伊良部総合病院地下一階神経科診察室。この部屋の主である医学博士“伊良部一郎”の声が今日も診察室にこだまする。
「いらっしゃーい」
プール依存症・陰茎強直症・被害妄想・携帯電話依存症・強迫神経症、様々な患者が訪れるが、治療の始まりはいつも同じ。
「じゃあ、注射をしようか」
名(迷?)医“伊良部”の活躍…なのか?…を描く五編の物語。


相変わらず軽いです(笑)神経科外来を扱っていてこの軽さ、重くするほうが簡単なのでは?と思ってしまいます。
でも、すごいなぁと思うのは、“軽い”のに、けして“浅く”はないところ。ただのコメディーでは終わっていません。


「こんなことで治る訳ないよ」とは全然思いませんでした。ちゃんと治るならこんなのもありかも、なんて気にさせられます。ただし、自分が患者ならイラッとくること請け合いですが(笑)


『町長…』→『空中…』→今作と順番逆に読みましたが全く問題なかったです。


薄くてサラっと読めるし、笑わせてくれるし、読んだたけで「注射」の効果があるのかも(笑)元気になれる気がします。「些細な事と分かっていても、気になって仕方がない」みたいな悩みがあるときに良さそう。オススメです。
在日朝鮮人の“文忠明”は東京在住のタクシードライバー兼詩人で、妻子ある身にもかかわらず、行きつけのスナックの従業員“朴淳花 ”と逢瀬を重ねている。
詩人としての執筆活動、奔放な淳花との恋。流されながら行き着く先は一体どんな未来なのか?
忠明の過去と現在を綴る、人生の物語。


感想を求められると困ってしまう本でした。
言いたいことはわかるのですが、こんなに細かく、長々と書く必要があるのでしょうか?
物語としての起伏が全くなく、淡々と進んでいきます。正直、読むのが辛かったです。


分類としては、恋愛小説、でしょうか?そう思って読むと、必要のない部分が沢山あるので違うのかもしれません。


どの国が出てきてもそうなのですが、外国のかたの名前は覚えにくいです。自分の記憶力を呪いたくなるほど、何度も前に戻って登場人物を確認しました。その作業も物語に入り込めなかった一因だと思います。


個人的にはオススメはしづらいです。私自身が集中して読めなかったので…。
ただ、評価の高い作品が沢山ある作者なので、他の作品も読んでみようと思っています。
警察デジタル無線の傍受により、あらゆる捜査の目をかい潜って暴走行為を繰り返すグループ“ルート・ゼロ”
この暴走族の幹部である“高村昴”の前に、“芥圭一郎”と名乗る不思議な男が現れた。
芥は取引を持ち掛ける。
昴にかけられている警察の嫌疑を逸らし、報酬として一千万円払う。
そのかわり、警察の捜査をかい潜るルート・ゼロのシステムを使って、あるものを運んでほしい。
閉鎖された病院の一室に案内された昴は、そこで信じられない光景を目にする。
医学的に脳死と判断されたにも関わらず、特殊な装置により意志を伝える少女、“葉月”がそこにいた。
“ある物”とは葉月の臓器で、それを必要としている人を選びだし、そこへ運ぶ。
それが、昴への依頼だった。
死へと向かう時間を止めてしまった“水の時計”を持つ葉月。
生きることも死ぬことも出来ない絶望の淵から、誰かが引き上げねばならない。
そのために、葉月は何故昴を選んだのか…?


美しい物語でした。
綺麗と言うだけでは足りない気がします。
“美”という言葉が適切。


悲しい物語という捉らえ方もあるようですが、私はそうは思えません。
昴、葉月、芥、その他みんな、それぞれ不幸な生い立ちだし、悲しい事件や事故もたくさんあります。
ですが、最後にはそれぞれに救いがあったような。
私はそう感じました。


伏線の張り方も非常に上手いです。
全く関係なさそうな人物や場面が、ひとつひとつきれいに回収されていく。
その方法も、無理矢理つなげたり、取って付けた様ではなく、「ああ、そういうことだったのか」と自然に納得できますし、その伏線が救いになっていて、悲しい物語にならずにすんでいるような気がしました。


文体は特徴的で始めは少し読みづらかったのですが、慣れればすらすら読めました。
なによりも、内容や雰囲気のよさが、そんな読みづらさを吹き飛ばしてくれます。
他作品も絶対にチェックしようと思います。