ミトコンドリアと言われても、「何?」と思われる方が多いのではないでしょうか。
我々の体は約60兆個の細胞からできていて、一つ一つの細胞の中は細胞内小器官(オルガネラ)がいくつもあり、それぞれ特別な働きをしています。
(日本科学未来館:科学コミュニケータブログより引用)
その中で、ミトコンドリアは各細胞に100~2000個程度含まれおり、細胞を活動させるエンジンの役割を担っています。具体的には我々が摂取した糖質や脂質を材料(呼吸からの酸素が必要)にしてアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーの供給源になる物質を作りだしているのです。
我々が生命活動(体を動かす・頭で考える・食べ物を消化吸収する等)を行なうにはエネルギーが必要で、その供給源となるのがATPであり、それを作りだしているのがミトコンドリアという繋がりになります。
従って、加齢や悪い生活習慣によってミトコンドリアの数が減り機能が低下すると、ATPが作られ難くなってエネルギー不足に陥り、様々な臓器の衰えから老化や病気の元凶になるのです。
そこで本稿では、ミトコンドリアの元気を保ち、若さと健康を維持する方法(*)について紹介します。
1) 食事のカロリーを制限する
→ 腹八分目の食事や適度な断食を行なって、ATPを作る材料が減ると危機を感じたミトコンドリアが奮起する。
また、空腹によって、胃からグレリンというホルモンが分泌されてミトコンドリアが活性化し、かつサーチュイン(抗老化・長寿遺伝子)のスイッチが入ってミトコンドリア力がアップする。
2) ケトン体をエネルギー源にする
→ 糖質の摂取量を適度に減らすと、脂肪が分解されてケトン体が合成されてエネルギー源になり、ミトコンドリアに運ばれる。ケトン体は脳に到達しやすく、ニューロンという脳の神経細胞に特に有効で、ミトコンドリアが活性化することにより認知症予防に繋がる。
3) 有酸素運動を習慣づける
→ 早歩きやジョギングなどの有酸素運動をすると、呼吸が速くなって心拍数が上がり、体が酸素不足に陥る。ATPの産生に酸素を必要とするミトコンドリアが、危機感から奮い立つ。
また、運動をして血流が良くなると、心臓からナトリウム利尿ペプチド、血管から一酸化窒素(NO)が分泌され、ミトコンドリアを活性化する。
ミトコンドリアは生きる源といっても過言ではありません。
結果として、ミトコンドリアを元気に保つには、腹八分目の食事と有酸素運動を習慣化することにつきる、といえるわけですが、「必ず毎日」と思うと負担になるかもしれません。時にはフリーに過ごすことが継続に繋がるのではないでしょうか。
((*)日本経済新聞電子版:「体のエネルギー工場」、ミトコンドリアの能力を高める(2024.3.1)を参照し一部改編・引用しました。また本文中の下線部の詳細については、インターネット等の情報で確認してください。)