◇第3話◇ 必ず戻る夜明けまでには | 物語の面白さを考えるブログ

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第三話の冒頭――

冨岡義勇から鱗滝左近次へ宛てた手紙の文章と、

手紙を受け取る場面の絵とによって、

天狗面の人物が鱗滝であることが読者に示されます。

 

特筆すべきは、手紙文の確かさです。

 

ラノベなどで、小難しい単語を羅列して「文章力スゲー」と

読者に称賛される文を見かけますが、

このような文章は、少し語彙の持ち合わせが多い人なら書けるもので、

賛嘆には値しません。

真に文章を書く力があるかは、手紙文に表れます。

教養と、差出人と受取人との関係を正しく把握する力とを

備えていなければ、正しい手紙文は書けないからです。

創作の中に手紙を登場させるとなれば、

差出人・受取人ともに架空の人物ですから、

彼らの関係性を正しく把握した上で、

差出人のキャラと知性とに合わせて、

語彙・文体・内容を構築しなければなりません。

頭の悪い作者には不可能な芸当です。

 

上述のことを鑑みるに、吾峠先生は、小説をはじめ、

たくさんの本を読んでいる方に違いありません。

手紙文の確かさが、その裏に膨大な読書量があることを

窺わせます。

 

この推察が的を射ているならば、

『鬼滅の刃』 という作品が、漫画でありながら、

小説的であることにも頷けます。

 

どこがどう小説的であるかは、このブログの感想文の中で、

おいおい書くつもりです。

 

第三話の内容は――

 

鬼の弱点が日光であると判明。

炭治郎、鱗滝さんに弟子入りす。

 

妹が人を食ったら、妹を殺して腹を切れと

炭治郎に厳しいことを言う鱗滝さんだけれど、

その背後に深い愛情があることは、

柱合裁判(第6巻)で明らかになります。

これは泣かざるを得ない(てゆーか、泣いた)。