美容医療の緊急事態はどのようなものがあるでしょうか?
1. アナフィラキシーショック
アナフィラキシーはどのような薬剤に対しても生じ得ます。
何らかの医療処置をする医療機関は、それがビタミン点滴や局所麻酔の外用程度だとしても、アナフィラキシーショックの対応訓練と薬剤の準備を怠ってはいけません。
10回大丈夫だったのに、11回目で生じることもあるのがアレルギーですから。
死の危険がある超緊急事態です。
当院は、緊急時セット(エピペン2本、ステロイド点滴薬、輸液セット、モニター類)を一カ所にまとめて用意し、定期訓練をしています。
2. ヒアルロン酸注入後の血流障害
ヒアルロン酸製剤を血管内に誤って注入したため、血流が滞って生じる一連の症状です。
即刻、ヒアルロン酸溶解酵素で溶解が必要ですが、ゴールデンタイムを逃せば壊死は避けられません。
コメド(白いニキビ様発疹)とリベド(網状紫斑)は壊死が始まっているサインです。
数時間毎にどんどん進行し、暗紫色調~黒色に変色し壊死に進行していきます。
上記は赤く見えますが、紫斑です。その上にコメドが出現しています。
静脈塞栓なので、2日かけてこの状態に変化しました。
典型的な網状紫斑です。動脈塞栓なので数時間で急速に進行しました。
壊死が生じれば瘢痕形成は必至、一刻も早い溶解治療を行うべきです。
他院修正の問い合わせで結構多いのが、
「遠方なのでいけるかどうか・・・」
「料金が気になる」
「注入されたクリニックでちょっと溶かしてもらったので追加してもらおうかと・・・」
などです。
壊死を回避するには、1回で血流を完全に回復させるしか手立てがありません。
全ての予定を投げうってでも受診すべき状態なのに、残念ながら危機感が足りません。
このように申し上げるには理由があって、ほとんどの医師がヒアルロン酸溶解の経験が浅く、血流障害の治療経験もありません。
他院修正で受診する患者様の多くは、他院3カ所ほどですでに溶解注射を受けています。
でも、溶けていないのです
ヒアルロン酸は注入するにあたり高い技術を要することは言うまでもありませんが、ヒアルロン酸溶解注射も技術が必要です
大量のヒアルロニダーゼを用いて、完璧に溶解し、必要に応じて用手的にヒアルロン酸を押し出すテクニックも併用すべきです。
ヒアルロニダーゼで柔らかくすると、ジュブジュブ大量のヒアルロン酸製剤が排出されます。
血流障害の治療においては、直ぐに血流を回復させたいので、額のようにスペースが狭い部位では上記のテクニックが欠かせません。
このテクニックも経験が無いと難しいと思います。
そもそも、血流障害を生じたのにもかかわらず、のほほんと少量のダーゼを入れて放置する医師に治療出来るはずがありません。
当院ではヒアルロン酸溶解と同時にプロスタグランディン製剤の点滴も行います。
1時間ほど経過を見て、同日に追加で溶解します。
遠方であれば、東京に宿泊いただき、翌日も追加溶解処置を行います。
溶解しても、半日程度は症状が進行しますので、経過診察が大切になります。
ヒアルロン酸注入後の凸凹など仕上がりの修正であれば、10回かけて溶かすのも溶かさないのもどうぞご自由にですが、血流障害は待ったなしなのです。
後悔しても瘢痕を生じたら元には戻せません。
そもそも、血流障害を起こすリスクが低い医師を選ぶべきです。
また、血流障害の対応が可能な施設かどうかも事前に確認しましょう。
価格で選ぶから、かえって高くつくことが多いように思います。
『【ヒアルロン酸注入後のトラブル第1弾】他院修正相談で多い『血流障害』~変化に気づいて速やかな対応が重篤な副作用(皮膚壊死)を防ぐ!』
こちらの動画は1.4満回以上視聴されています。
ブログにも書いていますのでご参考に
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