前回の話が中途半端に終わってしまって、今回はその続きです照れ

 

初めてオキュロフェイシャルクリニックに見学に行った日に、鹿嶋先生に眼形成を学ぼうとしている理由をお話したところで前回は終了したと思います。

 

他にも、当時の僕の経歴やなぜ眼科に進んだか、

なぜ、山口での開業なのか、奥さんはどんな人か

などなど聞かれました。

見学にいっただけのはずなのに人生相談みたいに

なってたことを今でもよく覚えています。

 

なんでも屋の眼科医になるために、治せない疾患を減らすために、とお答えしたところ

「メニューを増やせばお客さんが増えると思う?」

「ラーメン屋が冷やし中華を始めても、新しいお客さんが増えるんじゃなくて、いつも来る客が注文するだけだよね。」

 

いきなり飲食店の話になったので伝わりにくいかもしれませんね。

患者さんや地域に必要とされる眼科医になるためにはできることを広げるのが正解なのではなく、やってることを絞って、その質を上げた方がいいという考え方の例えです。

今までの私が勤務してきた眼科では眼形成の手術が必要な患者は稀でした。つまり、私がイメージしている眼科クリニックをこのまま開業すると眼形成の手術は時々しかしないことになります。

時々しかしない手術で患者さんに満足してもらえるような技術を維持できるでしょうか。

恐らく、いつか自分の中で苦手な手術に分類されて

なるべくやりたくなくなって、前回書いたような

見て診ぬふりに逆戻りしてしまう気がします。

それなら苦手な手術に費やす時間を自分の得意な

手術の技術向上に回して、そっちの質を上げた方が

よりよい医療を患者さんに提供できます。そうする事で患者さんの満足度も上がって新しい患者さんも来てくれるようになるはずです。

 

当時の私のやろうとしていたこととは真逆の冷やし中華理論を聞いた後も、

それでも何でも屋の眼科の一つのメニューとして眼形成を学ぼうと決意して、

オキュロフェイシャルに入職させてもらいました。

片手間に身につくような物ではないと感じたため、眼形成を学んだ

多くの先輩方がそうされてきたように、眼形成をやっている間は一般眼科を一才せず、

どっぷりとこの分野に浸かることにしました。

とても急な方向転換だったため、以前いた職場にも迷惑をかけましたし、

次の職場が決まっていた妻も理解してくれて

家族で広島から東京に引越しました。

私にしてはかなり思い切った行動だったと思います。

 

オキュロフェイシャルで眼形成研修が始まると

自分の眼形成の知識がいかに乏しかったを思い知らされました。同時に、眼形成で救える患者がとても多くいて、そのほとんどは普通の眼科では見逃されている

ことに気がつきました。一つ前の記事に書いたように、

眼形成の指導医のいない眼科で育った眼科医がほとんどなので、

手術で治る症状や所見に気がつくことができないからだと思います。

新しい世界が広がったような気がして、日々研修が楽しくなっていく反面、不安になっていくことがありました。

 

一般眼科だけでも、患者数が多すぎて、話を聞いてあげられないとか思ってたのに、さらに眼形成の患者も増えたら余計に回らないんじゃないか??

 

一つ目の記事に書いたように、私は何でも屋を目指しつつも、

その診療スタイルに疑問を感じていたところでした。

今やろうとしていることは自分で自分の首を締める方向に向かっていることに

気がついたのです。

冷やし中華理論に基づいて一般眼科の中でも何かに絞るなり、

眼形成のみにするなりした方が自分には向いてるだろうなと

ぼんやり思い始めました。

“眼形成のみ”という発想が出てきたのはオキュロに来たことで

眼形成の患者さんが潜在的にかなり多く存在するということに気がついたからです。

 

冷やし中華理論ともう一つ、とても刺さった鹿嶋先生からの質問があります。

「先生が作るクリニックが目指すのはファミレスなのか、それとも専門店なのか?」

 

眼科がその地域に全くなくて、なんでも1人で治さないといけないという状況であれば、とにかく出来ることを増やさないと地域の患者さんのためにはならないと思います。

つまり、そもそも飲食店が全くないような場所なら和洋中いろんなものが

食べれるお店が地域に喜ばれると思います。しかし、私が開業しようとしている

山口県山口市にはすでに眼科が何件かあり、正直なところ、

眼科が近くになくて困っている、という方は少ないと思います。

そんな中で、なんでもできます!な眼科を建てたとしても、来てくれるのは

「近くに住んでるから」という方がほとんどで、

「永岡先生のクリニックで治療してもらいたい!」な、患者ではないと思います。

同じ地域に数店舗あるようなファミレスや定食屋に、「そこが美味しいから行く」

のではなく、「近くに住んでる・近くで働いてるからちょうど良い」、等の提供している

メニューの特色目当てではなく、他の条件でお客さんが集まりやすいのと同じだと思います(もちろん、美味しくないと集まらないですが)。

 

永岡先生が良い!と言ってもらえるように努力しますが、

すでにある眼科はいい思いはしないでしょう。。

同じ地域で同じ眼科なのに啀み合いたくはありません。。ガーン

 

地域の患者にも、眼科医にも必要とされるには?

今まで通りの何でも屋の眼科で本当にそうなれるのだろうか。

 

オキュロフェイシャルは言うまでもなく専門店です。

 

やっている人がいない眼形成に特化していて、その治療を受けるため遠方からも当院

へ来院される方も本当に多いです。紹介されて受診される方・ネットやSNSで色々調べて来院される方がほとんどです。このような患者の9割以上が初診診察後に

手術の申し込みをして帰るか、その日にできる処置であればそれを受けて帰ります。

眼形成の特徴上、外来患者の種類は初診か手術後or処置後の患者の術後のチェックの2種類がほとんどで、検診目的や点眼処方目的の患者はほぼいません。

来院される患者が限られてはいるものの、治療方針のほとんどが侵襲的なものである以上、説明等には時間がかかるので一人一人にある程度時間を確保する必要があるので

完全予約制です。

なので、何でも屋の眼科のように(私の父親のクリニックもそうでしたが)

外来を猛スピードで回しても待合室が患者さんでパンパンになって

待ち時間が1−2時間超えるのは当たり前、といった状況にはなりません。

もし、時間が押してしまった場合でも、他ではしていない治療を受けるために

自ら来院される方がほとんどであるため、待ち時間が長いぐらいでは

普通の眼科に比べればクレームを言われない気がします。

 

上記のように患者さんに満足してもらえる医療が提供しやすいシステムだと思います。

では、地域の眼科医にとってはどうでしょうか。

 

山口県ならまだしもこれだけ人口の密集している東京都ですら眼形成専門のクリニックは

当院のみです。同業者である眼科医にも多くの患者を紹介してもらっており、

おそらく送っていただいている先生達にとっても助けになっているはずです。

 

↓鹿嶋先生がちょうど多くの医療機関から紹介されていることを記事にされていましたので

リンクを貼ります。すごい数ですよねびっくり

 

 

つまり、専門店であるオキュロフェイシャルは患者さんにも、周りの眼科の先生にも

必要とされている存在です。

 

あれ??これって、今悩んでること全部解決するんじゃない??びっくり

 

診療スタイルは完全予約制だから、一人一人に時間をかけれる。

眼形成専門なのだから、それ以外の患者は診なくても済むし、そもそも周りには

何でも屋さんの眼科があるからそちらに紹介すればいいし、眼形成のことについては

私に任せて貰えば良い。これなら地域の眼科医からも必要とされる照れ

なんでも屋じゃないと父のような眼科医にはなれないと思っていましたが

この形なら父のように地域に必要とされる眼科医になれる。

 

鹿嶋先生が成し遂げていることを山口で自分が真似して上手く行くかどうかという

とても大きな問題は残っていますが、、、キョロキョロ

 

長くなりましたが、以上のような流れで私は

当初、何でも屋の眼科を目指していましたが、眼形成専門の眼科

を建てようとしています。ブログのタイトルの本題に入る前に

そもそもなんで眼形成のクリニック?というところを

説明しておかないと、今後の話に支障をきたすので、

本題に入る前にかなり長くなりましたが、書かせていただきました。

次回からはやっと、眼形成クリニックを建てるために何をしてきたか

(まだ真っ最中ですが、、)について書いていこうと思います!!