ある風変わりな男子寮を舞台に描く、艶っぽくて甘酸っぱい極上青春小説!
大学進学のために上京した鳥貝一弥17歳。東京でのアパート探しに行き詰まっていたところ、
いい部屋があると薦められて訪ねた先は高級住宅街の奥に佇む洋館だった。条件つきだが家賃も破格の男子寮だという。共同生活を営んでいるのは揃ってクセのある男たちばかり。先輩たちに翻弄されながら戸惑いつつも、幼い頃の優しい記憶の断片を甦らせ、自らの生い立ちと向き合っていく鳥貝。艶っぽくて甘酸っぱい極上の青春小説!
甘酸っぱい極上青春小説…なんだろうか。
まずこの作品は『白いひつじ』という作品を改題したものだそうです。
たまにこういう文庫本になる時などをきっかけに改題する作品があるんですが、文句はつけませんが紛らわしいです。
うっかり間違って購入するなんてことも起きそう。
そして今初めて気づいたんですがタイトルは『いい部屋あります』じゃなくて『いい部屋あります。』なんですね。うっかりしていました。
主人公の一弥(17歳)が東京の大学に進学するにあたって住む場所を探すというところから始まります。
時代はスマホが登場するから現代でしょう。
学食で声をかけられ紹介された男子のみの寮は家賃1万円とな…怪しい。
そこはイケメンが共同生活をしている洋館でした。
ということでBL風味を漂わせながらスタートするこのストーリーなのでてっきり寮で起きるあれやこれやの話なのかと思ったら主人公の極めて個人的な話でした。
長野さんの作品は嫌いじゃないのでBL風味といってもこの程度ならついていけるんですが、基本的にはBLには興味ないんですよね。
なんで殊更に男✖️男の小説やドラマを見たいのかなと思ってしまう。なんとなく覗き見みたいに感じられる。
けれど人間✖️人間として考えれば私としてはついていけます。
相手が同性であれ異性であれ人間と人間の関係というものは起こりうる。
後半は伏線回収の連続という感じでしたね。
綺麗に回収はできていたけれど、BLってなんか甘ったるいんですよね。
これ、小説なら大丈夫、読まないけど漫画もいけるとは思う、でも実写だけは勘弁して欲しい。
もし見たら私は絶対に痒くなっちゃうと思います。
それから主人公の母親のキャラクターが私の思う母親像と違いすぎてなんだか受け入れられなかった。
おとぎ話と割り切って読むべき作品ですね。
長野さんの情景描写の美しさはこの作品だけでなくて長野作品を通して気に入っているところです。