とは関係ありませんが、犬の演技力が高いな! と思いました。

中盤で殺された農民の飼い犬がいるのですが、主人の遺体を収めた棺桶が墓穴に降ろされるシーンで、そっと前足を棺桶に置くのですわ。あたかも、「行かないで、ご主人」と言っているかのように。

どうすれば、このタイミングで、犬にこういう仕種をさせられるのかしら?

西部劇を観ていると、犬や馬の演技力が高すぎると感じることが、往々にしてあります。

どうやって撮影したんだろう。ホント、不思議。

 

記事を書くためにウィキペディアで『シェーン』について調べたところ、気になる記述を発見。

名画を現代の人気声優が吹き替える「New Era Movies」というプロジェクトがあって、そのバージョンでは津田健次郎がシェーンを演じているそうな。

ツダケンのシェーンとか観てみたすぎるぞ。

 

【N.E.M版『シェーン』プロモ動画】

https://bit.ly/2uMyqzG